見出し画像

「第1話」バツイチとキャバ嬢と簿記と恋

漫画原作として作ったボツ企画

作画担当募集中

>> 登場人物

熊野博士  くまのひろし
 くまさん
 税理士
 税理士法人アスラン勤務
 バツイチ子なし
 31歳

松山朝美  まつやまあさみ
 あさみちゃん
 美容系専門学生
 エステサロン経営が夢
 メインはCaféのアルバイト
 たまに名古屋駅裏のキャバクラGADEL(ガーデル)勤務
 彼氏なし
 20歳

としやん
 博士の友達
 商社勤務
 キャバクラ好き
 既婚
 31歳

かおり
 朝美の友達で同じ学校
 メインがキャバクラGADEL(ガーデル)
 クラスで浮く朝美を気になってキャバクラに誘った張本人
 彼氏複数

重光  しげみつ
 税理士補助
 税理士法人アスラン勤務
 博士の後輩
 生意気
 独身
 25歳

加藤先輩  かとうせんぱい
 中小企業診断士
 税理士法人アスラン勤務
 女好き
 既婚
 35歳

>>「タイトル」簿恋-boren-

「第1話」バツイチとキャバ嬢と簿記と恋

【シナリオフォーマット】

1.「■○」の数字はページ数の目安
2.「■○、○」は2頁見開き
3.「(オフ)」と書かれたセリフは話者がコマ内にいない
4.「(心)」と書かれたセリフは言葉が出ておらず、心の声
5.()だけで囲まれたのはアングル
6.☆~★のパラグラフが1コマの目安
7.作画内容や周りの状況等詳細は【作画】にて説明。
特に【作画】が無いパラグラフは作画担当さんにお任せします。
8.「<3」ハートマークの意味

■1

ヒロシ「(オフ)前略 福沢諭吉先生、天国でいかがお過ごしでしょうか。」

【作画】1万円札の福沢諭吉

ヒロシ「(オフ)先生が輸入した学問、ネーミングセンス最悪です。もう少しセンスがあれば日本の未来は変わっていたに違いありません。」

【作画】世界地図

ヒロシ「(オフ)なにしろ義務教育で経営の勉強を一切していないのです。こんな未来、想像できましたか先生?」

【作画】真っ黒

ヒロシ「(オフ)だいたい「学問のすすめ」の著者が、どうして卑猥な響きを連想する学問名にしたのですか…。」

【作画】18禁マーク

ヒロシ「(オフ)現代風に表現すると“マジでナイわ、それ。”です。」

【作画】汗をかく1万円札の福沢諭吉



■2.3

アサミ「『勃起』は知ってるか?って・・・?」

タイトル:簿恋-boren-
作者名:原作 ワダ・ヒトシ×作画 ○○○

【作画】豪華なキャバクラの接客風景。グラスでウイスキーの水割りを作っていた手を止めて、聞き返したキャバ嬢アサミの台詞。福沢諭吉からの落差を狙いたいので、アサミは王道の名古屋嬢のキャバ嬢スタイルで頭は盛っている。アサミは見開き右頁に配置。タイトル等は左頁に配置。

■4

アサミ「え?お兄さん真面目に聞いてるの?」

【作画】上目遣い気味に首をかしげて聞く

ヒロシ「経営者になりたいなら『簿記』は必須だよ。知らないかな?えーっと…」

【作画】いたって冷静に回答する。オデコの見える七三分けに黒ブチメガネで知的、かつ、出来る男風。

ヒロシ「(オフ)あさみちゃん」

【作画】あさみ<3と平仮名で書いてある名刺とアサミをコマに入れる

アサミ「枕営業とか無理だよ?!お客さん皆、女の人だし!」

【作画】腕でバッテンを作るアサミ

(バッテンを作ったアサミとヒロシの2ショット。)

ヒロシ「(心)・・・話が噛み合ってない。」

【作画】よくある表現でメガネのレンズが白くなって瞳が見えなくなっている。

ヒロシ(!!!)

