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龍にまつわる四方山話

2024年は辰年

こんにちは!島根県在住のミライです。この土地で星よみをしながら暮らしています。

2024年の干支は辰。龍のことですね。
以前「神在月の出雲大社」という記事で、出雲大社の神事において龍や蛇が重要な役割を担っていることを書きました。
この事実はとても面白く、もう少し詳しく調べてみましたので、皆さんにご紹介したいと思います。

出雲の龍と蛇


稲佐の浜(弁天島)


出雲では毎年「神在祭」という神事が執り行われます。このとき、全国から神様たちが出雲へ集まってきます。
稲佐の浜へ降り立った神様たちの先導をするのは、龍蛇(りゅうじゃ)神という神様です。

そして、無事に神事を終えた神様たちがお帰りになる前に立ち寄るのが万九千神社。
ここでの神事は「龍神祭」と呼ばれ、近くの斐伊(ひい)川で秘儀にて執り行われます。

この龍蛇神というのは、ウミヘビの神様です。

実際に、稲佐の浜にはウミヘビが昔から打ち上げられているそうです。
そのウミヘビを出雲大社に奉納する神事もあるとか。
ちなみに、稲佐の浜にやってくるウミヘビは、沖縄の久高島あたりからやってくるという話を聞きました。高級ウミヘビ、イラブーです。
久高島はかつて琉球王国に仕えたノロと呼ばれる神女が神事を行っていた神の島です。
神様が海からやってきて稲佐の浜にたどり着くというのは、出雲の神事とイメージがリンクしていて面白いですね。

龍蛇神は今も信仰の対象として大切に扱われています。

出雲に伝わる神話には他に、八岐大蛇(やまたのおろち)伝説もあります。
8つの首と8つの尾を持つ巨大な化け物で、大量のお酒を呑んで酔っ払ったところをスサノオノミコトに退治されます。
八岐大蛇の解釈の1つに、斐伊川の洪水のことだとする説があります。水を支配する龍神ですね。


ドラゴンヘッドとドラゴンテイル


ドラゴンヘッドとドラゴンテイルは、過去世から続くカルマや今世で果たすべきことを表す


西洋占星術では、ドラゴンヘッド、ドラゴンテイルと呼ばれるポイントがあります。
月の軌道と太陽の軌道が交差するポイントのことで、実際そこには何も天体はありませんが、重要なポイントだと考えられています。

このドラゴンヘッドとドラゴンテイルは、過去世から続くカルマや今世で果たすべきことを表しています。そして、このドラゴンの示す先に、新しい絆や人とのご縁が広がると考えられているのです。

このドラゴンヘッド・ドラゴンテイルの考え方は、元々インド占星術で始まったと言われています。
インド神話では、9つの天体とそれを神格化した九曜(くよう)という神様が存在します。
太陽、月、水星など7つは実在する天体ですが、残り2つはドラゴンヘッドとドラゴンテイルのことで、天体ではありません。

九曜ではドラゴンヘッドをラーフ、ドラゴンテイルをケートゥといいます。
両者は元々は1つであり、ラーフの尾の部分がケートゥになりました。
ラーフはアスラと呼ばれる、神々と対立する存在のひとつです。

神々はアムリタと呼ばれる不老不死の力を持つ聖なる飲み物を持っていました。
アスラたちはこれを度々奪おうとしていましたが、神々の宴会のときにアムリタを盗み飲んだのがラーフです。

ラーフに気付いたのが太陽の神スーリヤと、月の神チャンドラでした。
2人はこれを強大な力を持つヴィシュヌ神に告げ口しました。
ヴィシュヌ神は、チャクラムと呼ばれる円盤形の武器でラーフを両断しました。

しかし、アムリタを飲んだラーフは不死身になっていたので死なず、尾の部分がケートゥとして分裂したのです。

ラーフとケートゥは告げ口した太陽と月を恨み、今も2人を飲み込もうとしています。
これが日蝕と月蝕です。

インド占星術では、ラーフは現世利益をとことん追求する存在であり、口だけで胃がないのでいつまでたっても満足できない欲望として凶星と扱われています。

一方ケートゥには頭がありません。だからより純粋で精神性の高い象徴だとされています。しかし、現世利益に執着せずに精神性の高い状態が強すぎると、現実社会での生きにくさ(=現世での利益を失うという経験)として現れてくるため、これも凶星として扱われるそうです。

インド占星術でのラーフとケートゥの象意と、西洋占星術のドラゴンヘッドとドラゴンテイルの象意では差があります。

西洋ではキリスト教会で魂の輪廻転生が否定されていたため、占星術は長らく不遇の時代を過ごしました。
ドラゴンヘッドとドラゴンテイルは、魂の輪廻転生に関わる重要なポイントです。
その研究がインドで高度に発展した後、再び西洋に輸入されたとき、インドと西洋の思想の違いから解釈に差異が生まれたとされています。

インドでは、輪廻転生で辛く厳しい現世で生きることからの解脱を目指しています。
そのため、現世利益(ラーフ)ではなく精神性(ケートゥ)を求められるのです。

ラーフばかりをやっていると現世では成功するかもしれない。
だけど、それでは輪廻からの解脱はできず、永遠と終わりが来ないのです。
だから欲を絶ってケートゥを目指すことが必要だとされています。

