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米国マルチスポーツ 時間内に仕事を終わらせる考え方

本日はアメリカンフットボールチームの名門と呼ばれるスタンフォード大学にコーチとして所属している日本人、河田剛(かわた・つよし)さんの興味深い記事を取り上げたいと思います。

この河田さん、アメリカでは「マルチスポーツ」という考え方がより一般的だということに着目されています。これは、1人のアスリートが複数のスポーツ競技を掛け持つということなのですが、これが一般的だとすると、確かに日本の考え方と大きく違うなと思います。

そして、よく河田さんの意見に耳を傾けてみますと、我々の仕事や生活で生かせるヒントも大いにありそうです。ぜひ一緒に見ていきましょう。

このnoteはVoicyの過去の放送の一部を文字に起こしたものです。

名門 スタンフォード大学アメフト部にコーチとして就任した河田剛氏

さて緊急事態宣言も延長となり、引き続き在宅での仕事が続いていると言う方も多いのではないでしょうか。

最近、別の会社で仕事している後輩から相談を受けたのですが、在宅中心勤務になって、むしろ仕事が終わらない。通勤時間が無くなったのに、今まで以上に残業時間が増え、早朝から深夜まで家で仕事に向き合っていると言うのです。

そんな生活がストレスになっているみたいで、じっくり話を聞いてみたのですが、どうやら仕事に取り組む段階で、仕事の全体量の調整や優先順位付けと言うのは心がけているようでした。

私も最初話を聞いた時、無計画に闇雲に、山ほど抱えた仕事に端から取り組んでいるのではないかと少し疑っていましたが、そこは週単位で求められている仕事のタスクを全て書き出し、捨てるものは捨てて、自分なりの優先順位付けをするなど計画を立てているようでした。

そこはやっているんですね。

当番組の過去回で、おりえってぃさんが取り上げた回でスポーツクライミングの選手たちは、競技で登る壁に対して、競技前にじっくりその壁を観察して選手同士で意見交換をして壁を分析すると言うステップがあると言う話をされていました。

そのステップを踏むことなく、取り組んではうまくいかないですからね。

ですがこの後輩は、そこはできているんですね。それでも結局計画通りにいかず、仕事が時間内に終わらないというのです。
この相談を受けて、先程のおりえってぃさんのスポーツクライミングの回に加えて、もう一つ思い出した記事がありました。

それが、今回ご紹介する河田剛さんの記事だったんです。

まず河田さんのご紹介ですが、アメリカンフットボールの名門と言われるスタンフォード大学でアメフト部のコーチをしていると言う方です。
1972年埼玉県生まれ、アメフト選手として何度かの社会人リーグ優勝を経験した後引退、2007年にアメリカに渡り、スタンフォード大学アメフト部のボランティアコーチに就任し、後ほど正式なコーチになられたと言う経歴の持ち主です。

そんな河田さん、日本とアメリカの違いについて数々の記事や書籍を執筆されており、日本のスポーツ界の問題点も数多く指摘しています。

以前読んだ記事で特に興味深いと思って印象に残っていて、今回思い出しました。それは、河田さんがアメリカにいかれて驚いたことのひとつに、アメリカの選手たちは勉強もものすごくしていて優秀な選手は学業の成績も優秀であると言うこと、そしてアメリカではスポーツ選手が複数のスポーツ競技の掛け持ちを行うマルチスポーツと言う考え方が一般的だと言うことです。

そして河田さん曰く、こうした背景もあってアメリカの選手たちは日本人に比べて、時間の使い方、優先順位の付け方などが格段に上手い。そして練習以上に試合で結果を出すということにつながっているとしています。

もちろん日本にも文武両道という言葉や姿勢はありますし、河田さん個人の印象ということかもしれませんが、印象深い記事でした。

というのが、我々多くの日本人が、ついつい長く働いてしまいがちであるという、長年指摘されて続けてきている仕事のやりかた。その解決のヒントになるのではと感じたからです。