【作画】何かに気付く。

ヒロシ「あさみちゃんさ、『勃起』と『簿記』を間違えてない?」

【作画】推理探偵のような鋭い目線で。バックのトーンは稲妻系。

■5

アサミ「ボキ???」

【作画】首をかしげるアサミ

アサミ「ウイスキー水割りできてまーす。」

ヒロシ「あ、ありがとう。」

【作画】日常風景のような、やりとりのコマ。

ヒロシ「そう。ボキ。」

【作画】水割り飲みながら

アサミ「ねぇねぇ、かおりん、ボキって知ってる?」

【作画】隣の席でヒロシの友人であるトシヤを接客中のカオリに質問をする。

カオリ「カリカタとカシカタでしょ?!」

【作画トシヤに近接したままドヤ顔

ヒロシ「お!凄い!!」

カオリ「かおりん商業高校だから簿記2級持ってるよ♪」

トシヤ「かおりんチーママなりなよチーママ!」

【作画】再びドヤ顔のカオリとデレデレなトシヤ


トシヤ「開業資金出しちゃう出しちゃう♪」

カオリ「本当~?!としやんありがとう<3」

【作画】トシヤの腕に手を回すカオリ

ヒロシ「てことで、卑猥な言葉を言わせたかったワケじゃないのは理解してくれたかな?」

【作画】淡々とアサミへ切り返す

■6

アサミ「分かったけど、エステサロンを経営したいのとボキはどうゆう関係があるの?」

アサミ「あさみ、頭悪いから分かりやすく教えて<3」

【作画】テヘペロ的な可愛さを前面に出す

ヒロシ(メガネを直す仕草。色仕掛けが聞いてなさそうな雰囲気。)

アサミ「アサミ、アタマ、悪いカラ!!」

【作画】ムキになるアサミ

ヒロシ「分かった。頭悪いの強調しないで。」

【作画】なだめるヒロシ

アサミ「処女だから勃起も見たことないしね<3」

【作画】再びのテヘペロ的な可愛さ

ヒロシ「簿記っていうのは・・・」

アサミ「そこスルー?そこスルーなの?」

【作画】渾身のツッコミどころをスルーされて焦るアサミ

■7

ヒロシ「昼間の劣等生は夜の優等生って相場が決まっているだろ?」

【作画】ヒロシのドヤ顔

アサミ「ホント、それ。あさみ夜の偏差値なら東大クラス!」

【作画】負けじとアサミもドヤ顔

ヒロシ「で、簿記ってのは・・・」

アサミ「はい!先生っ!」

【作画】分かり易いぐらい前のめり

ヒロシ「会社の通知表をつけるために絶対必要なんだわ。」

アサミ「通知表?」
ヒロシ「通知表」

■8

アサミ「通知表、自分で作るの?」
ヒロシ「まぁ、そうなるね」

アサミ「あさみ、オール5にする!」

【作画】なにかを決意した様子

ヒロシ(メガネ曇ったバージョンでアサミを見る)

アサミ「なにか、言いたげ?」

ヒロシ「そうやって根拠なくオール5にならないように、通知表を作るルールがあるの。」
ヒロシ「日本全国で統一されていて。稼いでいると評価が高い。」

ヒロシ「ルールに通りに稼いでいるか?!表現する方法が、簿記だ!」

アサミ「あさみ、稼げるかなー」

【作画】すこしげんなりした表情

■9

ヒロシ「ところでここの時給っていくら?」

アサミ「8,000円」

ヒロシ「俺たちが50分で出てくといくら?」

アサミ「んーーーーーー2人で15,000円ぐらいかな。」

ヒロシ「かおりんとあさみちゃんに16,000円払って、俺たちから15,000円しか貰えなければお店損してない?」

アサミ「だからドリンク頼め!延長させろって!五月蠅いのか」

ヒロシ「水商売っていうぐらいだから、飲み物は儲かる。」
ヒロシ「近くのコンビニでジンジャエール買ってきて、ここで出せば何倍よ?!」

アサミ「ホント、それな!」

ヒロシ「あさみちゃん今だと評価1。雇う意味なし(笑)」

■10

ヒロシ「お兄さん!あさみ咽喉かわいて死にそう!!」

【作画】首を押さえて訴える。オーバーリアクション

ヒロシ「・・・あからさまだな」

【作画】呆れてる表情

アサミ「てか、かおりん2杯目頼んでるよね?」

【作画】首を押さえたまま覗き込むアサミ

ヒロシ(!?)

ヒロシ「(心)としやの野郎!」

【作画】ちゃんと2杯目がテーブルにあったことを発見する

ヒロシ「なんか頼んでイイよ。」

アサミ「いただきまーす♪♪」

(ヒロシがトシヤを睨むもトシヤとカオリの2人の世界が展開されている。アサミはボーイ捕まえてカシスウーロンを注文)

