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マイアとゼウスとおおぐま座とこぐま座(早口言葉で言ってみよう)

前回も書きましたが、マイアはアトラスとプレイオスの娘。

父アトラスはこの回でも書いたように、ゼウスに「地の果てで空が落ちてこないように支える」と言う厳罰を与えられた神。

母プレイオスはオアケノスの子で「3000人のオアケニデスの一人」。

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マイアとゼウスの馴れ初め??

アルカディア(ギリシャの南端)にあるキュレーネ山で静かに暮らしていたマイアの元に、ある日突然ゼウスが現れ、密通してしまう。

それによって出来た子供が「ヘルメス」。
この記事にも書いたけど、ヘルメスは

泥棒の神。

もちろん、旅の神、商業の神、牧畜の神、でもあるけど、これらはヘルメスの後のエピソードから加えられたものになる。

実はゼウスは最初から「泥棒の素質を持った子」が欲しかったと言う。
他の神々を欺けるほど口が上手く、平気で物や情報を盗めるような子供を作って、自分の配下に置くことを企んでたんだ。

そんな素質の子供を作る相手に、なぜ「マイア」を選んだかは謎だけど、

一説では、「ゼウスはヘラが寝ている隙にこっそりと抜け出し、まるで泥棒のようにマイアの家に忍び込むこと」で、「泥棒のような子供が出来る」と考えたらしい。。(そして実際、その通りの子ができた!?)

・・・うーん、「この一説」はかなりのこじつけ感があるけどなぁ(苦笑)

アルテミスとマイアとカリスト

マイアは処女神アルテミスに仕えていた女神の一人。

その他にもアルテミスに仕えてた女神やニュンペー(精霊)は沢山いて、その中に「カリスト」という名のニュンペーがいたんだ。

マイア同様、処女神アルテミスに純潔を誓い、忠実に仕えていたカリスト。

ところが。
そんなカリストに目をつけたゼウスが、アルテミスに変身し、カリストを騙して密通してしまう。
純潔を失い、ゼウスの子供まで身籠ってしまったカリストは、その事実に絶望しながらも、アルテミスにバレないようひた隠す。

しかし・・・
ある日、アルテミスの命令で皆で沐浴をしなければならず、裸になったカリストはその場で妊娠がバレてしまう。
処女神アルテミスは当然ながら激怒し、カリストを追放。

その様子が描かれているのがこちら。
ヴェネチアルネサンスの巨匠、ティツィアーノの作品。

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「アルテミスとカリスト」
(アルテミスはローマ神話のディアナと同一)
作者:ティツィアーノ・ヴェッチェリオ
制作年:1556〜1559年
所蔵:ロンドンナショナルギャラリー(イギリス、ロンドン)
      スコットランド国立美術館(スコットランド、エディンバラ)
共有

妊娠がバレ、他の女神やニュンペーに抑えつけられるカリスト。
指を差しながら「その女、追い出しな」と言ってるかのようなアルテミス。(怖)

さすがティツィアーノ。
美しい絵画ですが、アルテミスの冷徹さもちゃんと伝わってきますね。
(この絵の中に「マイア」がいるかは分からないけど、アルテミスの足元でアルテミスを見上げながら「許してあげて・・・」とでも言ってそうな女性が、もしかしたらマイアなのかなぁと思ったりもします。)

カリストが産んだ子は

追放されたカリストは絶望に打ちひしがれながらも、「アルカス」と言う名の元気な男の子を産む。

しかし、カリストの悲劇は続く。。

ゼウスとカリストの関係を知った「ヘラ(ゼウスの正妻)」が嫉妬に狂い、なんとカリストを熊の姿に変えてしまったんだ。
熊になったカリストは泣く泣くアルカスと別れて森の奥で暮らすことに。。

アルカスは生まれてすぐに一人ぼっちになってしまったけど
そんな彼を引き取り、育てたのが「マイア」だったんだ。
マイアに立派に育てられたアルカスは、15歳になる頃には「アルカディアの王」にまでなる。

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おおぐま座とこぐま座のお話

ある日。
アルカスが森で狩りをしていると、大きなクマと遭遇する。

そう、このクマが「実の母=カリスト」だったんだけど、アルカスは当然それに気づかない。
一方、クマ=カリストの方は「息子だ!」と直感してアルカスに近づいて行くんだけど、危険を感じたアルカスは弓でクマを討とうとするんだ。

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その時、それを見ていたゼウスが「待った」をかけた。
そして「子が親を殺すなんて、そんな悲劇は可哀想だ・・・」と、2人を空にあげ、カリストはおおぐま座に、アルカスはこぐま座になり、2人はその後ずっと空で一緒にいることができた・・・

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と言うお話なんだけど・・・。

結局全部ゼウスの勝手(笑)

マイアを星にしたのもゼウス、、、(→こちらのお話
カリスト(とアルカス)を星にしたのもゼウス、、、
しかもマイアもカリストも、ゼウスのことを好きでもなんでもなかった。。

なんか、、、最後「星になった」ってことで、美談っぽくして終わらせるのが神話のすごいところだけど、よく考えろ、全部ゼウスの勝手じゃないか(笑)

だけど、個人的にちょっと安心するんですよね。
もちろん「神話と言う物語上のこと」と言うのもあるけれど。

何でもかんでも・・・あまつさえ「他人の不倫」にまでも意見し、叩きまくる現代(現実)。私はやっぱりちょっと辛いなぁと。
だって「他人の不倫」は本来、「非公開の他人の物語」なのでは、、、?

私はゼウスのように公開されてる物語で十分かな(笑)

◇◇◇◇今日のおまけ◇◇◇◇

おおぐま座、こぐま座が出てきたので、今日も少し星の話を。

おおぐま座の腰から尻尾にかけてあるのが「北斗七星」。
北斗七星は春の星座とも言われてるので、そろそろ見どころです。
(天気が良い夜、北〜北東の空を見てみてくださいね)

一方、こぐま座の尾の先にあるのが北極星(ポラリス)。

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北極星と北斗七星は、一晩中沈まない星(星座)と言われてる。

そしてギリシャ神話ではそれを

怒りがおさまらないヘラが、星になったカリスト(おおぐま座)とアルカス(アルカス)を休ませないよう、地平線に沈まないようにした。

としてるんだ。

・・・やっぱりヘラ、執念深くて怖い( ;∀;)

ちなみに私は「北斗七星=ケンシロウ」が1番に思い浮かびます。


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