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BtoBマーケティングの基本

今週もウェブ解析士のnoteをご覧いただきありがとうございます。
さて、3週続けて、SNS・UI・GA4とデジタル絡みの記事を書いてきたので久しぶりにマーケティング色を強めな記事を書いてみようと思っています。
で、何を書こうかなぁと悩んだのですが、「中の人」はBtoBビジネスに触れる機会が多いので、BtoBマーケティングを考える上で基礎になる部分について書いてみようかなと思います。

BtoCとの違い

そもそも、マーケティングはBtoCビジネスにおいて発展してきました。BtoBにおいても流用できる考え方は多いものの、BtoCビジネスとの違い=BtoBビジネスの特徴を理解していないことには使いこなせません。
と、いうことでまずはBtoBビジネスの基本について見ていきましょう。

対象と顧客数

言わずもがなですが、BtoCの対象は一般消費者(生活者)であり、BtoBの対象は企業(法人)になります。つまり顧客数はBtoC>BtoBですね。圧倒的にBtoBの方が顧客数が少ない傾向にあります。

購入者と利用者

BtoCの場合、ほとんどのケースにおいて購入した人と利用する人は同じになります。一方で、BtoBの場合は、購入する人と利用する人が違うケースが多いのです。例えば、生産資材の場合、購買部が購入し、実際に消費するのは製造部ですよね。こうした場合、何を訴求するかという点において大きく視点が変わります。製造部が対象なので「使いやすさ」を訴求したいところですが、購入意思決定が購買部で行われるのであれば「コストパフォーマンスの良さ」を訴求した方が売れるかもしれません。

関与者と決定方法と検討期間

自分のために買うBtoC商材はほとんどの場合、購入者が独断で購入を決定します。一方でBtoB商材の場合は、複数人で検討・協議をして意思決定を行っていきます。購入に関わる人数は平均して5.4人ほどだそうですよ。
稟議などでは窓口になる担当者に伝えたことが「伝言ゲーム」状態で上席に伝わることもあるので、そういったことも想定しながらコミュニケーションを設計する必要があります。
また、こうして多人数で検討をする特性から、検討期間が長くなるというのもBtoBの特徴の一つです。

購入の目的と選定基準(検討項目)

BtoCの場合、購入の目的は多岐に渡り、好意や納得感といった基準で選定される「情緒購買」が基本です。そのため、検討項目は自身が重視するポイントのみで比較検討することが多いようです。
一方でBtoBの場合、何がしかの課題を解決するという目的のもと、経済合理性という基準で選定される「論理購買」になります。この場合、多岐にわたる項目を用いて比較検討されるため、一概に「これがいい」と言えないことが多いようです。そのために、迷いを無くすようなコミュニケーションが求められます。

情報量と判断の難易度

口コミや商品レビュー、SNS上でのUGCが充実し、店頭で実際に触ったり店員に質問したりできるBtoC商材とは異なり、BtoB商材の情報は多くありません。「お客様の声」もあくまでベンダーのオウンドメディア上に掲載されているに過ぎません。他者からの評価などの情報が少ないため、購入イメージが湧かず、判断するのが難しいとされています。

BtoB商材の購買要件

BtoBの購買プロセスでは3段階で検討されると言われています。最初が必須要件、次に機能要件、最後に情緒要件だそうです。それぞれを見ていきましょう。

必須要件(同質化要素)

最初に検討の対象になるのが必須要件です。「これが満たされていなければ検討のテーブルに乗らない」という最低条件です。言い換えれば、同質化要素です。これには、価格(予算に見合うか)・納期(必要な時期に手に入るか・物理的制約(装置の場合、自社工場のスペースや強度に耐えられるかなど)といった要素が含まれています。

機能要件(差別化要素)

まぁ、必須要件は大体の企業が満たしてくるわけですから、次に重要となってくるのが機能要件です。これは言い換えれば差別化要素になります。「競合他社に対するアドバンテージ」とでも言いましょうか。商材の機能や実績、フォロー体制などがこれらの要素として挙げられます。

情緒要件(最後のひと押し)

差別化要素でもっても、一長一短で判断しきれないことが多いです。その際に、最後のひと押しになるのが情緒要件です。情緒要件とは信頼感や好印象、熱心さや誠実性などです。
BtoB商材は導入してみないことには、その効果がわからないことが多いです。それなのに、判断材料となる情報も少なく、判断基準も曖昧になりがちです。そんな時に、必要になる情緒要件ですが、購買者はどこからその要件を読み取るでしょうか。
ベンダーが大企業であれば、ネームバリューがその役割を果たします。それ以外の場合、大きな要因となるのが営業さんです。窓口になる営業さんの印象が最後のひと押しになるのです。だから、BtoBではセールス領域が非常に重要だと言われているのですね。

(参考)購買センターへの影響要因

コトラー先生の書籍から購買センターへの影響要因を引用しておきます。上述の購買要件よりもより詳しく分析されている内容です。ひとつひとつ解説すると文字数がすごいことになりそうなので、今回は参考までにご覧ください……。

購買状況
・単純反復購買(リピート)
・修正再購買(条件を変えてのリピート)
・新規購買

ハード要因
・価格
・特性、機能
・品質
・配送
・サービス

ソフト要因
・安心感、リスク低減
・関係性、信頼
・時間的制約
・イメージの便益

環境要因
・需要水準
・経済予測
・金利
・政治情勢
・技術的進歩
・競争

組織要因
・目標、方針
・組織構造

対人要因
・関心
・権力
・地位
・感情移入
・説得力

個人要因
・職位
・年齢
・収入
・学歴
・個性
・文化

フィリップ・コトラー/ヴァルデマール・ファルチ
『コトラーのB2Bブランド・マネジメント』白頭書房

3CやSWOTで分析を行う際にも役に立ちそうな項目ですね。

まとめ

BtoB商材は、関与する人数や決定方法、検討期間など様々な点においてBtoC商材と異なります。これらのBtoBの特徴を理解した上でのコミュニケーション設計が求められます。
また、BtoB商材が買われるためには、満たさなければいけない要件が3段階あります。検討テーブルに乗るための必須要件、差別化を図るための機能要件、最後のひと押しになる情緒要件です。
論理購買されると言われるBtoB商材でも、最後は営業さんの態度や人柄が決め手になったりします。そのため、社内での教育や研修といったことも行っていかなければなりませんね。
これらの特徴をマーケティングに活かすには、『ウェブ解析士認定試験公式テキスト2023』に記載されている「リードジェネレーションモデル」に関する記述が非常に参考になります。ぜひ読んでみてください。
ちなみに、今回の参考文献はこちらです。

あとがき

今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
普段行っている業務でも、こうやって学び直してみると、まだまだ足りていなかったなぁと少し落ち込んだりしますね。(笑)
でも、実務をやったからこそ解釈が変わることや、理解しやすくなったこともあって自身の成長を感じたりもします。生涯学習ですね。
さぁ、これからも学んで実践を繰り返していきますよ〜!
それではまた来週お会いしましょう。


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