アサミ「てか、お兄さん何の仕事してんの?本当に先生?」

ヒロシ「先生って呼ばれるけど、学校の先生じゃなくて、税理士の先生。」

■11

アサミ「ゼイリシ???」

ヒロシ「毎日、簿記に触れてる仕事かな。」

アサミ「男なんて生き物は毎日ボキに触れてるもんでしょ。」
ヒロシ「んー30超えると毎日ってワケでもないかな。」

アサミ「そうなんだ!!」
ヒロシ「(こいつ下ネタ好きなのか?)」

【作画】凄い驚いている

アサミ「ところで通知表って誰に見せんの?」
アサミ「お母さん???」

【作画】さりげなくウイスキーの水割りのお替りを作りにグラスに手を伸ばす

■12

ヒロシ「会社のお母さんは誰よ?」
アサミ「ウーン、アサミ?」
ヒロシ「正解」

【作画】アサミは水割り作りながらの台詞。ウーンはグラスを見ながら考えている。

アサミ「自分のために作るの通知表?!」
アサミ「は?なんで?!」

【作画】水割り完成

アサミ「お母さん子供のこと信じてるから通知表なんて見なくてイイよ!」
アサミ「出来る子だよ!」
アサミ「アサミは、きっと出来る子だよ!」

【作画】必死に訴えるアサミ

ヒロシ「分かった。水割りもスムーズに作れる出来る子のアサミちゃん。」
ヒロシ「誰かと一緒に会社作ったり、関係者が増えると通知表があると便利なんだって。」

【作画】ヒロシがなだめる

(ウイスキーの水割り)

■13

ヒロシ「お母さんは通知表見なくてもお父さんは見たいかもしれんじゃん?」
アサミ「それもそうね。お父さんは我が子の評価が気になるかも。」

ヒロシ「全国順位まではつかないけど、これぐらいの成績なら安心だ。ぐらいは分かるからね。」

アサミ「あーね。なんとなく必要性は分かった。」

ヒロシ「これね、もともと一万円札の福沢諭吉が輸入してきたんだよ。」
ヒロシ「外国で使ってるの見て、コレは使えるな。って」

【作画】一万円札を取り出して福沢諭吉を見せるヒロシ

アサミ「諭吉って猫の人でしょ?」

【作画】アサミは招き猫みたいに猫マネ

■14

ヒロシ「猫・・・吾輩は猫である?」
アサミ「それな!」

【作画】アサミ渾身のそれな!

ヒロシ「…それは夏目漱石。」

【作画】昔の千円札の夏目漱石をどこかに入れてください

アサミ「お、お兄さんを試したんだにゃん♪」

【作画】手は猫パンチ。可愛さでカバー。

ヒロシ「猫を被るな」

【作画】眼鏡曇ってるバージョン

ヒロシ「福沢諭吉は、学問のススメ。慶応大学作った人。」
ヒロシ「日本のこと必死に考えてたから簿記って仕組を日本にも導入したい!って本気で思ったんだ」

【作画】2人の背景を諭吉にして諭吉アピール

アサミ「諭吉、神だね」
ヒロシ「そう、神」

■15

ヒロシ「諭吉は、海外のブックキーピングって会計帳簿に記帳する仕組みを輸入して簿記って名前にしたんだ」

【作画】BOOK KEEPINGを2人の背景に入れてください。

アサミ「そこは、ブキじゃないの?!」
ヒロシ「ボキなんだよねー。ブキだったら義務教育の科目になってたかもね。」

【作画】
ツッコむアサミとガッカリした様子のヒロシ

ヒロシ「卑猥な響きだから義務教育の教科に選ばれず…日本人は経営に弱くなってしまったんだ。」
ヒロシ「アメリカと違って日本に経営者が全然増えない理由はコレだよ絶対。むしろアメリカの陰謀とすら…。」

【作画】曇った眼鏡でブツブツと持論を語り出すヒロシ。アサミはコマに入れなくてOK。

アサミ「諭吉、エロイ顔してるもんね」
ヒロシ「そこ?!」

【作画】あっけらかんと言い放つアサミとツッコミせざるを得ないヒロシ。2人の背景に一万円札の汗をかいた福沢諭吉を入れてください。

トシヤ「(オフ)ヒロシ!!」
ヒロシ「ん?」

【作画】会話の途中を遮断される

■16

トシヤ「来週の金曜日、叙々苑に行くから!」

【作画】トシヤにカオリが腕を組んでいて、トシヤがドヤ顔。この出来事が簿恋の物語を加速させるので、コマは大きめで。

ヒロシ「・・・行ってらっしゃい」
トシヤ「(オフ)4人で行くんだよ!」

【作画】呆れ気味に眼鏡が曇っている状態で送り出すも、食い気味で突っ込まれる。

ヒロシ「え?」

カオリ「かおりん叙々苑行きたーい♪♪」
カオリ「あさみも一緒に行こ?」

【作画】聞き返すヒロシにお構いなしでしゃべりだすカオリ。デレデレなトシヤ。

ヒロシ(アサミを見るヒロシ)
ヒロシ「そもそも予定空いてないだろ?」

【作画】アサミを見るヒロシの視点で。

■17

アサミ「その日はテストだから、バイトいれてないけど…」

【作画】カオリが本気で言っているか分からないから、とりあえず話を合わせる方向に動いたアサミ。

カオリ「アサミも一緒に行くなら、かおりん行くー♪」
トシヤ「ヒロシ!お前、なんとかしろ!!」
ヒロシ「(心)マジか」

【作画】カオリ→トシヤ→ヒロシの台詞がリズミカルに連動。

ヒロシ「肉、好き?」
アサミ「うん」

ヒロシ「じゃ、来週叙々苑集合で」
アサミ「OK♪」

【作画】なんとかしろと言われても、自分にメリットが無いため、直球、かつ、無機質な誘い方となったヒロシ。

トシヤ「俺たちLINE交換したからお前たちもしとけよ!」

【作画】カオリが密着してニヤニヤしてるトシヤ


(携帯出してLINE交換する。
キャバクラ内で交換できることは少ないのですが、なくは無いので。)

