決算書ってぶっちゃけ何?という人に向けて

※はじめて会計を学ぶ人向けです。
※実務はもう少し細かいですが、ここでは割愛します。

3月ですね。世にいう「決算月」と呼ばれる会社が多い時期でもあります。
「決算セール」が開かれるのも大体この時期です。
物が安くなるのは買う側にとってはいいことですが、この「決算」とは何かを考えたことがあるでしょうか?

決算とは

決算とは、ある「一定期間の儲け」(いくら儲かったor損した)を計算することと、ある「一定時点の財産の状況」(何をどれくらい持ってるか)を示すことを言います。
辞書にあるような厳格な定義ではありませんが、こと会社の決算においてはこの認識で問題ありません。
決算については例外なく全ての会社で行わなければいけないものになっています。なぜなら会社という組織は必ず誰かからお金なり物なりを出してもらわなければ存在できず、そのお金や物を出してくれた人に対して会社の状況を報告するのは当然だからですね。
ここでいう一定期間は通常「1年」を指しています。会社は基本的に永続することを前提に物を考えていますが、それではいつまで経っても決算を行えないので機械的に1年と定めています。なお、上場企業ではもっと短く、3か月ごとに決算を行うことが義務となっています。つまり上場企業は年に4回決算を行わなければならないということですね。これを四半期決算と言います。そして一定時点というのは「ちょうど1年経過した最終日」を指します。

決算書とは

上記の「一定期間の儲け」と「一定時点の財産の状況」を表した表です。
「一定期間の儲け」を表す表を「損益計算書」と言い、「一定時点の財産の状況」を表した表を「貸借対照表」と言います。
よく言われている「決算書は会社の成績表」という言葉ですが、これはどちらかというと損益計算書にフォーカスしたワードであって貸借対照表も決算にあたって作成しなければいけない書類です。

決算書はどうやって作ればいいのか?

これがいわゆる「複式簿記」と言われる仕組みになります。
まず「簿記」とは「帳簿記入」の略だと言われており、読んで字のごとく帳簿を作成する技術のことを言います。
そして「複式」とは1つの取引に関して2つ以上の側面で物事を捉えることを指しています。
この複式の対義語としては「単式」という言葉になりますが、1つの取引に対して1つの側面でのみ物事を捉えることを指します。「単式簿記」はいわゆるおこづかい帳です。おこづかい帳はもらったおこづかいを何に使っていくら残ってるかを示す帳簿ですね。1,000円のおこづかいをもらいお菓子とジュースに200円使った場合、おこづかい帳には1,000円増え、200円無くなったことと800円の残高を記入します。つまりおこづかいをもらったことやお菓子とジュースを購入したことよりは、1,000円増えて200円無くなったことのみに着目するようにできています。
対して「複式簿記」は1つの取引を2つ以上の側面で捉えるため、上記の例で言うと1,000円もらったのはなぜか?(物を売ったのか、借りたのか、それとも寄付されたのか等々)200円はなぜ無くなったのか?ということを考える必要が出てきます。
会社の決算書を作成する場合、単式簿記では情報が足りなさすぎるため複式簿記での作成が要求されます。例えば会社の現金が増えていてもそれは何によって増えたのかわかりませんよね。

まとめ

短いですが、この記事をまとめると以下のようになります。
決算とは「一定期間の儲け」の計算と「一定時点の財産の状況」を示すことである
決算書とは「一定期間の儲け」の計算と「一定時点の財産の状況」を表した表のこと。前者を「損益計算書」といい、後者を「貸借対照表」という。
決算書を作成するためには「複式簿記」という技術が必要。

※決算月別の会社数

国税庁が公表している決算月別の会社数をグラフにしてみました。
平成29年度で約270万社から申告があったなか、3月決算なのは51万社と約2割弱となっています。こうしてみると圧倒的に3月決算が多く、10月11月や1月は少ないことがわかります。
さらに上場企業に絞ってみると以下のようになります。

さらに圧倒的に3月が多い状況ですね。3,700社近くある上場企業のうち、約2,500社とほぼ7割の会社が決算期を3月としています。
3月が多い理由としては日本では4月から3月までを1年度としてシステム(国や教育機関)ができあがっているためそれに合わせると効率的だったり、関連しますが、税制や会計基準の変更も4月からということが多く(消費税が5%から8%になったのは2014/4/1からでしたね。8%から10%になるのは2019/10/1からですが、10/1はちょうど年度の半分です。)、メリットを一番に享受できるということが挙げられます。
また、企業は決算から3か月以内に株主総会を開催しなければならないのですが、同時期に株主総会を開催することで厄介な株主が来る可能性を下げようとしていたりもします。(最近ではあまりそういう話は聞かなくなりましたが会社によってはまだあったりするかもしれません)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?