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NFT_#2:「NFT」の基礎知識

「NFT」とは、Non-Fungible Token(ノン-ファンジブル トークン)の略で、日本では非代替性トークンと訳されています。仕組みや特徴がよく理解されずに普及してしまったことで、NFTに対する誤解が生じています。本来、NFTとはどんなものなのでしょうか。この単元では、NFTの特徴や構造を解説します。


非代替性とは

まず、NFTの特徴である非代替性について説明すると、この特性は番号で区別される券・チケットに似ています。

例えば、1万円札を借りて、すぐに別の1万円札で返しても誰も問題視しません。1万円という数量が同じであれば、お札の番号が違っていても通常は区別しないからです。これが「代替性(ファンジビリティ)」です。しかし、特定の座席番号が記載されたコンサートの入場券を借りて、すぐに別の座席番号の券で返したら問題になるでしょう。1座席という数量は同じなのにです。これが「非代替性(ノン・ファンジビリティ)」であり、券が番号で区別され、それぞれが異なる価値を持っています。

EthereumにおけるNFT用スマートコントラクトの標準

Ethereumでは、NFTを発行したり移転したりするために最も一般的に使用されているスマートコントラクトの規格はERC-721です。他に、ERC-1155という、複数のトークンタイプを管理できる規格や、ERC-3525という、例えば特定の企業の株式のように同じ種類のNFTの間では数量をやり取りできる(代替可能として扱える)規格も存在します。ただし、本教材では特に断りがない限り、NFTに関してはERC-721を基準にして解説をします。

ERC-721規格に基づくNFTの特徴

■オンチェーンのデータ:スマートコントラクトとトークンID

ERC-721に則って作られたNFTの構造を解説します。

ERC-721に則るスマートコントラクトは、同じスマートコントラクトの中ではトークンを識別するための番号(トークンID)が一意であることを保証します。つまり、同じスマートコントラクト内に同じIDを持つ複数のNFTが存在することはありません。しかし、同じようにERC-721に則っていても、別のスマートコントラクトには同じIDのトークンが存在できます。更に、スマートコントラクトはデプロイされたアドレスで区別されるため、同じコードのスマートコントラクトでも、別々のアドレスのスマートコントラクトでは同じトークンIDが使われることがあります。

■NFTの所有と移転

NFTには所有者が紐づけられています。所有者はEthereumアドレスで特定されます。所有者だけが、そのNFTの所有権を別のアドレスに譲渡できます。

■オンチェーンのデータ:トークンURI

NFTは、それが発行された以降は変更されないトークンURI(Uniform Resource Identifier、ネットワーク上にあるファイルの識別子のこと)を持ちます。トークンURIはメタデータへのURLとなります。同じトークンURIを持つ複数のNFTが存在可能なことには注意が必要です。それはNFTの唯一性について考える上での重要なポイントとなります。

■オフチェーンのデータ:メタデータ、画像など

メタデータには、そのNFTが表すアート作品のタイトル、型、名前、説明、そしてそのアート作品へのURLなど詳細な情報が含まれます。

NFTと紐付けられる画像や動画などのデータは、メタデータに格納されたURLによって参照されます。メタデータや画像等のデータをオンチェーンに記録しようとするとガス代がかさむため、一般には何らかのウェブサーバ上に置かれます。

NFTの懸念点

■唯一性に対する疑問

NFTの唯一性はスマートコントラクトのアドレスとトークンIDの組によって表されます。つまり、メタデータだけでは唯一性を証明できません。同じトークンURIを持つNFTは複数存在でき、かつ自由に作れるため、メタデータだけを見て、それと紐づけられたNFTが一つしか(あるいは限られた個数しか)ないとは決して言えません。

■トークンURIの永続性の問題

トークンURIは、そのNFTが存在している間は変更されません。一方で、メタデータ自体は一般的にブロックチェーンの外部(オフチェーン)に保管されており、保管しているサーバが変更されたり消失したりすると、メタデータへのアクセスが不可能になる可能性があります。また、ウェブサーバに格納されたメタデータや画像等のデータの内容が変更される可能性もあります。

これらの点は、NFTの永続性と不変性に影響を与える要素となります。多くの場合、メタデータや画像等のデータの保管場所とそれを指すURLには、IPFS等、保管されているデータの暗号学的ダイジェストがURLに含まれるような技術が用いられています。これにより、もしメタデータや画像等のデータが変更されたとしても、IPFS等によって変更されたことを検出され、NFTの永続性と不変性を守ることができます。

次回、第3回では、ERC-721に基づくNFTに関して保証されること・保証されないことを解説します。


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