■18

ヒロシ「(オフ)asami?って、あさみ源氏名じゃないの?」

【作画】LINEの画面で、asamiのページにどうでも良いスタンプを送ってある状態

アサミ「源氏名だと反応できなくて本名にしたの。最初、サクラちゃんだったんだけどねー。」

【作画】両手でスマホをもっているアサミ。スマホカバーは斜めのストライプで大人っぽく。LINEメッセージを打っている。

アサミ「(オフ)asami:くまのはかせ?」
ヒロシ「(オフ)読みは、クマノヒロシ」

【作画】LINE画面、asamiからメッセージが届く。それに対して口頭で回答するヒロシ。

アサミ「メッチャ熊詳しそうな漢字じゃん!」
ヒロシ「それ、よく言われる」


アサミ「くまさんで登録しとくね!」
ヒロシ「それも、よく言われる」

ボーイ「お客様、15分延長だとこちらの値段で・・・」

ヒロシ・トシヤ「帰ります。(キッパリ)」

【作画】領収書を持ってボーイがやって来て説明をするも、帰宅を決める2人。

■19

カオリ・アサミ「また来週ねー♪♪」

【作画】こちあらはエレベーターの中から2人を見ている。

トシヤ「ヒロシ、来週まで繋いどいてくれよ」
トシヤ「俺だと嫁バレがあるからさ」

ヒロシ「本当に叙々苑来るならな」

【作画】エレベーター内でのやりとり

トシヤ「今日の感触は、来るだろー!」

ヒロシ「キャバ嬢に期待すんなトシヤ」

【作画】エレベーター1階に到着。

トシヤ「んじゃ、よろしく!!」

【作画】タクシーに乗り込むところなトシヤが腕をあげて頼んでいる。

ヒロシ(タクシーを拾うヒロシ)

ヒロシ「LINE:今日は楽しかったわ^^かおりん叙々苑って本気で言ってる?笑」

【作画】タクシー車内。

ヒロシ(既読マークがつく)

【作画】スマホはLINE画面を起動したまま手の中

ヒロシ「(心)既読つくの早いなー」

アサミ「(オフ)asami:本気で叙々苑行く気みたいwwww」
ヒロシ「マジか。」

【作画】驚きと酔っていたのもあって、独り言を口走ってしまうヒロシ。

アサミ「(オフ)asami:私も今日楽しかったよ^^来週会えるの楽しみ♪」
ヒロシ「(オフ)LINE:叙々苑が楽しみじゃなくて?笑(既読マークがつく)」

【作画】スマホ画面でのやりとり

(スマホ画面を見つめているヒロシ)

