これからのブランドドリブンな音楽(アーティスト)ビジネス

・仮説として、「音楽ビジネス」という概念自体が変化し、「アーティスト(ブランド)ビジネス」に本格的に変化していくのではないか。と思っている。

■いまどんな世界なのか
・前提として、ユーザーはオンラインをベースにした行動をし※、テクノロジーの力でより価値ある仕事にフォーカスし、自分のなりたき姿のために投資を行うようになる。私なりに考える、安藤先生の言う「変革経済」※である。
※考え方として、『アフターデジタル』など。https://markezine.jp/article/detail/30814
※変革経済についてはこちら https://www.slideshare.net/masaya0730/ss-113633076

・そういったユーザーが求めるのは、自分のなりたき姿への道をサポートしてくれる、メッセージやコンセプトを持ったブランドなのではないか。つまり個々のユーザーが思う・感じる、その時々の欲求や願いに対し、ときに寄り添い、あるいは導く、支えてくれる存在だ。

■認知を取り、想起されるための「ブランド」である必要性
・音楽ビジネスにおいて、一般的なプロダクトのように大規模なマーケティング投資を張れることは少ない。そのため工夫が必要になるが、単に楽曲というマーケットの中で差別化では苦しい。音やミュージックビデオといった範疇では戦う土俵が狭く、敵も多い。

・もちろん、従前から単なるプロダクトとしての楽曲を世に送り出すということではなく、常にアーティストの生き様やメッセージと楽曲が表裏一体となってファンを熱狂させてきた。しかしながら、まだまだ音楽(楽曲)というプロダクトに執着し、とりわけビジネスの意味で音楽を中心とした世界観であると考える。

・時代の機微をとらえて楽曲で表現する...ことももちろん大事だが、それではユーザーは“楽曲の”消費で済ましてしまう。サブスクリプションサービスが当然に使われる世界で、聞く楽曲の選択肢が急激に増え、逆にその中のアーティスト自身に興味を向け、ブランドに価値を感じ、深い体験に対価を払うことに、ハードルが高くなっているのではないだろうか。

・そこで、アーティストが体現するブランド自体をマーケティングすると考えれば、ある意味ポジショニングの軸を「ひっくりかえせる」※余地が圧倒的に増える。楽曲はあくまで一貫したブランドを体現するアーティストのアウトプットのうちの一つであると考える。戦う土俵を変えることで、単に楽曲ではなく、もっと広いフィールドで、バリエーションのある武器で戦えるようになる。それは全く新しいライブ映像かもしれないし、コメディかもしれない(例えば、レペゼン地球)。
※軸をひっくり返す話はこちら https://note.mu/junichi_0521/n/n36541334abc2

■ブランドが一貫している必要性
では、なぜ一貫したブランドが必要か?下記で明快に語られている。

ハヤカワ「顧客接点をもつチャネルが多岐にわたる今、すべてのチャネルにおいて一貫性がなければ、それが誰向けで何が魅力なのかがわからなくなり、顧客は本当に自分に合ったブランドなのか判断がつかなくなってしまいます。そうならないよう、すべてのチャネルにおいて、同じ方向を向いた“一貫性のある顧客体験”を作ることが重要なのです」
https://exp-d.com/cxdive/2512/

・情報過多である。選択肢過多でもある。そのとき、ユーザーの「なんとなく」のレベルの意識で選ばれる存在でなければならない。積極的に顕在化しない段階の「なんとなく聞きたい、見てみたい」という欲求で自然に見てしまうところまで、手の届く近さに(意識上で)おかれていなくてはならない。そのためには、一貫したブランドで深く認知され、無意識に想起される必要がある。

■ユーザーに最適な方法で届ける大切さ
・想起されても、コンテンツにアクセスしやすくなければならない。

・単なる年代×性別といった分類や、「Youtube」「Spotify」といったそれぞれのプラットフォーム上に閉じた施策に意味はない。ユーザーは、ユーザーを取り巻くツールを、対価に最も見合うコストという観点で選ぶ。ユーザーにベストな体験を、ベストな場所・時間に、ノンストレスで届ける必要がある。そのために、増え続けるコンテンツを、ユーザーの体験全体を起点に作り直し、適切な空間や時間に「置き直す」。


すべては仮説にすぎないが、少なくとも、環境は急速に変化している。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?