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CVR向上ためのボトルネックの見つけ方

今週もウェブ解析士のnoteをご覧いただきありがとうございます。
ウェブサイトの成果指標にコンバージョン率=CVRを据えるウェブ解析士の方たも多いと思います。CVRはウェブサイトの訪問者が特定のアクションを実行する確率を示し、通常は目標達成率や収益に直結しています。つまり、CVR向上は、ウェブサイト運用に関わる者の悲願とも言えますね。今週は、そんなCVR向上のためにボトルネックを見つけてみようというテーマで書いてみたいと思います。
「中の人」はリードジェネレーションモデルに触れることが多いので、リードジェネレーションモデルを念頭に書いていきますが、ECモデルなどでも同様のことが言えると思いますよ。


CVRを細分化する

分かりやすいように、ここではCV=フォーム送信として考えていきます。

一般的にCVRのイメージといえば、こんな感じでしょうか。

CVRのイメージ

このイメージで間違ってはいないのですが、このイメージから見出せる打ち手となると、セッション数を増やすことくらいしかないんですよね。

そこで、CVRのイメージを細分化して考えてみることで、具体的な打ち手を考えていくことができます。

Step1. CVRを2段階で考える

CV(フォーム送信)を発生させるには、フォームに誘導することが必要になりますよね。フォーム画面に辿り着かなければ、フォームを送信できませんから、当然です。これをイメージとしてみると、こんな感じです。

CVRを細分化したイメージ

こうして見ると、大まかなボトルネックが見えてきます。
フォーム到達数が少ないのか、フォームの完了率が低いのか。と言った具合ですね。前者であれば、サイト内のCTAは適切かどうか見直してみる、動線を増やすと言った打ち手が考えられます。後者であれば、EFOを実施してみると言った打ち手が考えられますよね。
どうですか?CVR向上のための打ち手がより具体的になってましたよね。
単純にセッション数を増やすという手も悪くないですが、バケツに穴が空いた状態では、いくら水を注いでもこぼれてしまいます。CV数が増えたところで、CVRは変わらないので見込み顧客を逃してしまうことになるんですよね。

Step2. さらに細分化する

さらにもう一歩踏み込んでいきます。多くのウェブサイトでは、フォーム到達するために、大多数のユーザーが訪れる(あるいは、訪れさせたい)ページというものが存在します。例えば、商品紹介ページなどがそれに該当します。ここのPV数が増えると、フォーム到達数も増えていきます。採用サイトなどでは、募集職種ごとの紹介ページや、募集概要(勤務条件)などが記載されているページが該当しますよね。
加えて、フォーム到達後ももう少し細分化することができます。
フォーム入力を始めても、途中で辞めてしまう(離脱する)ユーザーもいますよね。ここが計測できれば、EFOもより具体的に案を出すことができます。
これらをイメージとしてまとめると、こんな感じです。

CVRをさらに細分化したイメージ

さぁ、ここまで細かくすると、より具体的な改善策が出てきませんか?
ページ遷移率が悪ければ、各ページからの動線見直しが必要になりますね。関連ページ全てにUXを意識した導線が設置されているでしょうか?
Keyページからのフォーム到達率はどれくらいでしょう?CTAは適切な配置・訴求になっているのでしょうか?
フォームに到達後の離脱数はどうなっていますか?フォーム開始せずに離脱しているようであれば、項目数が多いなどで「めんどくさい」と思われているかもしれません。
入力を開始しているのにCVしないのであれば、エラー表示がわかりにくいなどの原因が考えられます。

GA4ではデフォルトのイベントにform_startがあるので、カスタムイベントを作らなくてもフォーム入力を始めた数が計測できるんですよ!

細分化したCVRを分析する

上記の2ステップを分析できたら、CVR分析の半分は終わりです。あとの半分は何かというと、ユーザーの属性などによってCVRに違いはあるのかを分析します。
いろいろな分析の仕方がありますが、ここでは「中の人」がよく使う手法をご紹介します。

フォーム到達前の分析

新規訪問 vs. リピート訪問
新規訪問者とリピート訪問者のCVRには違いがあるかもしれません。新規訪問者がKeyページ(見てほしいページ)に到達しているかなどを確認します。また、往々にしてリピート訪問ユーザーの方がCVしやすい傾向があります。ですので、リピートしてもらうための施策(サイトの更新やリマインド)などが十分に機能しているのかなどを分析します。

トラフィックソース
異なるトラフィックソースからの訪問者のCVRも異なる可能性があります。自然検索、ソーシャルメディア、広告など、どのソースから訪問者が来ているかを考慮し、ソースごとにCVRを分析しましょう。自然検索からのCVRが低い場合は、Knowクエリに強いことが考えられますよね。といった具合に、どうしてそのソースからのCVRが低いのか(あるいは高いのか)の仮説が立てば、対策を考えやすくなります。

フォーム到達後の分析

フォームの種類
ウェブサイトにはさまざまな種類のフォームがあります。お問い合わせフォーム、資料請求フォーム、面談予約フォームなど、それぞれのフォームのCVRを比較し、問題のあるフォームを特定しましょう。どのフォームの優先度が高いかにもよって打ち手が変わってくると思います。

ユーザー属性
ユーザーの属性(地域、年齢、性別、デバイスなど)によってCVRに違いがあるかもしれません。ちゃんと狙った属性の人がCVに向かっているのかを検証します。分析結果をもとにターゲティングを最適化することを検討しましょう。また、スマホでの離脱が多い場合は、フォームのスマホ最適化を進めるなどの対策も必要になってきますね。

まとめ

CVRを上げるためには、単純な全体のCVRを見るだけでなく、細分化して分析することが不可欠です。フォーム到達前とフォーム到達後に分け、さらに細分化することで、特定のボトルネックを特定し、効果的な改善策を見つけることができます。ユーザー属性やトラフィックソースにも焦点を当て、CVRの向上に取り組んでいきましょう。

あとがき

今週も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
こういう、アクセス解析絡みの記事を書くのって、「中の人」にとっては結構チャレンジングなんですよね。アクセス解析の重鎮ひしめくウェブ解析士協会の看板を使って、アクセス解析絡みの記事を書くことに内心ビクビクしています。笑
と、いうことで今週はCVRの分析についてでした。それではまた来週お会いしましょう。

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