アサミ「(オフ)asami:両方<3<3w」

【作画】これもスマホ画面



アスラン(職場)>>



ヒロシ「重光!これなんで未払費用に計上してんの?」

【作画】職場風景。書類に付箋がいっぱい貼ってある。その中の1頁を開いて重光に確認しているところ。なお、重光は隣の席。

■20

重光「車買って、支払いが決算日またぐから未払費用ですよ?」
ヒロシ「そうじゃなくて、なんで未払金じゃなく未払費用なんだってこと」

【作画】隣の席の重光が手はノートPC、首だけ傾けて回答する。ヒロシは体ごと重光に向いている。

重光「未払金なんて使ってませんもんこの会社」
ヒロシ「適性な勘定科目を使うのがお前の仕事だろうが」

【作画】上と同じ構図

重光「いやいやいや、税金計算変わりませんし?」
ヒロシ「いやいやいや、そこは問題じゃないんだって。」

【作画】重光も体ごとヒロシに向けて、向かい合う構図に

ヒロシ「未払金と未払費用の違い分かってるか?」
重光「違い?呼び方が違いますよ?」

【作画】少し首をかしげる重光

ヒロシ「…重光、簿記3級からやり直せ」

【作画】メガネが曇っているバージョン

ヒロシ「あのな、未払費用ってのは継続的なサービスだけど払ってないものな。」
ヒロシ「例えば給与。継続的に支払うだろ給与って?」
重光「はい」

ヒロシ「この会社だと給与が25日〆で翌月10日払いだよな?」
重光「知ってるよ」

ヒロシ「敬語を使えぇ!!」

【作画】生意気な後輩にツッコまずにはいられないヒロシ

■21

ヒロシ「そうすると、9月30日が決算日のこの会社は9/26~10/25の分が11/10に支払われる。」
重光「そうですね。」

ヒロシ「決算日の段階では、9/26~9/30までの給与は確定してるんだよ。」
重光「実際に従業員働いてタイムカード押してますしね。」

ヒロシ「そうそう。」
重光「続けてください。」

ヒロシ「なんで教わってるお前が偉そうなんだよ!!」

【作画】ツッコミ再び

重光「さーせん。」

【作画】平謝り

ヒロシ「で、決算日の段階では〆日までの合計支払額は確定してないだろ?」
重光「10/25で〆日なんで無理ですね。」

ヒロシ「継続的なサービスで決算日までの確定してる分は未払費用で計上すんの。」
重光「へー。」

■22

ヒロシ「車買って、支払う金額が分かり切ってる単発取引は未払金だ。」
ヒロシ「未払金を使ってないんじゃなくて、使う必要がなかったんだよ。」

重光「…そんなに細かくやります?」

【作画】細かい先輩に怪訝そうな重光

ヒロシ「細かいんじゃなくて、ルール!やりなおし!!」
重光「はぁーい。」

加藤先輩「熊っち」

【作画】向かい側で見ていた加藤先輩が話しかけてくる。

ヒロシ「なんですか加藤先輩?」

加藤先輩「そこまで頑張っても、社長そこまで見ないからね」

ヒロシ「そうなんですよねぇー」

ヒロシ「社内クオリティを維持するためには新人に正しい簿記の知識が必要ですけど・・・」

【作画】困った様子のヒロシ

加藤先輩「税金の金額しか興味ない社長多いからなー」
ヒロシ「本当にそうですよね。銀行のために作ってるんですかね私たちは・・・。」

【作画】明後日の方向をみる中堅社員2人。

加藤先輩「でも、女は細かいとこまで見る。」
ヒロシ「なにかあったんですね加藤先輩。」

■23

加藤先輩「完全犯罪だと思ったんだけど嫁にバレたんだよね女の子と遊んでたのが」
ヒロシ「え?先週のですか?」

【作画】ヒロシとしては意外な展開だったので、静かに驚いている。

加藤先輩「アリバイ工作に協力してもらったのに申し訳ない。」

【作画】頭を下げる先輩。

ヒロシ「私…何かミスしました?」
加藤先輩「熊っちは完璧だった。俺がミスった。」

【作画】恐る恐る聞くヒロシ。

ヒロシ「具体的に説明してください。」

【作画】真顔で。

加藤先輩「(オフ)熊っちとのライン見せたんだよ」
ヒロシ「(オフ)そのための私のLINEですもんね」

(11:55 LINE:どこにいますかー?)
(12:03 LINE:着信)
(22:00 kato:今日はお疲れ!話題になった肉の写真送るわ!!)

【作画】ヒロシの先輩とのLINE画面

ヒロシ「(オフ)指示通りの時間に指示通りの文章と着信をしましたよね。夜、デカイ肉が焼かれてる写真見てBBQしてたんだって理解しました。」

【作画】デカイ肉の写真。大きなローストビーフが鉄板の上で焼かれており、その横にナイフやトングが並んでいる。

ヒロシ「BBQの集合場所に先についた私がLINE送って、集合時間になっても来ないから電話をした感じですよね?」
後藤先輩「そして、電話中の熊っちを見つけて合流したから着信あっても取ってないということで。」

【作画】2人で答え合わせ中。

ヒロシ「…問題は、肉の写真ですか?」

【作画】謎は全て解けた状態。トーンは稲妻系。

■24

(仏のような顔になった加藤先輩)

加藤先輩「熊っち、鉄板の左下になにが見える?」
ヒロシ「鉄板にひいた油…ん?」

【作画】スマホをマジマジと見るヒロシ

ヒロシ「(オフ)写り込んでますね!女子が!これは、ボーイッシュなTシャツなのでスルーしがちですけど、髪型がロングを上でまとめてお団子ですね!たぶん、スマホ構えてますね!!」

【作画】肉の写真の左下アップ。

加藤先輩「普通じゃないでしょ女の勘って。」
ヒロシ「…怖過ぎる。」

加藤先輩「職場の同僚とBBQで女子はいないことにしてたから、肉が大きすぎて隣の女子チームが写真撮りたいって言ってきてさ!って言い訳したら…」
ヒロシ「したら?」
加藤先輩「熊っちに電話で聞いてもイイ?って…」