河田さんがアメリカで感じたこうした驚きについてもう少し深く記事を見ていきましょう。

次のチャプターに続きます。

アメリカの強さの秘訣⁉︎ 米国ではひとりのアスリートが複数競技に同時に取り組むマルチスポーツという考え方が

今や日本人選手は世界で活躍しつつありますし、今のやり方でも日本のオリンピックのメダル獲得数は伸びてきています。

日本のやり方や考え方自体を否定するつもりはないとしながらも、アメリカでは全く違うやり方であり、それで世界で1番多くメダルをとっているので参考になる点が多いだろうというのが河田さんの考えです。

そのアメリカやり方の1つが、冒頭からお話ししているマルチスポーツと言う考え方です。

アメリカで、スポーツでの名門として知られるような高校や大学で人気スポーツで活躍する事は、日本と同じようにその先にプロを見据えた高いレベルであることを意味します。

そして彼らの多くは年間でシーズンごとに違うスポーツを競技するという驚きのスケジュールで動いているそうです。

実際にスタンフォード大学のアメフト部では、4年間に2人の選手がなんとメジャーリーグベースボールからドラフト指名を受けたということがあるんです。

つまりこれらの選手は、アメフトも野球もどちらも、同時に高いレベルでこなし最終的にプロ野球選手になる道を選んだと言う事なんですね。そしてこれこそがアメリカのスポーツ選手の強さだと河田氏はいいます。

そして、こうした仕組みの上で、複数の競技をこなすアメリカ人の選手は、優先順位の付け方が日本と比べて全く違うといいます。

そうですよね、ひとつの競技に費やす時間は限られているわけですから、その限られた時間の中でそれぞれの競技の技術を向上させなければいけません。複数の競技に共通の能力の向上、効率的なトレーニングを集中して行うこと、そして徹底的な時間の管理が求められると言うわけです。

反対に日本で美徳とされているのは、ひとつのことを続けるための根性を身に着ける、「練習の虫」になることではないでしょうか。つまり、効果や効率を考えるよりも、根性論に走りがちだということです。

これは、長く練習するということが努力しているとみなされ賞賛されるため、そんな長く練習をしている自分に満足をしてしまいかねないと、河田さんは指摘しています。

そして効果や効率があまり重視されないため、いわば思考停止状態になって考える力も失われがちなのでは。

そして更に、オンとオフのスイッチを切り替えて、練習時間にメリハリをつけることも苦手になってしまうため、結果何が起こるかというと~本場でいざチャンスと言う時に100%実力を発揮できない選手もいるのではと話しています。

河田さんは、シンプルにもったいないと思うとおっしゃっていました。

なるほど、なんとなくこのスポーツに対する姿勢は、今の日本人の共通する気質というか、仕事に対する姿勢にも通じるところがある気がしませんか。
もちろん、アメリカの考え方だけが良いとは限りません。

ですが冒頭の後輩のように悩んでいる日本人のビジネスパーソンにとっては、自分たちの姿勢や考え方を見直すヒントになりそうじゃないでしょうか。

この河田さんの視点を、仕事に置き換えて考えてみたいと思います。

アメリカのトップアスリートと勝間和代さんの共通点

まず日本でマルチスポーツと言う考え方は全くないのかというとそうでは無いようです。

ゴルフの渋野日向子選手は、お母さんが体操競技の先生で幼い頃からその教室に通いながら、ソフトボールや野球などと同時にゴルフを練習してきたそうです。

しかもゴルフは右打ちソフトボールは左打ちと言うことで、体幹やバランスといったゴルフの基礎となる部分はこうしたマルチスポーツによって身に付いたのではと言われているんですね。

渋野選手の例から言えそうなことは、複数の競技を同時に行うことによって、1つの競技に費やせる練習時間が薄まってしまうと言うよりは、それぞれの競技を通じて選手としての共通する基礎的な部分を伸ばすことができると言う、いわばシナジーのようなものが起こることもあり得ると言う事ではないでしょうか。

日本人の野球選手がアメリカに渡って驚きとともに口にしているのは、例えば練習時間の短さやピッチャーですと投球制限といったような考え方ですね。

ということでどうやら、1つの競技の練習に時間をただかければいいと言うわけではなさそうです。

タレントでもある武井壮さんは、陸上の世界マスターズで世界一になった時、すでにタレント活動をされており、毎日の練習時間をあえて1時間に限って、それをコツコツ続けることで、成果を出したことで有名です。武井さんは、世の中みんな忙しい。

