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『みんなで歌う歌謡ショー』

老人施設や病院の慰問で歌をうたってた時期があったのです。

2007年に群馬県に帰ってきてその冬に慰問を開始しました。

「歌謡ショー」という仰々しいタイトルなんですけれど、なんのことはないアコギ一本でご老人たちと一緒に歌謡曲などを歌うだけなのだったのです。みんなが知って一緒に歌えるのはやはり古い歌謡曲で、それも老人男女みんなで歌える歌、それなりの曲でなければならなかったのです(例えば青江三奈の伊勢佐木町ブルースなどは不可)年代的には昭和20~40年代の歌謡曲がメインになっていたと思います。

それで、その条件で少しの練習ですぐに弾ける曲は少なかったけれど。このときも一人ですべて行いました。MCは大きな声でゆっくりと、ジョークはわかりやすく、下品なのはNG。車いすの老人が多数なので、なるべくひとりひとりの目を見ながら歌うようにする。何度かそんな風に「みんなで歌う歌謡ショー」をやったのですが、自分が帰郷した理由が母親の末期ガンだったため、母親の病院の送迎とかの世話に追われ継続できなかったのでした。
そんなことで曲目としては
見上げてごらん夜の星を 坂本 九(1963) いずみたく
ともだち 坂本 九 クミコ(1965)いずみたく
上を向いて歩こう 坂本 九(1961)中村八大
広い河の岸辺(The Water Is Wide)クミコ スコットランド民謡
悲しくてやりきれない ザ・フォーク・クルセイダーズ(1968)加藤和彦
ああ人生に涙あり テレビドラマ『水戸黄門』の主題歌(1969)木下忠司
次の曲も候補だったけど英語なのでパスだった。
Yesterday ザ・ビートルズ(1966)レノン=マッカートニー
500 Miles ピーター・ポール&マリー(1962)Hedy West
などなど



あとは、これが大事なんですが、ご老人だからといって演奏を手抜きしたりいい加減なことをするとすぐに見破られます。演奏上の技術的なことはともかくとしても、「慰問をしてやっているんだ」「聞かせてやってるんだ」という態度で望むとご老人たちに拒絶されます。ご老人たちは面と向かってNOというわけではありませんが、ご老人たちが不愉快な思いになっているのはすぐわかります。

それでも懐かしい思い出です。なんか心の奥にしまい込んでいたのは母親の亡くなるまでの時期とシンクロしていたからなのだろうか?

そうではなくて自分で自分に無関心になっていたのかもしれない。

はい、画像も一枚だけ残ってました。2007年どこかの病院のクリスマス会ですね、この画像、その病院の四季報?かなんかにデカデカと掲載されて照れた覚えがあります。「みんなで歌う歌謡ショー」が終わるとこの画像に写っているようなご老人たちが車いすのままエレベーター前に集まって見送ってくれました。

健康体なのに老人福祉施設にいる老女。なぜかといえば家に居たくないから老人施設にいるということらしい、そういうご老人の存在を知ったのもこの時期でした。

・・・あ、まだ若いっすね俺。

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