ヒロシ「さすがに対応できかねます。」

【作画】曇った眼鏡バージョン。

加藤先輩「熊っちバツイチだから何かと週末も使い易くてさー。ついついアリバイ工作にも熊っち使ちゃうんだけど。今回は墓穴掘ったわ。」

ヒロシ「まぁ、利用価値があるうちに使ってください。そして、シナリオを前日までに足のつかないwebメールで送ってください。」

【作画】うなだれる先輩とアドバイスするヒロシ


加藤先輩「次回からはそうする!」

【作画】決め顔

ヒロシ「バツイチで使い勝手がイイといえば…一昨日も友達のキャバ通いの隠れ蓑に使われました。」

【作画】今度はヒロシが仏のような顔

■25

加藤先輩「熊っち、イイ子いた?」
ヒロシ「いやぁ。LINE続いてるんですけど、20歳ですよ20歳。11歳差。」

ヒロシ「(笑)じゃなくてwですよダブルダブルダブル。」
加藤先輩「俺、30代後半ぐらいがイイなぁ。」

【作画】うなだれるヒロシと明後日の方向を見る先輩

ヒロシ「ちょっと若過ぎますよね。しかも来週、叙々苑行くんですよ。」
加藤先輩「2人で?!」

【作画】先輩の2人で?!は台詞食い気味に。

ヒロシ「4人です。その友達と私とキャバ嬢2人。」
加藤先輩「20歳、肉食べるだろー。」

ヒロシ「叙々苑なんてランチしか行ったことないんですけど、夜は高いんですよね?」

【作画】何気なく聞く

加藤先輩「高い。気をつけやぁ。単価の割りに肉少ないから。自分たちはラーメンでも食べていきなよ?昔、すんごい請求されたよオレ。」

【作画】いつになく真顔な先輩

ヒロシ「そ、そのつもりです。」

【作画】ひきつるヒロシ



王将>>

トシヤ「餃子とビールと唐揚げ!全部2人前ちょうだい!!」

【作画】注文するトシヤ。店内はガヤガヤしている。

■26

トシヤ「ひろし、ありがとう!この日が来たな!!」

【作画】満面の笑みなトシヤ

ヒロシ「20歳と毎日LINEだぞ。カルチャーギャップ甚だしかったわ!」
ヒロシ「あーね。って、あぁそうゆうことね。の略だぞ。知らんわー」

【作画】疲れた様子のヒロシ

トシヤ「まぁまぁまぁ、あんなカワイイ子たちとご飯食べれるんだからさ♪」
ヒロシ「それは、お前の趣味であって俺は別にイイってば。」

トシヤ「バツイチって言っても新婚生活1ヶ月だろヒロシ。」
トシヤ「そんなのノーカウントだって。そろそろ彼女作れよ。」
トシヤ「離婚して1年ぐらいたったろ?」

【作画】必死に説得するトシヤ。この後のヒロシのテンションを左右するため必死。

ヒロシ「1年は…経ったな」
トシヤ「だろ?!確かに千恵ちゃんはモデル並に可愛かった。」
トシヤ「女優みたいな大きな目だったし、モデル体型。」
トシヤ「でも、あさみちゃんだって負けてない!いけ!ひろし!!」

ヒロシ「20歳の美女がバツイチと付き合うかトシヤ?」
トシヤ「そうやって最初から諦めるなよ!」
トシヤ「お前、税理士だし、ルックスだって悪くないって!」

トシヤ・ヒロシ(ビールが来て乾杯する)

■27

トシヤ「でも、たしかに周りのバツイチみてると普通のカワイイ子と付き合ってないかもなー」
ヒロシ「バツイチ同士とかね。」
ヒロシ「若くてもリストカットしてるようなメンへラ系とかね。」

【作画】乾杯して一息いれて我に返るトシヤ。現実を口にするヒロシ。

トシヤ「アサミちゃんって・・・」
ヒロシ「腕は綺麗だったよ」

【作画】食い気味に否定するヒロシ

トシヤ「ま、バツイチは、難ありな物件とは相性イイもんな。」
ヒロシ「バツイチってだけで難ありだ。」

トシヤ「今日はさ、息抜きだと思ってさ!楽しもうぜ!!」
トシヤ「俺は楽しみ過ぎてヨダレが止まらないぜ!」
ヒロシ「かおりんみたいな子、ドストライクだろ?」
トシヤ「さすがヒロシ、分かってるねー」



叙々苑>>



トシヤ「ごめんごめん待った?」

【作画】叙々苑個室に入っていくヒロシとトシヤの2人

■28

カオリアサミ「私達も今来たところだよー♪」

【作画】私服の2人、このコマ大き目で。アサミは髪をおろしていて清楚系。カオリはキャバの延長っぽい感じ。

ヒロシ「(心)私服だと歳相応だな」

【作画】ついアサミを見つめてしまうヒロシ

(目が合って微笑み返すアサミ。)

