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みせとものときろく "OVERWHELM HAMBURGER & BAR STAND"

はじめに

アメリカの文化の象徴として入り込んだハンバーガー
ジャンクフード代表としてどの街にもすっかり定着していますが

1990年代後半から素材・調理・内装まで徹底的に拘った"グルメバーガー"が東京を中心に発展を遂げていきます。

"もの"の背景を記録する「ものときろく」が扱う対象か?と思われるかもしれませんが、、、実は代表の神谷が大のグルメバーガー好きでして。笑

消費される"もの"であっても背景はあるため、取り上げられて然るべきという整理でやらせてもらいます。

今回、ご紹介するのは2023年11月に学芸大学にオープンしたばかりのOVERWHELM HAMBURGER & BAR STAND

実は”ものときろく”のメンバーである古山氏が以前店長として働いてた居酒屋のスタッフがオーナー

他では味わうことができないオリジナリティ溢れるハンバーガーだけでなく、アパレルでも話題を攫うこれからのグルメバーガーを牽引するお店

「マジで美味しい」と自分で言い切っちゃうスタイルが魅力のオーナー佐藤陸さんとの軽快なやりとりをお楽しみください。


店舗情報

Shop name: OVERWHELM HAMBURGER & BAR STAND(オーバーウェルム ハンバーガー アンド バー スタンド)
Owner name: 佐藤陸
Category: ハンバーガー
Adress:1-16-14 Chuocho, Meguro-ku, Tokyo
Business Hours: 11:00〜0:00 but NORI
Instagram : OVERWHELM HAMBURGER
Apparel EC : Still Secret

Chapter1. 原点

神谷:作っていただいたハンバーガーをいただきながら、インタビュー始めさせてもらいます。佐藤さんの原点からお聞きしても良いでしょうか?

佐藤:幼少期は全然普通ですね。家庭環境は悪くなかったです。周りの友達も普通です。

中学1年生成り立ての頃にNBAにカッコいいなと。NBAでHIP HOPが流れててバスケやっているならHIP HOPかと聴くようになった。周りは聞いていなかったですね。最初はEMINEMにハマりました。そこからEMINEMがHIP HOPを始めたキッカケが気になって、そこから90s HIP HOPを聴いたら「めちゃくちゃかっこいい」って。でもそこまでは普通なんですよ。

転機は大学時代で、今日も来てくれているアフロの友達と4年間ずっといつも一緒にいて。「なんかやりたいよな。俺たちで。」といつも話していたら自分は本当にやりたくなってきて。

オーナー佐藤氏(右)と、佐藤氏が学生時代働いた居酒屋で店長を務めていた「ものときろく」メンバー古山

神谷:当時の友人とこうして一緒に仕事できるって誰しもが憧れることですよね。

佐藤:諦めなかったんで。

友人:でも高校の時から先輩が履いていなかったようなAND1とかバッシュを履いててセンスはすごかったですね。

神谷:AND1懐かしいですね!私もバスケやっててAND1 mixtape観てストリートバスケットやってました。

佐藤:"The Professor"※とか好きでしたね。EMINEMっぽい白人で。

※The Professor(本名 : グレイゾン・バウチャー(Grayson Boucher))は、アメリカのストリーバスケットボールプレイヤーで1993年創設のバスケットシューズブランドAND1のストリートバスケットツアーAND1 MIXTAPE TOUR(アンドワン ミックステープ ツアー)の主要メンバー。巧みなボールハンドリングと高いシュート決定力を誇る人気プレイヤー

神谷:HIP HOPでいうとどういったあたりが好きですか?

佐藤:Wu-Tang Clanとか好きですね。

神谷:私も学生時代からブレイクダンスをやっていてHIP HOP好きでNew Yorkにも短期ですが留学した経験があります。改めてHIP HOPの良さってなんですかね?

佐藤:単純に不良なところですかね?個人的には東(New York)のHIPHOPが刺激的で好きでした。ハーレムとかクイーンズに印象を受けたのを覚えています。

神谷:HIP HOPが好きでそこからハンバーガーに至ったのは?

