傍流音楽記⑧戦国時代のただなかで

おりしも世はアイドル戦国時代と呼ばれる時期に突入し、物凄い量のアイドルグループが発生していました。僕は覚えているだけでもゆるめるモ!、バンドじゃないもん!、Bellring少女ハート、おやすみホログラム、PassCode、Bish、清竜人25、じゅじゅ、HauptHarmonie、Necronomidol、細胞彼女、ぜんぶ君のせいだ。、ベイビーレイズJAPAN、sora tob sakana、フィロソフィーのダンス、せのしすたぁ、てらぱるむす、黒猫の憂鬱、あヴぁんだんど、むすびズム、まねきケチャ、校庭カメラギャル、東京墓嵐、くぴぽ、東京墓嵐、姫乃たまさん、寺島由芙さんなどのライブに通っていました。見た目で推すこともあれば曲で推すこともあり、チェキを撮りにいったら地元が一緒で応援したこともありました。一向に友達はできませんでしたが楽しかったです。いろいろな場所にライブを観に行きました。特に印象深かったものとして、伝説のイベント「淡路島ガールズポップフェス」の思い出話という鉄板漫談があるのですが、ここでは割愛させていただきます。

反面、自分は常にモヤモヤした思いを抱いていました。ただアイドルに会いに行くだけでよいのでしょうか?ぜんぜん良いはずなのですが何故か自分はそれを良しとできませんでした。色々と考えた結果、同じイベントに出ようと画策するようになりました。

一番の端緒となったイベントは「フェスボルタ」です。2000円払ったら誰でも出られるイベントでした。僕は渋谷のライブハウスに単身乗り込んで自作の落語「スライダー課長」を上演し、生ハムと焼うどん、あヴぁんだんど、黒猫の憂鬱を観ました。少女閣下のインターナショナルは出番が被ってて観れませんでした。思ったよりウケたことに味を占め、フェスボルタにはこの後ほぼ毎回参加するようになり、本当にさまざまな経験をさせていただきました。大ヒット前の眉村ちあきさんを観たり、やついフェスにフェスボルタ枠で出演したりしました。今もなおイベント復活を心待ちにしています。

成功体験を糧に参加したのが「廃病院パーティー」でした。初台の廃病院を舞台に開催された音楽フェスです。ゆるめるモ!がどうしても観たかった僕は病室をひとつ借り切り、関東と関西の知り合いをかき集めて一日中寄席を行いました。客席で仮面をつけた男性が大笑いしていて面白かったです。廊下を徘徊しているゆるめるモ!の前で揚げた虫を食べたり、トリで落語をやっていたら後藤まりこさんが一瞬通りかかったりしました。人生を回収できたような気持ちでした。

次に参加したのが「さる小音楽祭」でした。群馬の廃校で行われた音楽フェスです。バンドじゃないもん!がどうしても観たかった僕は、関東の知り合いを引き連れてバスに揺られながら会場へ向かいました。図書館で大声を出すものの明確にスベり、DJ汐りんを観ながら大量にカシスオレンジを飲んで泥酔状態でスライダー課長を上演しました。その直後に、着物のままバンドじゃないもん!のライブを観ました。「ショコラ・ラブ」は名曲だったし汐りんは本当に可愛かったです。夢のような一日でした。

自分をイベントに参加する側へ持っていったのは、屈折した自意識のなせる副作用のようなものでした。ただ、イベント参加は毎回新鮮に楽しかったです。音楽フェスのお客様の前でネタをやると、少なくとも真剣に見てはくださるのでありがたいです。何よりスベっても楽しい一日になることが確定しているのが素晴らしいので、今後も異業種のイベントに参加を積極的にやっていきたいと思っています。

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