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娘の結婚式当日に和菓子屋の行列に並ぶ両親

私の父は甘党だ。
特に小豆を使ったものに目がない。

とても美味しそうに食べる。
かつて、実家の冷凍庫には十勝サザエのおやき(大判焼き・今川焼き・回転焼きをイメージしてください)がよくストックされていた。

父は冷凍のおやきを美味しく食べるための手間を惜しまない。
まず、電子レンジで解凍する。
それだけでも十分に食べられる状態なのに、次にトースターを予熱する。
ほどよく温まったトースターにおやきを入れ、表面がうっすらと色づく程度に焼く。

そして、熱々の番茶とともに「あつぅつつつ」と言いながら、はふはふと食べる。

そうして、毎度同じことを言う。
「この表面がカリっとしたところがうまいんだよなぁ~」

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私の結婚式の前日に北海道から上京した両親はホテルに泊まっていた。
式当日の朝、両親の部屋に行くと普段は朝にシャワーを浴びない父がシャワーを浴びていると母が言う。

「父さんがどうしても小ざさの羊羹が食べてみたいって言うから並んでみたのよ。そしたら、暑くてね汗かいちゃって、今シャワー浴びてるところ。」

「へ?」「羊羹?」「小ざさの?」「で、買えたの?」

「それがね、行ったときにはもうすでにたくさん人が並んでて買えなかったのよ。でもここまで並んだのに何も買わないのも悔しいから最中は買ってきた」

娘の結婚式当日の朝に羊羹を買うための列に並ぶ親がいるだろうか、と当時は大笑いした。


何十年振りかにこの話を思い出し、記事を書き始めて気が付いた。
確かに、有名な羊羹を食べてみたいという気持ちもあったのだろうと思う。

けれども、一番大きな理由は、実はよく眠れず、朝早くに目が覚めてしまったのではないか、と。

早く起きたところでしなければならない仕事があるわけでもない。
朝は少し雨も降っていたので、散歩という気分でもない。
何も手につかない。ならば、行ってみるか、と。

いや、どうだろう。
本当のところはよくわからない。

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父の日の贈り物などに、本当は甘い物を贈ってあげたいのだが、母から止められている。あったら、あっただけ食べてしまうので、甘い物以外でお願い、と言われている。すごく残念だ。

今度帰省するときのお土産は何がいいだろうか。




見出し画像は、ビビッとデザイン /イラレアピアランスさんの作品をお借りしました。ありがとうございます!

最後までお読みいただきありがとうございます。
また次のnoteでお会いしましょう。





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