営業会社の社長になろう/実戦マニュアル

Twitterのビジネスクラスタでは「なまむぎ(@volt_a)」と申します。
経営コンサルタント歴が2020年で17年目になります(2019年10月現在)
この17年間で、法人設立20社以上に携わりました。
新規事業の立ち上げ数で言ったら40事業以上(記録出来ないものも合わせたら74以上)です。

経営者に『なろう』系ということで。

あるお方からの質問で「BtoBの営業経験があるので、営業会社で起業したい」というご相談を頂きまして。

2社の営業会社を創立した経験と、これから立ち上げるとしたら?
の感覚で、実践的に書いてみます。

ちなみに私は、元々が対人恐怖症のコミュ力皆無者なので訓練から入りましたが、今回はあくまでも経験者という設定なので割愛。

1.新規事業計画書と収支計画書の作成
 就業中に作り上げてください。
 完成しない内は、独立は諦めましょう(って言えるくらい重要な最初の書類)

2.作成した書類を、各方面にばらまいて反応をみる
 あなたにも、知人友人にも、それぞれに決裁者(社長や役員)がいます。
 その方々に新規事業計画書と収支計画書を見て貰い、その反応を視ましょう。
 修正点や、抜けなど、視えていなかった部分がいくつも出てくるはずです。
 教示を受けて、バージョンアップしてはまた視てもらって、あなたの分身である資料を練り上げましょう。
 ひょっとしたら、その中の誰かが少額でも出資してくれるかも?

3.口座と、現金50万円、クレカの確保
◆銀行口座
 法人名では口座は開設出来ません。
 個人名+社名、になるくらいなら、個人名義で法人用に使う口座をいくつか用意しましょう。
 
◆現金50万円
 金額は目安です。
 営業代行業の収益は2ヶ月サイトが一般的です(末締めの60日後に入金)
 この期間を凌げるだけの現金を確保しておきましょう。

◆クレジットカード
 起業したら、信用は地の底に堕ちます。
 信用ある就業しているうちに、年会費無料のクレジットカードを数枚作っておきましょう。
 「あと3万円あれば……」なんて事態の回避用に(良くあります)
 そして、カードも決済は2ヶ月です。

4.商品探しと、Googleトレンド
◆扱う商品やサービスの選別
 営業力があるならば売り物は無限ですが、まだ法人格もなく、実績もないうちは扱える商品もサービスも限られます。
 可能な限り起業の前に探しておき、就業の内に起業予定の事情を伝えつつ、卸しや業務委託を打診しておきましょう。
 お勧めは有形より無形です(様々な企業のサービスの営業代行が、低負荷でリスクも低めです)

◆Googleトレンド
 https://trends.google.co.jp/trends/
 トレンドで商品名やサービス名を検索して、反響を調査しましょう。
 誰も知らないモノよりは、認知度があるモノの方が展開し易いです。
 たまに、仕入れ負荷が低いからとか、個人的に素晴らしいものだからと展開して、需要の無さに倒される例が多いです。
 具体的に何が良いか知りたい場合は、DMでお問い合わせ下さい。
 ひと月も経てばトレンドは大きく変わるものですから。

5.起業準備開始
◆定款と法務局手続き
 人気の『会計ソフト freee (フリー) | 無料から使えるクラウド会計ソフト』で良さそうです。
 https://www.freee.co.jp/
 利用者が多いので、経理についても調べやすく、連動して税理士さんも探せます。
 事業用クレジットカードの申請も可能だそうです。
 今後も様々なサービスが展開されそうです。

◆住所
 自宅か実家で十分。

◆連絡先
 携帯とGmailで十分。
 どうしても気になるならば『電話転送サービス』を利用しましょう。月額500円から。

◆コーポレートサイト
 Facebookで十分。
 起点はTwitterが最良。
 余裕が出来たら立派なのを作って下さい。
 重要なのは、信念、理念、方針です。
 今後に関わってくる人も、お客様も、提携の提案者も、様々な方々が「あなたはどういう人?」を知るために視に来ます。
 こればかりは、他人には代行出来ません。

6.商品、営業戦略と戦術の策定
◆戦略
 商品(仕入れ)や、サービス(業務委託契約)が済んだら、戦略策定です。
 必要とする客層は? 商品やサービスを利用して、どうすると、どんな利益が?
 商品カタログに頼らずに、独自の営業用資料も作成しましょう。
 たまに、営業のプロを名乗る人で、資料を使わないことが凄いと勘違いしている人がいますが、顧客側の気持ちに立てば、どうしたら良いか解りますよね。

◆戦術
 客層が決まったら、アプローチ方法やトークなどの戦術策定です。
 一例で言うと、電子タバコのメーカーさんが、喫煙所で紙巻きたばこ喫煙者に声掛けしています。
 高価な品だったら、資産家の多い不動産会社へ提携アプローチなど。
 この商品を買って、こういう運用をしたら、こんな満足感や達成感が得られて、こんな未来に繋がるのでお得ですし、こういう場合にはこういう効果が。2つ3つどころか、7~10つくらい深くまで考えてみるのも面白いです。
一粒で二度おいしいどころか10個もあるなんて。
十特ナイフとかロマンです。

