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アイデアを生む水平思考

今週もウェブ解析士のnoteをご覧いただきありがとうございます。
マーケティング活動を行う際に、セオリーに縛られて新たな発想を得ることが難しいなって思う瞬間ありませんか?今回は、そんな時に活用できる水平思考という考え方をご紹介します。


ラテラル・マーケティング

ラテラル・マーケティングは、伝統的なマーケティング・アプローチに対抗するために、コトラー氏が提唱したものです。コトラー氏は、元来のロジカルに組まれるマーケティングの垂直的な思考法では新しい発想に至るのが難しいと考え、心理学者のエドワード・デ・ボノ氏が提唱した水平思考をマーケティングに応用し、ラテラル・マーケティングに昇華しました。
これは、商品やサービスを新たな視点から捉え直す手法で、革新的なアイディアを生み出すためのプロセスとして知られています。水平思考を用いたラテラル・マーケティングは、業界慣習から離れ、新しい発想を引き出す力を持っているとされています。

水平思考のステップ

水平思考をマーケティングに取り入れるには、①フォーカスを選択、②水平移動でギャップを見つける、③ギャップを埋める方法を検討する、というステップを踏んでいきます。

①フォーカスを選択

対象となる商品の特性を考えていきます。いくつかの特性を挙げて、そのうちどの特性にフォーカスするのかを選択します。
例えば、ダウンコートであれば「軽い」「暖かい」「嵩張る」などですね。

②水平移動でギャップを見つける

①でフォーカスした特性に対し、水平思考を用いることで変化を加えます。
変化のさせ方には、「逆転・代用・結合・強調・除去・並べ替え」という6つの方法があります。それぞれについては後述しますね。

③ギャップを埋める方法を考える

②で変化させた特性を実現するには、どうすれば良いのかを考えます。
ダウンコートの例で「嵩張る」にフォーカスした場合、逆転の発想を用いると「嵩張らないダウンコート」というアイデアが生まれます。
これを商品化したのが、ユニクロのウルトラライトダウンですね。ジャケットの下に着込めるダウンで、コンパクトに収納できてポケッタブルという今までにないダウンコートが生まれました。
「暖かい」に強調を用いると、カナダグースやノースフェイスなどアウトドアブランドのダウンのようなアイデアが生まれます。

水平思考の6つの手法

逆転

従来の期待に反する手法を採用し、新しい価値を提供します。例えば、商品の機能や特長を逆にアピールすることで、顧客に新しい驚きを提供できます。

代用

伝統的な製品やサービスの代わりになるものを考えます。代替品や異なるニーズに対応することで、新しい市場を開拓できます。

強調

製品やサービスの特定の側面を強調し、他との差別化を図ります。これによって、特定のターゲット層にアピールしやすくなります。

結合

異なる分野や業界のアイディアを組み合わせ、新しい付加価値を生み出します。異なる要素を結びつけることで、新しい市場の開拓が可能です。

並べ替え

既存の要素や概念を新しい視点で配置することで、革新的なアプローチを生み出します。従来の概念を再構築することで、新たな価値を創造します。

除去

製品やサービスから不要な要素を取り除き、シンプルで効果的な提案を行います。余計な複雑さを排除することで、顧客にとってわかりやすく魅力的なものになります。

水平思考を用いた事例

1. 逆転: スマートウォッチの逆転マーケティング

通常、スマートウォッチは健康やフィットネスのトラッキング機能を強調しますが、逆転の発想を用いた事例があります。それが、「デジタルデトックスの手段」としてアピールした広告キャンペーンです。ユーザーがデジタルから離れ、リラックスする時間をスマートウォッチがサポートするという独自の視点を強調しました。デジタルを使ってデジタルデトックスとは、まさに逆転の発想ですね。

2. 強調: グルテンフリー製品の特定の側面

グルテンフリー製品は通常、アレルギー対応や特別な食事制限に焦点を当てますが、強調の発想を用いた事例では、「美容と健康向上」に焦点を当てたグルテンフリースナックを提供しました。これにより、特定のニーズにアピールするだけでなく、新しい顧客層を引き寄せました。

3. 結合: 車と家の統合

結合の事例としては、自動車と住宅を統合した発想を用いたものがあります。電気自動車(EV)などでよく見られる手法です。車内で家庭用電化製品を充電・使用でき、車を移動する際にも家の一部として活用できるというものでした。加えて、自動車に溜め込んだ電力を家庭で使用できるなど、ユーザーに車と家を一体化させる新しいライフスタイル提案を実施しています。

4. 除去: シンプルなスマートフォン

通常のスマートフォンが多機能であるのに対し、必要最小限な機能に抑えたスマートフォンもあります。不要な機能や複雑な設定を排除し、基本的な機能に特化したスマートフォンは、高齢者やテクノロジー初心者にとって非常に使いやすいものとなりました。docomoが提供する「らくらくホン」などがこれに該当しますね。

まとめ

ラテラル・マーケティングは、新しい発想を生み出す手法として活用されています。水平思考を用いたこの手法は、商品やサービスを新たな視点から捉え直し、業界慣習から離れることで、革新的なアイディアを生み出すことができると言われています。
水平思考は、フォーカスの選択、水平移動でギャップの発見、そしてギャップを埋めるという3つのステップを踏んでいきます。ギャップの発見には逆転、代用、強調、結合、並べ替え、除去といった手法があります。

ラテラル・マーケティングを取り入れることで、企業は競争力を強化し、新たな市場を開拓する可能性を秘めています。水平思考を駆使して、常に新しい価値を提供し続けることが今後のビジネス成功の鍵になるかもしれませんね。

あとがき

今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
「中の人」はアイデアマンではないので、ぽんぽんと斬新なアイデアを出すことができないのですが、今回紹介した水平思考など、思考法・発想法のフレームワークを用いることで、なんとかアイデアを絞り出しています。
時にはロジカルではない発想も必要なんですね〜。

それでは、また来週お会いしましょう。

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