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神ゲー「うごくメモ帳」から学んだこと

このカエルを知る人は、どれだけいるだろうか――。

引用:https://www.nintendo.co.jp/3ds/dl/jkzj/index.html

私の創作活動の原点と言えば、やはり「うごくメモ帳」でしょう。

「うごくメモ帳(以下、うごメモ)」は、任天堂がDSiや3DSで配信したゲームタイトルの総称で、名前の通りパラパラ漫画のような作品を手軽に作る事が出来る、というソフトウェアです。

単なるパラパラ漫画に留まらず、カメラからの画像や音声録音を利用できるのが特徴で、単に同じ"作品"と言っても、その表現力は無限大です。

以下は作例です。

うごメモは、私の学生時代のほとんどを費やしたといっても過言ではないくらい凄く大きな存在です。
うごメモには、自分の制作した作品をインターネットの専用サービスに投稿できる機能がありました。(DSiなら「うごメモシアター」、3DSなら「ワールドうごメモギャラリー」)
私は主に後者の「ワールドうごメモギャラリー(World Ugomemo Gallery 以下、WUG)」で主に創作活動を展開していました。

引用:https://www.nintendo.co.jp/3ds/dl/jkzj/world.html

今回のnoteでは、そんな「うごメモ」で創作活動を小学生の頃からしていたことで、得た「学び」を皆さんに紹介したいと思います。


自分の「好き」を知れた

いきなり陳腐な話かもしれませんが、こういう作品投稿サービスであるWUGを使っていると、自分の「好き」を改めて知ることが出来ました。

…これはnoteやYouTube、Twitterでも全く同じことが言えると思います。
ただ、既存のSNSと大きく異なるのは、「うごメモ」の投稿者の平均年齢が割と低いこと。
つまり、YouTubeなどでよく見かける大人達の存在が、うごメモではかなり少ない方だったので、当時小学生だった私は、そういった意味でも何だか安心感がありました。感性が近い、というのもあるかも。

自分と近い年齢の人たちが、アニメや漫画の二次創作的なPV作品や、いわゆる「ドナルドMAD」に代表されるようなカオスな作品、そして、一体何を駆使したらこんなすごい出来になるのかわからない作品を作っていて、WUGにアクセスすれば、色んなものを見ることが出来ました。

そして、それら作品に共通しているのは、作品の出来に関わらず、みんな<同じ制作ツールを使用しているということ>でした。

YouTubeで動画をちまちま投稿するようになった今でも、うごメモの時と同じように、ジャンルを問わず、様々な動画作品を見ます。

特に、自分より低い年齢の方が制作したモーショングラフィックスなどを見ると、感動と嫉妬を覚えて何だか複雑な心情になってしまうのですが、この時使用しているソフトの名前が「Adobe Premire Pro」であることを知ると、「自分の使っているソフトが違うから、これは仕方がない」などと、言い訳ができてしまいます。

ところが、うごメモの場合、投稿するために使用する制作ツールは全部同じです。編集ソフトが全く同じです。

それ故、自分の投稿した作品よりも、はるかに優れていて、そしてどんな技術を駆使したらそうなるのか分からないような作品に出合えた時は、感動と嫉妬、それに先ほどには浮かばなかった「探究欲求」が生まれるのです。
その作品を自分の3DSにダウンロードし、一ページずつ確認し、表現方法を探求する…。そんな日々を送っていました。

自分の「好き」に+αできた

優れた作品に出合い、探究した結果、今度は「自分の作品に取り入れたい!」という欲求が生まれてます。

自分の創作活動の原動力は、やはり「好き」です。

(何でわざわざ動画を引用したのか自分でも分かりませんが…笑 上記楽曲のように)この止まらない「好き」という気持ちがある以上、先に完成した作品を、後からブラッシュアップしたいと考えることはよくあります。

その「好き」と言う気持ちのために、

WUGで作品を見る

「これすごいじゃん!!」という表現を知り、探究する

自分の作品に取り込む

更なる「好き」のために、WUGで作品を見る(以下繰り返し)

というループが生まれます。これにより、先駆者の作品を参考に、自分の作品に+αすることができました。
このループは創作活動の上では結構大事なことだと勝手に思ってます。

というのも、段々自分の腕前が上がっていくと、いつしか「これまでの自分の腕前の向上は、私一人の力によって仕上がったものであるから、今後他の人のを参考にする必要はない!!」と意地を張ってしまうのです。

しかし、自分一人だけでは作品のクオリティを向上するのに限界があります。従って、上記のループを実践し、常に様々な表現を自分に取り込む必要があるのですが、うごメモの活動を辞めた後、正直なところ、このうごメモの話をnoteに書くまでずっと意地を張っていました…。情けないことです。