佐藤:何したいか考えてた時だったんですよね。音楽もファッションもやれることがいいなと思ってたんですけど、

音楽やアパレルをメインでやるよりも、飲食店をやれば音楽もアパレルもそれ以外もやれる幅が広がるという考えに至り!
学生時代の居酒屋バイトでキッチンちゃんとやっておけばよかったなーと思いました(笑)

就職して社会人になったんですが、HIP HOPの本場NewYorkに男7-8人で旅行に行ったんです。ハンバーガー屋に2店舗行ったんですけど、1店舗目でこれならいけるんじゃない?と感じたんです。ハンバーガーならアパレルも音楽関係も全部できそうだなと。

店内を彩るインテリアからも佐藤氏のこだわりが垣間見える

神谷:NewYorkには留学で行ったのですか?

佐藤:留学ではなく当時勤めていた会社の休暇で2週間ぐらい行きました。NewYorkとLAに行きましたが自分は東のHIP HOPの方が好きなのでNewYorkの方が好きでしたね。西の方はビーサン、短パンみたいな感じじゃないですか。

神谷:印象に残った場所はありますか?

佐藤:Harlemとかですかね。Queensとかオシャレな人多いなと思いました。

その後、New Yorkから帰ってきた次の日に退職届を出しました。正式に離職するまでの間にBROZERS'※の面接が通りました。

神谷:ヤバいですね!周りの反応はどうでした?

佐藤:「え!?もう昇給決まっているけど」みたいな感じでした(笑)

古山:好きの延長線上にあったって感じだよね?陸は全部一貫しているよね。

神谷:そこでグルメバーガーの中でも老舗中の老舗のBROZERS'を選択するのはなぜだったんですか?

佐藤:いろいろ調べてて、給料も福利厚生も良くて有名でってところで選んだんですが、めちゃくちゃ厳しかったです。学生時代のバイトの感じでは全くなかったです。

Chapter2. 独立の経緯

神谷:BROZERS'に入社してからについて教えていただけますか?

佐藤:BROZERS'には3年と少し在籍していました。料理長まで行きました。入社のタイミングが前料理長の独立タイミングだったこともあって割と早くから料理長を務めさせてもらいました。

神谷:料理長は凄いですね!

佐藤:センスがあったんでしょうね!笑

神谷:ちなみにハンバーガーのセンスってなんなんでしょう?

佐藤:今の時代だと他にない発想ができるか?ではないですかね。チーズバーガーとかってどこでもあるじゃないですか?他では食べられない料理とプラスされているが、行く行かないを分けているような気がします。

佐藤氏の調理風景。ハンドチョップのパテなどほとんど全て手作り

神谷:BROZERS'の修行時代は大変でしたか?

佐藤:10kgぐらい痩せました。めちゃくちゃ厳しくて、厨房の中をずっと走っている状態だったので走ってないと間に合わないみたいな。でもバスケやっていたので(笑)

BROZERS'では何かやりながら他のことをやるっていう、効率的なオペレーションと接客を学ばさせていただきました。

神谷:でも料理長までやっていたとなると辞めるのを止められたんじゃないですか?

佐藤:回らないから辞めないでと言われましたね。自分が料理長をやっていたのがちょうどコロナで売上が高かった時期でした。

神谷:今でもBROZERS'の方との繋がりはあるんですか?

佐藤:ありますよ。開店する時には社長から本当におめでとうと言ってもらいました。お花もいただきました。

神谷:BROZERS'を辞めたあとはどうされたんですか?

佐藤:本当はBROZERS'をやめたタイミングで独立する予定だったのですが、コロナもあって物件が見つからなくて。物件見つかるまでの条件でTHE GOOD VIBESで働かせてもらって料理面を3年ほど学びました。

神谷:有名店でかなりしっかりと修行されたのですね。

メニュー表。Special Burgersには他店でお目にかかれないラインナップが揃う

佐藤:その間にアパレルも始めたんですが、最初に作ったTシャツがありがたい事に売れて、その資金を元手に次を作ってという感じで資金面では大きかったです。最近47都道府県の発送が終わりました。

ようやくこの場所が見つかって。オープンできました。

佐藤:独立のために学芸大学で家系ラーメン二代目 渡来武で深夜2時まで働いてました。

古山:開店直前までやっていたよね。

佐藤:今でも時々手伝っています。手伝うと無料でまかないが食べられますからね。笑

神谷:本当にかっこいいですね。アパレルの成功の秘訣はなんだったんですか?