ヒロシ「(心)ヤバイ、普通に可愛い」
ヒロシ「今日は飲めるの?」

【作画】聞きながらメニュー表に目線を変えるヒロシ。照れた。

アサミ「テスト終わったし、飲みたい!!!」

【作画】キャバクラみたいに元気に発言

トシヤ「じゃんじゃん飲んで、ガツガツ食べてくれ!」
カオリ・アサミ「肉ー♪♪」

【作画】メニュー表を見せるトシヤ

(皆が酔って来た感じで)

カオリ「あさみとくまさん毎日LINEしてんでしょー?」
ヒロシ「ん、そうだよ?」

■29

カオリ「羨ましい。」
カオリ「としやんのLINEすぐ終わった。」

トシヤ「そ、そんな毎日LINEすることなんてあるか?!」

【作画】睨むカオリと慌てるトシヤ

カオリ「本当、なにLINEしてんの?」
ヒロシ「ニュースで流れてることを簡単に説明したり、あとは軽い下ネタ?」
ヒロシ「今朝は、四菱電気の粉飾決算の仕組をLINEして…」

カオリ「アサミ、楽しいの?!」
アサミ「え、楽しい」

【作画】思いもしない真面目な内容にカオリがアサミに聞く。それに対し当たり前のように回答するアサミ。

アサミ「くまさん超絶分かり易い」

【作画】酔って表情が柔らかくなっているアサミ

カオリ「くまさん、四菱電気の粉飾決算を私にも教えてみて!」

ヒロシ「あれは…悪意の仮払金計上。」

■30

カオリ「悪魔の刈り払い?」

【作画】カオリの後ろで死神が大きな鎌をもっている。

ヒロシ「いや、悪意ね。知っててやること。」
ヒロシ「例えば出張に行く社員が出張先で接待する“かも”しれない。そうだな…解り易いようにトシヤが大阪に出張するとしよう。」

トシヤ「出張するとお客さんと北新地か梅田で飲むな。」

ヒロシ「その1次会の会計はお客さんが持ってくれたりするんだけど、毎回払って貰うのはダメなんだよ」
カオリ「ありがとうございます<3<3じゃ、ダメなの?」

トシヤ「毎回それじゃダメだね。こっちが仕事を受注している場合は特に。何回かに1回は強引にでもこっちが払いたいところだわ。」
【作画】酔ってるなりにカオリにイイトコを見せたいので真面目なトシヤ

カオリ「でもサラリーマンなんてお小遣いだから、そのへんの高校生よりお金持ってなかったりするじゃん?」
トシヤ「…そうなんだよ。ひろしみたいな独身はイイけど、俺みたいな既婚者は裏金でも作らないと叙々苑には来れない。」

【作画】拗ねるトシヤ

カオリ「裏金?!」
トシヤ「株とかで稼いだお金だよ。悪いことはしてないって。」

【作画】カオリの過剰反応をなだめるトシヤ

ヒロシ「まぁ、かおりんの言う通りで普通は手持ちがない。そこで、出張する社員に会社がお金をもたせてくれるワケだ。」

カオリ「社員の給料増やしてあげれば良くない?」
トシヤ「いや、給料が増えてもお小遣いが増えるとは限らない。そこは家庭内で交渉。営業トップの俺でもこれが一番難しいプレゼンだ。」

カオリ「サラリーマンって…」

■31

ヒロシ「で、仮払金ってのは、使わなければ全額返金するし、使ったら領収書と差額を返金するワケ。」
カオリ「あーね。お金を渡したときは仮払なんだ。何に使うか分からないもんね!仮払ね!仮払か!!」

カオリ「え?でも?仮払金で粉飾ってどうやってするの?全従業員を出張させると利益が出る?」

アサミ「逆なんだって、かおりん。」
カオリ「逆?」

【作画】ポヤーっと酔ってるアサミが久々に口を開く

ヒロシ「時系列にすると、仮払金の支払があって、出張があって、出張から戻ってきて、精算されて、精算されたときに費用になる。ここまではOK?」
カオリ「うん」

ヒロシ「11月30日が決算日の会社で11月30日~12月5日まで出張の社員がいたら、こんな理由で仮払金の支払があってもおかしくないでしょ?」
カオリ「で、逆って?」