西洋では元々、輪廻転生という素地がなかったため、この解釈をそのまま導入することが困難だったのではないかと思われます。

西洋占星術ではドラゴンテイルは、過去世で繰り返しやってきたことを表します。
だから今もついやってしまう、得意なこと。
でもそればかりをやっていると、過去からのカルマを解消することができず、それ以上の成長はありません。

一方ドラゴンヘッドは、今回の人生で取り組むべき課題を表します。
過去世でやり残したことなので、取り組むときには困難が伴います。
けれどもトライすればカルマを解消でき、成長をすることができます。

同じ感受点を表しているのに、最終的に解釈が真逆になってしまうのが占星術の面白いところですよね。
どちらが正しいかという正解はありません。

ドラゴンヘッドとドラゴンテイルは必ず真向かいに位置しています。
つまり同じ軸の両端なので、同じテーマを示しているのです。

自分のドラゴンヘッドとドラゴンテイルが何を表しているのかを、自分自身であれこれ考えて正解を探していくんだと思います。
私も自分のドラゴンヘッドとドラゴンテイルが示すカルマを、ゆっくり時間を掛けて紐解いていこうと思います。

西洋占星術ではドラゴンヘッドとドラゴンテイルは、人とのご縁のポイントとも言われています。

自分のドラゴンヘッドに関わる人は、今回の人生で共にカルマを解消するために出会う大事な人。
ドラゴンテイルに関わる人は、過去世ですでにそのご縁の役目が終わった人。腐れ縁とも言いますが、過去世で慣れ親しんだ人なので気安さから甘えが出やすいのかなと思います。安心感はありそうですね。


蛇について


蛇はアダムとイブに禁断の実を食べるようそそのかした


蛇は聖書にも登場します。
アダムとイブにエデンの園のりんごを食べるように唆したのが蛇でした。人間に罪を犯させる悪魔として描かれています。

ヨーロッパの伝承ではバジリスクという蛇の化け物が伝えられているのも有名ですね。

悪の化身、恐怖の対象と見なされていたのが蛇です。
しかし同時に、神として崇められてもいました。

蛇の猛毒を考えれば、咬まれたら死がもたらされるという蛇に恐怖を覚えるのは当然理解できます。

ではなぜ信仰の対象になったのでしょうか?

蛇は何度も脱皮していく生き物です。
蛇にはまぶたがありませんが、目の膜まできれいに脱皮するそうです。
昔の人々は蛇の脱皮を見て、不死や再生の力を感じていたのではないかと思います。
古い皮を脱いで、新しい自分に生まれ変わる。
そこから神秘的な力強い生命力を、蛇に感じていたことでしょう。

また、蛇の毒から血清を作り、薬として活用していた記録が古くからあるようです。
死をもたらす毒も、上手く活用すれば薬になる。
そんな、生と死を結びつけるものの象徴として蛇を崇めていたのかなと思います。

ギリシャ神話に出てくる治療の神様アスクレピオス。彼が持っている杖にも蛇が巻き付いています。そのため、現在でも様々な医療機関のロゴマークには蛇がモチーフとしてよく使われています。WHOのロゴマークにも蛇が描かれています。

医学の神アスクレピオスと蛇の杖

話を出雲に戻しますが、出雲大社には龍蛇神を信仰する団体が存在します。火難除け、水難除け、土地の災難除けの守護神として崇められています。

神社には必ずあるしめ縄も、蛇をモチーフとしていると言われています。
生と死を結びつける蛇。
相反する2つのものを結びつけるということです。
しめ縄とは結界の境界線。神様の領域と人間の領域、2つの間にあるものです。
男と女も相反する2つです。両者を結ぶのが縁結び。
縁結びに一役買っているのが蛇ですね。

また、古代出雲は薬草を活用した医療の先進国だったようです。
全国各地の風土記の中でも、出雲風土記は薬草について多く記述されています。
医療の国で、蛇も崇められているのは、やっぱりといった感じですね。


人類の叡智

言うまでもないですが、蛇は現実に存在し、龍は存在しません。
しかし、両者はともに遙か昔から人々の間で身近な存在であり、畏怖され、信仰の対象としても扱われてきました。
人は誰しも必ず死を迎えますが、死後の世界は分からないことだらけです。
死への恐怖はいつの時代も人々を苦しめてきました。
生と死を象徴する蛇、そして龍は、その恐怖を受け入れて今を懸命に生きることの大切さを教えてくれる、遠い昔からの人々の叡智だと思います。

最後に、Wattle Sunshineの師匠であるyoky先生のInstagram投稿から、ドラゴンに関する記述をご紹介します。

東洋と西洋では意味合いが異なる「ドラゴン」。

西洋では、自分が欲しいものを手に入れるために、
倒さなくてはいけない最後の強敵。

東洋では、成長と発展を促す幸運の象徴。

でも、どちらにしても、強い意志を問うてくる象徴であることには変わりないんじゃないかな。
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自分はどう在りたいのか。
どんな軸で生きるのか。
どの道を進むのか。
⁡⁡
「決めろ」と問うてくるドラゴンの目。
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それが、自分の最大の武器となり、
先を見通す力となり、
未来を守ってくれるものとなる。

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書いた人
Humminglifeミライ(星を味方につけて鼻歌まじりの子育てを。ご縁の国、島根で星よみと子育てを楽しんでいます。ドラゴンヘッドは牡牛座。「考えなしにお金を使ってはいけない」と記述されてある本を見つけて耳を痛めています。)

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