※余談ですが、ドバイの超高層マンションを売り込まれた経験があります。
 とにかく快適だと1時間ほど語られた後に「でも、中東のアラブ首長国連邦ですよね。日本領事館もあるけれど、ドバイショックなんてのもありましたし、絶対君主制って不安なのですが、どうなのですか?」と質問したら、沈黙が。
 まあ奇麗に返して頂いてもそんなお金はないのですが()

7.商流計画(短期)
 とにもかくにも、1日でも早く成約が必要です。
 お客様のために? 誠心誠意? 社会貢献? 言わせておきましょう。
 人生と命が賭けのテーブルにbetされています。
 悪人ぶる必要はありませんが、聖人である必要もありません。
 PDCAを回して、買ってくれる人が1人でも見つけられれば、そのお客様を分析して、類似者が最も多くいる場を探しましょう。
 業種、世代、事情に状況、ところ変わればルールも変わってきます。
 使えるモノは何でも使い、あとから恩を返して貢献すれば良いのです。
 信念、理念、方針を忘れていなければ大丈夫でしょう。
 まず自分を、そして家族を食わせろ。

8.商流計画(中長期)
 独りで得たデータとノウハウを以って、営業代行の営業代行者を探しましょう。
 売り方を提示して手数を確保し、コミット総量を増やすことで単価の増加を狙います。
 同じく小規模会社、個人事業主、これから起業を目指すかつてのあなた。
 Twitterにいっぱいいます。「資本金100万円」などで検索すると多いです。そこら辺のビジネス異業種交流会にもいます。
 効率の悪そうな品やサービスを展開していたら、こちらに引き込みましょう(なんか変な効能のある水や、勢いで生命保険売ろうとしている人などがお勧めです。逆にエリートぶってる熱量のない営業系の人は地雷なのでお気を付けて)
 営業力をべースとした、フルコミッション系のマッチングサイトなども地域ごとに存在します。
 営業ではなく開拓の場合は、保有顧客持ちの中規模以上企業にアライアンスなんていうのもありますが、これはまたの機会に。

※ここまでは一息で、一気に駆け抜けましょう。半年から1年はかかりますかね。
 途中で停滞すると、10年かけてもこの先には行けなくなります(潰れるか、上位企業に機能売却のパターンに分岐する)

9.レンタルオフィス、人材確保
 事業は、独りでは大変です。
 可能な限り早期に、未来の幹部を雇用して確保しましょう。
 営業業務に関しては、こちらの診断結果で「E〇〇〇」の人が最適です。
 バックオフィス業務の場合は「I〇〇〇」が良いでしょう。

 16タイプ別性格診断
 http://www.secret.ne.jp/~delmonte/

 素直に「スタートアップの営業会社です」と言って、来てくれた人は、どこか壊れている(良い意味で)ので期待大です()
 人材を確保するために、面接の場としてレンタルオフィスを確保します。
 月額3万円から、個室と、ミーティングルームが利用出来ます。

10.人材マネジメント
 人材募集して選考しているうちに、育成などの理論構築や、人事制度、社内規定を用意しましょう。
 全て士業の方々に相談して外注可能ですが、ある程度の自身の考えを箇条書きででもまとめておくとスムーズです。
 スタートアップですので、入社した社員さんとで一緒に作るのも楽しいものです。

11.外交の重要性
 自動的に経営が回る『仕組み』が出来上がった頃に「社長は何もしない」と視られてしまう時期に入ります。
 出勤など二の次です。
 むしろ事務所に社長はいない方が良く、たまに抜き打ちで来るから効果的なのです。
 10名以内の組織のマネジメントは、週一と月一の会議で十分。

 得意先や、新たに開拓した先や顧客へ無理にでも理由を作って訪問し、『共通の時間』を重ねましょう。
 紹介や仲介を求めて、人脈形成を重視する時期です。
 単独では、会社の寿命は3年か5年です。
 関わる先が増えれば増えるほど、数%ずつ寿命が延びると心得ましょう。
 ペースが視えてきたら、個々の社員さんとも『共通の時間』を重ねましょう。
 外交していけば、品にも人材にも困らず、資金調達の手段も自然に増えていくでしょう。

12.将来投資
 会社経営では、節目の3年目、5年目に、大きな変革の時期が訪れることが多いです。
 新規事業の模索、役員増員、後継者の選別、株式整理、退職者、法規制に法緩和、などなど。
 第二創成期を超えられたら、ほぼ、経営における経験は一通り揃います。

 一種類の事業では、収入源が一つでは、確率的に生き残れません。
 最低でも3種類の事業か、3社の会社を持つことを考えましょう。

 以上です。
 ご要望があったら別業種でもシミュレーションや実体験をまとめますね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?