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エネルギー移行への道:日本とアジアの役割 TOP STORYPublic-private energy partnerships critical to hit global net zero targets, says

国際エネルギー機関(IEA)の名誉理事長であり、Tanaka GlobalのCEOである田中信生氏が、エネルギー移行、アジアのエネルギートレンド、水素経済の構築、そして日本のネットゼロへの道のりについて語っています。田中氏は、エネルギー移行を加速するための全世界的な緊急性、COP28での経済や産業の脱炭素化における進展、そして2050年までにネットゼロを達成するために必要なイノベーション、技術、資金調達の必要性について触れています。また、日本のエネルギー産業にとって重要な時期に、政府の施策と民間部門の努力が脱炭素化とネットゼロソリューションでどのように一体となるべきか、そしてその中で日本エネルギーサミット&展示会(JESE)が果たす中心的な役割についても説明しています。


気候変動の危機が世界を席巻している中、エネルギー移行の重要性は今まで以上に高まっています。国連の報告によると、我々はもはや地球が「暖かくなる」段階を超え、「沸騰している」状態にあると言われています。このような危機的状況に直面して、国際社会はより速やかな行動を求められており、特に昨年UAEで開催されたCOP28では、具体的な進展が期待されました。しかし、国際エネルギー機関(IEA)の分析によると、これまでの約束だけでは2050年までの必要な削減の四分の一にも達していないのが現実です。

アジアに目を向けると、特に経済成長が著しいASEAN諸国や中国、インドは、持続可能な発展を達成するために重要な役割を果たしています。これらの国々では、再生可能エネルギーへの投資が加速しており、太陽光や風力などのコストが低下しているため、大規模な投資が進んでいます。日本も技術協力を通じてこれらの国々を支援し、アンモニアや水素を用いた低炭素技術の普及に努めています。

日本自身のエネルギー移行も大きな課題を抱えています。菅義偉元首相の下、2050年のカーボンニュートラルを目指す宣言がなされましたが、これを達成するには再生可能エネルギーの大幅な拡大が不可欠です。しかし、日本のエネルギー市場は地域独占企業によって支配されており、市場の改革や送電網の統合が十分に進んでいないため、再生可能エネルギーの導入が阻害されています。さらに、東西で異なる電力周波数が存在することも、効率的なエネルギー利用を妨げる要因となっています。

今後、日本が水素経済をリードする中で、グリーン水素やアンモニアの活用がクローズアップされています。これにより、化石燃料に依存する既存のインフラを段階的に脱炭素化していくことが期待されます。日本政府は、これらの技術をASEAN諸国をはじめとするアジアのパートナーと共有し、地域全体の脱炭素化を推進する計画です。

エネルギー移行は単一国家の努力だけでは達成できないグローバルな課題です。日本を含む各国が技術革新、金融支援、国際協力を深めながら、この巨大な挑戦に立ち向かうことが急務です。今後も、エネルギー政策、市場改革、技術開発の進展を注視し、持続可能な未来への道筋を探る必要があります。

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