生活の中の多くの時間を練習に費やすことができるプロでなくても、成果が出せることを証明したかったといいます。

実際の仕事で似たような例はありますでしょうか。

Voicyでもチャンネルを持たれている勝間和代さんは、たしか子育てをしながらかつ仕事をしながら会計士の試験に合格したり、大学院に通いながら大手金融機関に勤めたりもされていたことがありました。

そんな勝間さん曰く、長時間労働は無駄が多くなるだけだと指摘しています。仕事にいくらでも仕事時間を費やせるとなったら、儀式的な作業や仕事をやっている感が強くなるため、効率化にはつながらないと言うことです。

いやほんとにわかる気がしますね。

仕事に対して、残業してもいいや、徹夜してでもいいや時間をしっかりかけてもいいと思って取り組むよりは、何らかの時間制限があったほうがむしろ効率的に仕事を進めることができるのではないかと言うことなのでしょうか。

Get it done 仕事を終わらせるためのとあるアクションとは

本日は、仕事を時間内に終わらせられるような作業の効率化のヒントにつながるのではないかと言うことで、スタンフォード大学アメリカンフットボール部のコーチ河田剛さんの記事を取り上げております。

今日のTipsとしてご提案できるかなと思いましたのは、仕事以外にも責任を持って取り組むべきものを持つと言うことで如何でしょうか。

そうすることで反対に仕事の効率を上げてくれるということにつながりそうです。

以前当番組では、一流のアスリートたちの副業を取り上げ、仕事家庭以外のサードプレイスを持つということをご提案しました。

これによって、仕事という生活の中心となっているものに取り組んでいる自分自身の姿を客観的に見る機会になるのではというお話でした。

そしてそれ以外の効果として、仕事以外に取り組むべきものがあれば、限られた時間をより効率的に使わないと言う意識が働いて、仕事もより効率的に行うことができるのではないか、いや、そうせざるを得ない状況を自分で作り出すと言うことです。

私自身もVoicyで週に何度か配信をさせていただくようになり、ちょうど始めた頃は、自粛生活で出張もいかず、時間が増えたのでその時間を当てられるからということで始めたと言う背景がありました。

今では週単位のルーティン業務というのが発生することになり、場合によってはこれも結構追われるということにもなります。

でもこうして、締め切りに追われるものをいくつか持っていると言うことで、本業の仕事はきっちり時間内に終わらせなくてはいけないと言うプレッシャーがより強まり、結果として集中できていると言う面もあります。

冒頭の相談してきた後輩の例ですが、1つのタスクに向き合う時、必要な時間の見積もりが甘かったり、心のどこかで時間が十分にあると思い集中せずにダラダラと仕事をしている自分がいるのではないかと指摘しました。

そして、一念発起して社内のプロジェクトメンバーに立候補したそうなんですね。ただでさえ自分の仕事が手一杯終わらないと悩んでいたのに、更に責任のあるポジションを自分から掴んだんですね。

結果なんとか回しているというんですね。なんとかなるんですね~と言っていました。

強制的にでも時間内に終わらせないといけないと自分を追い込む環境を作ることも時には必要なのかもしれません。

河田剛さんがアメリカで学んだ現地のアスリートたちの姿勢、マルチスポーツに取り組むと言う事は、むしろ取り組んでいるスポーツ競技に対しての集中力を高める効果があるのではと考えました。

最近は、副業解禁の流れ、生活スタイルの変化もある状況です。時間がないと言う状況を逆手にとって、今こそ何か新しいことを始めてみるのもいいかもしれません。

ひょっとするとそれでさらに自分の時間がなくなってしまうと言う感覚になるかもしれませんが、そして自分に制限をかけることで本業の仕事の集中力を高めると言うことにつながると言うこともあるのではないかと思います。

このnoteはVoicyの過去の放送の一部を文字に起こしたものです。
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