見出し画像

天皇陛下の目の前で人馬を迎える声援が、ユタカコールであることを願って

今週末の天皇賞は、天覧競馬になるらしい。

天覧競馬というのは、天皇陛下が観戦に来られるレースのこと。戦後では2005年と2012年に現在の上皇陛下が天皇賞観戦のために東京競馬場に来場されている。

日本競馬は、日露戦争での軍馬の劣勢をきっかけに「優秀な種牡馬の選定」を目的に発展したとされる。大正期には今でいう連続起業家っぽい人たちが、全国各地に競馬場を開設する流行りの事業だったらしい。

戦後は一転、ギャンブルとしての側面が強調されて、天皇陛下が観戦に訪れるようなことはなく。昭和の競馬場とか、まあ、あんま来たくないよね(笑)

そして経済成長期に現れたハイセイコーやオグリキャップのアイドルホースと、低成長社会での嗜好性の多様化によって競馬は普通の良識な庶民の娯楽へ昇華。ついに2005年、天皇賞に天皇陛下がやってきた。

日本社会における最高の勲章を手に入れた日本競馬界。でも当時の
「ついに天覧競馬」
といった浮足立った1週間は、今思うとなんか変な感じで。初めての事だし、もしかしてこれ不敬に当たるんじゃないかって、ちょっと歯切れの悪い言葉も目立ったかな。

勝ったのは人気薄のヘヴンリーロマンス。鞍上の松永幹夫がレース後、スタンドの天皇陛下に最敬礼するシーンは、新しい時代を感じさせた。

2回目の天覧競馬は、2012年。2回目の余裕か、メディアもファンもしっかり「天皇陛下万歳」的なムードで迎えたレースは、5番人気エイシンフラッシュが勝利する。

レース後の最敬礼はなんと、ミルコ・デムーロ騎手が下馬をするアドリブ。陽気なイタリア人が、偉大な前例を作っちゃった。

さあ、3回目の天覧競馬だ。過去2回は人気薄の勝利。ぜひ今回は、世界で最もハイレベルになった日本競馬を天皇陛下に披露してほしい。

昨年の牝馬2冠馬スターズオンアースが回避し、11頭と出馬表は少し寂しいが、イクイノックスとドウデュースが無事に出てきた。今、世界で最も強いとされるイクイノックスは昨年のダービーでドウデュースに敗北して以来、海外を含めて無敗である。この2頭が接戦を演じれば、どちらが勝っても過去最高の天覧競馬になるだろう。

そして少しだけ、オグリキャップで競馬に目覚めた馬券ジジイのわがままを聞いてもらえるなら、勝利とそしてレース後の名誉は、ドウデュースと日本競馬の至宝・武豊に与えられてほしい。

私達の世代は、ずっと武豊とともに競馬の魅力を追いかけてきた。1990年の有馬記念で起こったオグリコールは、今もはっきり耳に残っている。
スターダムに登りつめる姿も、すべての有力馬に騎乗する様も、全騎乗馬が人気になりなかなか買えなくなった日々も、有力馬に乗れなくなって勝てなくなった寂しさも、またスターホースに跨って大レースで活躍する喜びも、すべてが青春のいや人生における思い出だ。

天皇陛下の目の前で人馬を迎える声援が、ユタカコールであることを願って。日本競馬興隆を象徴する競馬人が、天皇陛下に最敬礼をする姿を楽しみにして。待ってるぜ、ユタカマジックを。

購入馬券

単勝 3 1000円

この記事が面白かった、同じような記事をまた読みたい、他にない素晴らしいものだと思っていただければサポートいただけると幸いです。取材費に使わせていただきよりオンリーワンな記事をお届けしやすくなります!