佐藤:POLO・NORTH FACEの服が昔から好きで、結構所有していたのでインスタグラムのフォロワーの人が最初買ってくれましたね。

古山:インスタグラムの着画とかすごいバズってるもんね。バズりたくないとは言ってたけど。海外からも買ってもらってたよね。

佐藤:カナダから買ってもらいました。

神谷:さすが店長!笑

どうやったら面白いかな。は常に考えてます。

ブランド名を「Still Secret」にしたのも、ハンバーガーショップがオープンすることを匂わせて話題・ネタになればいいかなと。

この前、アパレルの配送先は全国47都道府県を制覇しました。
カナダ・オーストラリアからも注文してもらってます。

アパレルStill SecretのTシャツ

Chapter3. 店名の由来

神谷:オーバーウェルムの名前の由来はなんなんですか?

佐藤:それも3年前ぐらいから決めていて。”圧倒する”という名前にしようと思って、ハンバーガーでも内装でも圧倒して他の人がやったことないことをやりたいなと。

神谷:内装のコンセプトはあるんですか?

佐藤:特にないですが、ハンバーガー屋っぽくしたくなくて夜はバーカウンターで酒を飲むみたいな。名前もずっと秘密にしてたんですよ。アパレルも”Still Sercret"というブランド名でレセプションの時に発表するみたいな。

神谷:そういった感性ってどういうところからきているんですかね?

佐藤:どうやったら面白いかは常に考えてますね。話題性になればいいな。ネタになれば。

こだわり抜いた内装。どこを切り取っても絵になる
バーカウンター。ハンバーガーだけでなくアルコールも楽しむことができる

Chapter4. 特徴

神谷:アパレルもセンスが素晴らしいアイテムばかりですが、ハンバーガーも他のお店にはない独特のセンスを感じます。どこかからインスピレーションを受けたりはあったんですか?

佐藤:あまりないですね。他を見ると勝手に頭に入ってくるので。逆に真似はいくらでもしていいよというスタンスです。

神谷:私もグルメバーガーよく行きますが、他では見たことないバーガーばかりですよね。

古山:それこそ看板のオーバーウェルムバーガーのできたきっかけは?

佐藤:BROZERS'とGOOD VIBESの足したもの。それってイコール自分でしかできないバーガーだからです。

出身店”BROZERS'”の看板メニューLot Burgerと、"GOOD VIBES"の名物パストラミを融合した自分しか作れない『オーバーウェルムバーガー(Over whelm)』や、HIP HOP好きなら意味がわかる『ビーブロバーガー(Beef & Broccoli)』※など、他店からインスピレーションは受けずに修行時代から思いついたメニューはメモしていました。

神谷:完璧に腑に落ちました。

出来上がったハンバーガーを提供する佐藤氏

佐藤:あと、作れるものは全て手作りです。パティはハンドチョップですし、ピクルス、ケチャップ、マヨネーズ、ソース全て自家製です。ポテトフライも成形したものではなく、スモールサイズのジャガイモを仕入れて揚げています。

全部揃えないといけないので結構大変でしたが、ここまでやれば「自分たちで作っている」って言えると思うんです。

神谷:オープンから今までどういったお客様がいらしてますか?

佐藤:友達や近所の方ですね。ここは元々犬OKの物件で、初めは断っていたのですが今は犬連れもOKにしてます。

ポテトフライも小さなジャガイモを潰して揚げる自家製の徹底ぷり

Chapter5. 目指す姿

神谷:個人的にグルメバーガーはかなり食べ歩いてきました。本当に美味しい店が数多くある一方でお店ごとの特徴が他のジャンルの料理と比較するとまだ足りてないなという印象です。マクドナルドの店舗数を考えるだけで、ある意味世界一食べられている料理とも言えるかと思ってます。

ハンバーガーの可能性についてどう感じていますか?

