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好きなエッセイ本4冊

エッセイを読むのが好きです。小説とか実用書とは違って作家さんの日常やプライベートなところを垣間見れる気がするからかなあ。それも本として出すという前提がある文章だから、まったく飾らないものとはちょっと違うんだろうけど。

好きなエッセイ4冊

『きれいなシワの作り方』村田沙耶香

『コンビニ人間』の著者村田沙耶香さんのエッセイ。女性誌の連載を一冊にまとめたもののようで、最初はちょっとよそゆきというか、女性誌らしいオシャレな感じのエッセイなのが、回を追うごとにどんどん村田さんのヤバさ(良い意味で)が出てくるのがおもしろかった。
印象に残ってるのが、「一番エッチな黒タイツのデニール数はいくつなのか、数枚買って破いて検証してみた」などとサラッと書いてらしたこと。良い意味で純粋にこの方はヤバいなって思った。
ちなみに私は40デニールが「隠されている生足」を感じさせられてエッチだと思います(聞いてない)
村田さんの著書はこれと、『コンビニ人間』と『殺人出産』を読んだことがあるけど、作風に違わず、尖ってておもしろくて、人として魅力的な方なんだろうなというのがヒシヒシ伝わってきた。
じつはこのエッセイに影響を受けて、「バーで一人呑み」をやったことがある。そのときのこともいずれ記事にしてみたいな。

『寂しすぎてレズ風俗に行きましたレポ』永田カビ

漫画だけども。絵の可愛らしさ、衝撃的なタイトルに惹かれて。
今まで日記とか二次創作とか、自分が楽しけりゃいいやというスタンスで物を書いて(描いて)たんだけれど、noteを始めて「人に読まれたい!」とも思うようになってきて。「人に読まれる」という事を前提に自分の考えをまとめるのってほんとうに難しいな!というのをつくづく感じるようになりました。
それで、だからこそこのエッセイを始め永田さんのエッセイ漫画群はすごいなと……改めて思うようになりました。どういう苦しみを抱えてるのか、それは自分の経験の何から由来するものなのか。私の思春期のときの自罰的な考え方とすごく似ていて、読んでて苦しくなってしまった。バイトでの失敗とか、面接で出会った社員の人の優しい言葉とか、泣きたくなるくらい辛い感情とか、色んな事に真摯に向き合われているのがすごい。
ただ、フリーランスは不規則な生活になりやすいだろうから、最近ではお酒でお身体壊されてしまったというのを知って心配になってしまった。もっと適当にいい加減に、ただ自分が楽しいと感じることに向かって生きてもいいんじゃないかと思う。ご自愛ください……

『社会人大学人見知り学部卒業見込』若林正恭

随分昔に読んだきりなわりに、読後の感動が大きくてずっと覚えてる。これがきっかけで、オードリーといえば春日と思ってた私の意識がだいぶ変わりました。ちょっときざな言い回しがだんだんクセになってくる。
いまだに覚えてるのが、下積みで燻ってた時代が長かったからまだちょっと信じられない、平常心で行きたい、みたいな話と、コミュ障気味だけど尖った魅力のある後輩芸人さんの面倒みた話と、お金は無かったけど本にかけるお金は全く惜しまず気になったタイトルは片っ端から買って読んだって話。特に本を買うっていうのは見習いたいなって思ったんだった。
ちなみにこれを読んだ後、しばらくオードリーのオールナイトニッポン(アーカイブ)を聴きながら夜散歩するのにハマっていた。いつの回聴いてもお二人とも楽しそ〜にダラダラ喋ってて聴き心地良かったんだよな〜。久々にまた聴いてみようかな。

『カラーひよことコーヒー豆』小川洋子

『博士の愛した数式』『妊娠カレンダー』などの小川洋子さんのエッセイ。静謐、っていう言葉がピッタリの作風がすきで、どんなエッセイを書かれるんだろう!と思って読んだもの。
作風から想像していたよりも柔らかい方というか、共感しやすい事柄について書かれていて、なんか小川洋子さんのことをさらに好きになった記憶がある。
特に印象的だったのが、賃金とか目に見える対価がない労働に対しては、地道に積み重ねていたらいつかお金で測れないようなご褒美がふとした拍子に舞い込んでくるものだよ、っていう話。う〜ん、ご褒美じゃなくて、なんかもっと素敵な表現だったような気もする。勲章……だったっけ。もっと血の通った温かい表現だったような。
とにかく、これを「私は専業主婦だから…」「自力(私)は外でお勤めして偉いね」が口癖だった母親に読んでほしくて、この本をあげた覚えがある。

エッセイって含蓄のある世間話ってかんじだ

わかった。なんか、エッセイって、普段の世間話よりももっと深いところまでその人の価値観に触れられる気がするから好きなんだ。
普段の会話でも、ひょんなことからお互いの価値観とか、考えの軸みたいなものに触れられる時があると思うんですけど、
エッセイの読後感って、その時の「あ、なんかこの人のことをより深く知れた気がする!」という充足感と似てる気がする。

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