見出し画像

停止線まであとすこし

夢のなか流星群をつかまえて叫んだたったひとつの願い

頭上には月しかなくて完璧な夜を迎えに行くため歌う

三崎口行きの電車で嗚咽、嗚咽 好きの証拠はまだ変わらない

ひさしぶり、なんて現実めいたこと言いたくないし言わないでいて

自転車のうしろで触れた懐かしい体温 匂い 心臓の音

しいたけに猫のかたちの切れ込みをいれる背中の丸い輪郭

痛いのはおんなじなのに まだそんなつらそうな顔して笑うんだ

しあわせ?と聞かれてすぐに頷けない 終わってしまうことが怖くて

「ダニが死ぬ温度」に設定されている電気毛布よりあついほっぺ

そんなことしないで呼べばいいのにと心のなかでカメラを睨む

なにもかも終わったあとの心拍数 どっちの音でもいいよね、べつに

みずいろのそらを見た時みずいろのあさと思った たぶん正解

どうしても夜が続いてほしかった トム・ソーヤー座の話をしてよ

まっしろな窓にふたりの息が降る この街で見るはじめての色

しあわせの離脱症状がひどくて ぬるいコーヒーでやけどをした

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?