佐藤:可能性はすごくあると思います。まだお店に出していないストックのメニューもいくつかあります。

神谷:今後、どういった展開を考えていますか?アパレルもやってという感じですか?

佐藤:そうですね。アパレルも落ち着いたらまたやろうと思ってます。

神谷:実際にオープンしてみて、食とファッションの掛け合わせの可能性だったり展望はいかがですか?

佐藤:今日この前の時間までやっていたケータリングの仕事が象徴的です。

NIKEの靴のイベントだったんですが、デザインがフロリダのサンセットのイメージするということだったので、俺らはハンバーガーでもそれを表現しようと。夕焼けをオレンジのはちみつとお酢と生姜でマリネしたものとクリームチーズで表現したのは、めちゃくちゃ好評だったので。そういったファッションをハンバーガーで表現したいなと。

メニューもビーフ&ブロッコリーバーガー(通称:ビーブロ”)もそうですよね。

※Timberland(ティンバーランド)の『FIELD BOOTS』の“Beef & Broccoli” は、通称 “ビーブロ” カラーとして90年代のHIP HOPに欠かせないアイテムで、HIP HOP好きの佐藤氏が絶対やろうと決めていたメニュー。“Beef & Broccoli”はアメリカンチャイニーズ(アメリカ風中華料理)のことで牛肉とブロッコリーの炒めもの

ビーフ&ブロッコリーバーガー(通称:ビーブロ”)

古山:飲食をやっているアパレルはありつつも、他は飲食店がやっているアパレルって感じだけど、陸はその先だよね。

佐藤:そうなんです。自分たちのこれから出すアパレルはお店では着ないようにしています。普通、オリジナルブランドとかやるとスタッフが着ると思うんですけど。お店で着るユニフォームではなく、私服でちゃんと着てもらいたいので。

神谷:なるほど!

佐藤:でもあくまでメインはハンバーガーです。+αがアパレルの位置付けです。宣伝しなくても良いものは売れる。と思ってます。

初めてハンバーガー作った時も「どこよりも旨くね」って。
辛口評論家にも食べていただきましたけど「ここ最近で一番美味しかった」って言ってもらって、自信が確信に変わりました

神谷:オープンしたばかりですが、お店を増やしたい気持ちはあるんですか?

佐藤:まずはここに居れたらいいなと思ってます。大きな野望も別にありません。今日行ってきたようなケータリングだったり、店舗でのイベントもできたら良いなと思います。

諦めずにここまでやってきました。諦めそうになった瞬間はないです。本当にやるの?と言われた時期もありました。

古山:そういうところ昔から本当に尊敬してる。

Chapter6. これからいらっしゃるお客様に伝えたいこと

オーナーの佐藤氏

神谷:最後にお客様へのメッセージをお願いします。

佐藤:自分たちの好きなことをハンバーガーに例えています。自分たちはこういう人間だとわかってくれるといいかなと。同じような人と仲良くなれたら嬉しいです。

編集後記:

気づけば午前1時。並ぶビール瓶。
取材の明確な終わりもなく、いらっしゃったご友人含め会話は弾み夜は更けていきました。
店内には佐藤オーナーの好きが詰め込まれていて、食・音楽・ファッションetc…
それぞれから繋がる人と人の結び付きは、この先更に大きな輪になる予感がしました。自分の好きな事を正直に発信し、友人や繋がりを大切にするその生き方はHIPHOPを体現している様に感じます。
取材前に想像していた
・美味しいハンバーガー屋さん
・カッコいい店内のお店
・アパレル人気もある飲食店
どれも正解で、どれも正確には表現できていませんでした。

『好きな物を持ち寄った大人の溜まり場』

今後もこの溜まり場から、
美味しく、楽しく、カッコいい何かを発信し続けてくれると確信しています。

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