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【3月のAudible読書メモ③】


『私たちの世代は』瀬尾まいこ

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明日が怖いものではなく楽しみになったのは、あの日から――
『そして、バトンは渡された』『夜明けのすべて』の著者の書下ろし長編
いまを生きる私たちの道標となる物語の誕生!
「明日が怖いものではなく楽しみになったのは、あの日からだよ」
今でもふと思う。あの数年はなんだったのだろうかと。
不自由で息苦しかった毎日。
家で過ごすことが最善だとされていたあの期間。
多くの人から当たり前にあるはずのものを奪っていったであろう時代。
それでも、あの日々が連れてきてくれたもの、与えてくれたものが確かにあった――。

Audible HPより

コロナ禍に小学3年生だった少女2人を主人公に、彼女たちが成長し、社会に出るまでを描いたお話。

当たり前にくる明日なんて一日もなくて、それでもそれを受け入れて進んでいくしかないのだ。

第一章より

コロナ禍のあの息苦しく、終わりが見えない不安な日々。大人も子ども、もがき苦しみながら毎日を必死に過ごしていた中で、失った物もあるけど、失ったものばかりじゃなくて、得たものもあるはずと気づかせてくれる、未来に希望をもたせてくれる物語だった。

あたたかい気持ちになる一方で、わが身を振り返り反省モードになってしまった。それというのも、この話に出てくる二人のお母さんの明るさと愛情が(特に冴ちゃんのお母さん)溢れんばかりですごいのだ。ちゃんと子どものこと、学生のこと見ていたのかな、もっと掛けられる言葉があったのではないかと。

瀬尾まいこさんが37歳まで中学校の先生をされていたことを読後に知り、とても腑に落ちた。私が読んだのはこの作品で3作目だが、どれも温かい愛情でいっぱいだ。

『ボタニカ』朝井まかて

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ただひたすら植物を愛し、その採集と研究、分類に無我夢中。
莫大な借金、学界との軋轢も、なんのその。
すべては「なんとかなるろう! 」
――日本植物学の父、牧野富太郎。愛すべき天才の情熱と波乱の生涯!

「おまんの、まことの名ぁを知りたい」
明治初期の土佐・佐川の山中に、草花に話しかける少年がいた。名は牧野富太郎。
小学校中退ながらも独学で植物研究に没頭した富太郎は、「日本人の手で、日本の植物相(フロラ)を明らかにする」ことを志し、上京。
東京大学理学部植物学教室に出入りを許されて、新種の発見、研究雑誌の刊行など目覚ましい成果を上げるも、突如として大学を出入り禁止に。
私財を惜しみなく注ぎ込んで研究を継続するが、気がつけば莫大な借金に身動きが取れなくなっていた……。
貧苦にめげず、恋女房を支えに、不屈の魂で知の種(ボタニカ)を究め続けた稀代の植物学者を描く、感動の長編小説。

Audible HPより

上述の本の再生時間が7時間12分に対して、こちらの本は17時間。かなりのボリュームだが、朝ドラ『らんまん』との違いを確認しながら夢中になって聴いた。

富太郎の奇人変人っぷり、おちゃめな面ももちろん面白かったが、十二章の「恋女房」がとても印象に残った。特に、スエの死後一番目の妻、猶の言葉に、胸を打たれた。

誇りを持って、あなたを支えた。
ただひたすらあなたに夢中だったのかもしれませんね。
草木に夢中なあなたに。

十二章の「恋女房」より

最後までお読みいただきありがとうございます。
また次のnoteでお会いしましょう。


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