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『愚行録』を読み返した

めっちゃネタバレします

やっぱり好きだな〜〜〜愚行録。貫井先生の作品は、明確な答えがなくて不気味っていう話が結構あって、その後味の悪さがクセになる。
貫井先生の作品はまだ数作品しか読んだ事ないけど、語られる事は同じでも、語り手によって全然見え方が違うというのを繰り返し書いておられる印象。『微笑む人』とか、『プリズム』とか、『私に似た人』とか。大好き。

田向と田中っていう苗字も、もしかして非凡と凡庸とを比較させるための名付けだったりするんだろうか。だとしたらなんて残酷なんだ。苗字なんか生まれた時からのもので、どうにもならないのに。
田中光子が好き。赤ちゃんはかわいいのに、ちゃんと育てたいのに、うまく育てられなかった、という悲しさ。
愚行録っていうタイトルの意味がうまく消化できないな。解説の「インタビュイーが見たいように夫妻を見て、その人の見たいように評価することこそ愚行」「他人を語る事は自分を語る事に他ならない」っていうのがなるほどなと思った。人は人のことを見たいようにしか見れない。
なんか死人に口無しというか、ここまで様々な人にボロクソに言われても、しんじゃったから何も言えない田向夫妻がちょっと気の毒だよ。人間性は間違いなくクソだけど、この人たちもこの人たちなりに色々考えて精一杯生きてきたわけだから…
昔から特別親しかったみたいな間柄の人がインタビュイーとして登場しなかったような気がするけど、この人たちに親友っていたんだろうか。

ところで、カルテットのすずめちゃんといい、複雑な家庭環境下に生まれた薄幸の女を演じてるときの満島ひかりが好き。アマプラで映画見て以来初めて読み返したけど、もう光子が満島ひかりで脳内再生されてしまった。ほんと好きだな。映画もまた見直したい。

あとほんとにどうでもいいんだけど、私昔からこういう破滅型共依存兄妹がすきなんじゃんという気づき……
現世で生まれ変わった謝花兄妹にはさあ、人殺しとかしないでお天道様の下を歩いて生きていってほしいなあ(オタク、号泣)

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