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店員の荒川さん

オードリー若林さんのYouTubeチャンネルに、オーダースーツを買いに行くという回がある。
もう何回も繰り返し観ていて、疲れたり、のんびりしたい時は必ずと言っていい程観ている。

若林さんが番組を通じて知り合ったスーツのお店「SADA」にオーダースーツを作りに行き、生地選びからじっくりと決めて行く様を延々と映しているもので、取り立てて面白いものではないのかもしれないが、「SADA」の店員の荒川さんがもう最高なのでお伝えしたい。

みなさんは洋服を買いに行って店員さんに話しかけられて、それが嫌でつい逃げるように店を後にしてしまったことはないですか?
私はめちゃくちゃある。というかそればかりだ。

朝早い時間に店に入ったら、スーツをバシッときた男性の店員さんが2人、手を前に組んで正面から「いらっしゃいませ!」と声も高らかに頭をキッチリと下げてくださりました。そのまま回れ右をしました。ごめんなさい。

人もまばらな店内で「そのセーター気になってます?」
とふいに後ろから言われ、「いや〜…」とヘラヘラしながら立ち去ってごめんなさい。

店員さんもきっとそうしなければいけないから、もしくは良かれと思って声をかけてくださるのでしょう。

しかしながら、1人でいる時はコミュニケーションのツールをオフにしている自分は、このような急激な状況の変化にとっさにツールが機能せず、千に好意を拒否されたカオナシのようになってしまう。あ・あ・・

という事で身勝手な私は洋服屋の店員さんが少し苦手なのだか、「SADA」の荒川さんを見た後はやっぱり結局は人だよな。と思ってしまった。
人財だよなぁと。めちゃくちゃいい店員さんだ。

たぶん「SADA」はオーダースーツのお店なので、店員さんの接客必須で、私の身勝手な体験話とはそもそも状況が違っているけれど、この荒川さんの接客している様に思わず釘付けになってしまって、あたかも自分が接客されているかのように感じて楽しくなってしまった。

悩んだりボケたりふざけたりしながら、生地やらシャツやらを決めていく芸人若林。プライベートとはいえYouTubeのコンテンツなので芸人らしく笑いがきちんと収められていてとても面白い。ニヤニヤ、クスっとしてしまう。

ここに店員の荒川さんが店員としてプロの仕事をしているわけだが、これがすごく気持ち良い。

要するに「余計な事を言わない」のだと思う。

とてもフランクな芸人若林に対して、店員として決して距離を縮めず、でも乗っかるところはきちんと乗っかるし、楽しんでコミュニケーションをとる。そのやりとりがすごく面白いのは若林さんの力だけれど、それ以上に相手の求めるものを、言葉であろうとスーツの生地であろうと、きちんと理解して返して、その場の空気を崩さず、どんなにその場が沸いていてもお客様と店員である自分の垣根はきちんと守って、つい出てしまいそうな自分の自をださない。つまり余計な事は言わない。
求められたものは出して余計なものは出さない。

きっと「SADA」でもすごい人なんだろう。


しゃべりすぎる、やりすぎる、は基本的にあまり人に求められない。
人はつい色々と話したくなるものだ。相手に理解してもらいたいし、理解してもらうのはとても嬉しいと感じるから。でも理解してもらおうというのがそもそも図々しいのだ。家族でもすべては理解できないし自分の事だって理解してはもらえない。当たり前のことだ。

人に好かれる人というのはだいたい聞き上手な人で、モテる人というのも男女問わず聞き上手な人だ。

自分の事よりも、相手の為に自分のスペースを大きくあけて受け止めようとするスケール感があると、人間としての成熟度が高いなあと感じる。

スキルの高いオーダースーツ店員の荒川さんを楽しく観させていいただいて、そんなことを考えた。
そんな物腰の柔らかい荒川さんが、私生活では意外とワイルドだったり、身なりに無頓着だったりしたら、おもしろいですけどね。

AIのことがよく話題になっているが、人ひとりが持つ価値はオンリーワンだ。そう思うと心が温かくなる。

まとめると、話しかけてくださった店員さんを受け入れる為の微塵のスペースも持ち合わせていない私は、もうどうしようもないという事で、人間としての成熟とは無縁の人生だ。仕方がない。

朝起きて、夜布団で寝られたらそれだけでもうエライのだ。って誰かが言ってました。

同感です!

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