落研出身です、ということ

お世話になっております。

銀杏亭魚折という名義で素人落語をしています。

ここ最近別名義での活動を機にインタビューを受けることが多く、その際に「もう落語は止めたんですか」と聴かれることがあります。

ばりばりやっています。続ける気満点です。

考えを整理するために文章を書きます。
合間に落語の動画を載せるのでよかったら観て下さい。

落語を始めたのは19才の齢です。大学の落語研究部に入って始めました。落語研究「会」ではなく「部」であることを強調している変なサークルでした。当時、めちゃくちゃ痛い奴だった僕は、落研の覇権を握るつもりで初ネタ下ろしに臨んでいました。演劇部出身だから基礎はできている、こんな何ともつかないメガネたち(僕もそうなのですが)に負けるわけがない、と息巻いて「桃太郎」を下ろしました。結果としてトリに上がった先輩の「子は鎹」に完膚なきまでに叩きのめされ、落語ってスゲー!と改めて思うことになりました。そこからずっと落語を続けています。

大学時代は古典落語を、それなりに自分流に改造して上演し、ほぼ原形が無くなった「動物園」という落語で日本一までいったのですが、社会人になってからめっきりウケなくなりました。もともとお笑い志向で落語の素養がそこまでなく、演じ分けも下手なのでどう直せばいいか分かりませんでした。ウケることを目的にやっている落語がウケなくなり、どないしたらええねん、というタイミングで新作落語をはじめることになりました。

新作落語を始めたきっかけはコカ・コーラのポータルサイトでした。ガラケーで眺めていたサイトには諸々のニュースが表示されており、そこにロックバンド「嘘つきバービー」がオープニングアクトとして落語家を募集している旨が記載されていました。なんとなく応募したところ選考を通過し、梅田シャングリラというライブハウスで落語をすることになり、台本があると思ったら無く、「まんじゅう以外全部怖い」という新作落語を一週間で作って上演しました。これが思いの外好評で調子に乗り、よくわからない新作落語を量産するようになります。そのうちの一本「スライダー課長」がかなりのアタリを獲って、社会人落語でも日本一になることができました。

やっているのは新作ですが技術的な面では落研で4年間鍛えていただいたのが大変役に立っていると思います。一年からいきなり新作落語をやっていたらここまで続けていないはずです。落語にはなんとなく「型」のようなものがあり、その枠内であればどこまでも遊べる、というのが大きな魅力です。学生時代に他のすべてをなげうって「型」の習得に努めたのが今に生きていると思います。普遍的なお笑いについて学べるのは落研の良いところです。

今後どういう状況になっても、最終的に落語だけは続けていきたいなと思っています。R-1グランプリ決勝の11日後には創作落語の会に出ており、そこでネタを3本卸すという暴挙をやっています。お金はいっさい絡んでいません。純粋に楽しいからやりました。これからも楽しくありたいです。

創作落語が40本を超えたあたりから台本集を作りたいと思いはじめ、この春ついに印刷所に原稿を送付して台本集を100部刷りました。100部届いたときには心底後悔しましたがありがたいことに少しずつハケてきています。僕の作った落語については上演は自由です。上演しないにしても何かしらの参考になれば幸いです。5/19の文学フリマ東京で頒布する予定です。

齢を取って何も思いつかなくなったら、改めて古典に戻りたいです。素人落語は年をとっても面白くありつづけられるのが良いところです。先日、社会人落語日本一の方ばかりを集めた寄席に参加しました。参加者皆様全員声がデカく、圧が強く、めちゃくちゃ面白かったです。こうなりたいと思わせる先輩方ばかりでした。自分もああなれるように頑張っていきたいです。

落研で良かったと思うことが齢を重ねるごとにどんどん増えてきています。もし興味があれば皆様ぜひ落語をやってみてください。思っているより簡単にできるし、やりがいもあります。落語の競技人口を増やすのに貢献できたらこれ以上ない幸せです。僕も頑張ります。寄席に呼んでください。

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