でも、こうしたループの存在を既に知っていたので、これからの創作活動の方針をすぐに改めることが出来ましたし、知っていて損は無かったんだ!という発見が出来ました。そのループを実行するにあたって、うごメモは便利な場所だったと思います。

今でもそのテクニックを使える

うごメモの創作活動で得たテクニックは、今現在の動画制作でも大いに役立っています。

例えば、シーンチェンジや文字の縁取りの重要性、更にはうごメモの作品投稿にも「サムネイル」という概念があったので、多くの人に見てもらいやすい効果的なサムネイルの作り方…など。

一度うごメモで知ったテクニックは、今でも十分に通用していると思います。何なら、うごメモのテクニックは本としても出版されているくらいです。

電撃Nintendo編集部「うごくメモ帳 3D すごテク!88」表紙

礼儀礼節やネットカルチャーの基礎知識を学べた

WUGでは、作品を投稿すると、コメントが付きます。そのコメントを通じて、共通の趣味を持っている他の作者と繋がり、互いを評価し合ったり、時には合作したりと、最もインターネットらしい繋がりができる場でもありました。

その過程で、私はいろんな方々とコミュニケーションをとるようになり、同時にインターネットで必要不可欠な礼儀礼節、そしてネットカルチャーの基礎知識(ネットスラング・有名なネタなど)を知ることが出来ました。

後者に関しては小学生だった私からすると、少々刺激的なものばかりでしたが、"インターネットに生きるZ世代"という肩書を持つ自分からすると、これはかなりの英才教育になったのではないかと思います。

黒歴史になった、でもこれは多分必要な黒歴史

WUGは、お察しの通りユーザーの平均年齢は低めです。従って、ユーザーがインターネット上の礼儀礼節をわきまえず、トラブルに発展するケースが多々ありました。

多くはTwitterやYouTubeでも変わらない罵詈雑言ですが、うごメモらしいトラブルと言えば、それは通称「丸コピ」と呼ばれる、作品にほとんど加工を施すことなく複製公開するという、視聴者数などを稼ぐための露骨な手段です。

画像のように、親作品と子作品との間にはリンクが生まれるので、結局原作者や親作品の存在を確認することができる仕組みとなっている。(画像は作成・イメージ)

これもTwitterでは「パクツイ」としてよく見られる光景ですが、うごメモの特徴として、「丸コピした作品は、親作品(原作)に子作品(二次作)として自動リンク登録される」という特徴があります。
簡潔に言うと、「パクツイはパクられ元を特定する必要があるが、丸コピは特定しなくても丸コピ元が分かる」と言うものです。
丸コピ元を自分で晒しておきながら、丸コピとして複製作品を公開する――今考えてみれば、中々に恐ろしい光景だと思います。

また、人気ユーザーに対して熱狂的に"信仰"し、執拗な追いかけ行為をする「○○信者」という恐ろしい存在も多数ありました。

言ってしまうと、私もその「○○信者」のうちの一人でした。自分とは遠く離れた存在でありながら、その人が作品を投稿すればすぐ駆けつけ、何ならその人の内輪的な会話に、無知でありながらも乗り込もうとする…
今思えば、本当に恥ずかしいことです。

このように、うごメモで活動していたユーザーの多くは、多分こういう未熟さゆえの「黒歴史」を大量に持っていると思います(失礼)

無論、私もその一人です。

しかし、この「黒歴史」のおかげで、今後私はインターネットで過激な追っかけはしないように決意を固めることが出来ましたし、変に炎上に加担してはいけないことも、改めて理解できました。
つまり、この経験がなかったら、今頃私はインターネット上の常識を知らないままインターネットを使っていた、ということになります。恐ろしいですね。

小学校あるあるの「ネットリテラシー教室」などという、口頭とイラストのパワーポイントを見せられるよりも、こっちの方が効果は抜群だったと思います。

「黒歴史」という代償はありますが。

おわりに

ここまで振り返ってみると、うごメモは、今の自分を形成する上で欠かせない「神ゲー」だったことに気づきました。

同時に、自分の恥ずべき過去の愚行も思い出し、正直震えながらこのnoteを書いていたのですが、多分、この経験がなかったら私は、今、このインターネットで騒動ばっかり起こすような厄介な人間になっていたと思います。

また、自分の創作活動のあり方を決める事にもなりましたし、何より作品を通じて、人と繋がることの感動を一番早く知ることができたと思います。

WUGは2018年に終了していますが、今でもYouTubeではうごメモで制作された新規作品が数多く公開されています。
やはり多くの人を引き付ける魅力が、このゲームにはあるのでしょう。

長い駄文になってしまいましたが、ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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