ヒロシ「ガツガツくんなぁ。逆の前に、11月中に出張があっても精算しなかったら?」
カオリ「精算しないと何に使ったか分からないから費用に出来ないじゃん!」

ヒロシ「何に使ったか分かっているのは支払がなくても費用にするぐらいだからね。」

【作画】重光とのやりとりを思い出しながら

カオリ「領収書があれば全部、費用にしなきゃいけないんでしょ!?」
ヒロシ「その理解はだいたい合ってる。」
カオリ「で、逆は?」

ヒロシ「精算済みの領収書があるのに、無かったことにする。」

■32

ヒロシ「費用になっているのに、これはまだ精算されてないってことにして後出しで仮払にしちゃう。」
カオリ「んー?つまり、嘘つきってこと?」

ヒロシ「そういうこと。真実を嘘で上書きするの。女の子とBBQ行くのが確定しているのに奥さんには「今週末のBBQは野郎しかいないから!」っていう既婚者みたいな。」

【作画】加藤先輩

カオリ「え?それと同じ?!」
ヒロシ「BBQ現場を見に行けば絶対バレる嘘だけど、そんなの確かめに行かないでしょ?」

カオリ「そこまで暇じゃない。そもそも信じてるよね。」

【作画】カオリのドヤ顔

ヒロシ「BBQ後の旦那の会話や行動に矛盾が生じなければ確実に信じるよね。」
カオリ「そうだけどー…。」

【作画】不満そうなカオリ

ヒロシ「女の子を消したアリバイが浮気の常套手段、費用を消した好業績が粉飾の常套手段。」

カオリ「でもでも、いつか費用になるから意味なくない?精算するんでしょ?」
ヒロシ「1回嘘をつくとね、ずっと嘘をつかないとダメなんだ。」

ヒロシ「浮気の度、粉飾の度に嘘をついて。完全犯罪を目指す。」
ヒロシ「1回仮払金で粉飾しちゃうと来年も仮払金で粉飾しないと、意味が無くなるからねー。」

カオリ「最低。」

ヒロシ「よく浮気とか魔が差した…っていうじゃん?粉飾も一緒だよ。」
カオリ「なんでそこまでして粉飾するワケ?」
ヒロシ「色んな理由があるけど、綺麗に言えば“周りからの期待を裏切りたくなかった”かな。」

ヒロシ「銀行や投資家をガッカリさせたくなくて嘘をついてしまった。」
ヒロシ「イイ旦那、イイ父親というイメージを崩したくなくて…」
カオリ「綺麗事だよ!」

【作画】カオリが食い気味で発言

ヒロシ「でもさぁ、周りに嘘をついて完全犯罪を目指すんだから大変だぜ?やっちゃいけないことをやってるの自覚してんだから。自分には嘘つければどんだけ楽か。」
カオリ「でも浮気は…」
トシヤ「粉飾決算の話じゃなかったのかコレ」

アサミ「ねぇ、かおりん、20歳の私達にも分かるでしょ?」
カオリ「まさか粉飾決算が浮気と繋がるとは…でも、理屈は分かった。」
ヒロシ「こんな感じだよLINE内容。」

アサミ「そうなの。難しい経営のこととか噛み砕いて説明してくれる。アサミのエステサロン経営したい!って言ったのを真面目に考えてくれてる感。」
ヒロシ「あれ嘘だったの?!」

アサミ「いや、本当だよ!!本当にサロンをするのが夢。」

トシヤ「その時はヒロシが手取り足取りサポートするよな!」
ヒロシ「いやらしいなトシヤ。」

(アサミの笑顔)

アサミ「ちょっとお手洗いいってくるね。」
ヒロシ「いなくなったぞトシヤ」

(個室で3人になる)

カオリ「くまさん、あさみのことぶっちゃけどう?」

ヒロシ「どうって?女として?」
カオリ「そう。」

ヒロシ「若すぎる。」
カオリ「即答だね。若く無かったらアリ?」

ヒロシ「んーアリかなぁ。」
ヒロシ「次の1月で成人式ってのはちょっと・・・」

カオリ「アサミ学校で友達にナカナカ心開かなくてさー」
カオリ「あんま友達いないんだよね」
ヒロシ「そうなんだ。」

カオリ「美人過ぎて女ばっかの中だと浮くっていうか」
カオリ「私みたいな元気なのはどうにでもなるんだけど」
カオリ「アサミはドライな感じだし」

ヒロシ「LINEそんな感じしなかったけど?」

カオリ「そう!!!」
カオリ「なんでか知らないけど、くまさんには心開いてるっぽい。」

カオリ「くまさん、アサミと仲良くしてあげて欲しいの。」
カオリ「今日が終わったらLINEやらない気でしょ?」
ヒロシ「バレてたか」
カオリ「20歳舐めんな」

ヒロシ「そうはいってもねぇ。」
カオリ「まぁ強制はしないけど、カオリからのお願いってことで」

トシヤ「かおりん友達想いだなー」
カオリ「ほっとけないだけ」

トシヤ「惚れ直した!」
カオリ「ありがと♪トシヤん♪♪」

カオリ「にしてもアサミ遅くない?」
カオリ「くまさん見てきて!」
ヒロシ「そうね」

ヒロシ「(心)美人過ぎて孤立ねぇ・・・」
ヒロシ「(心)どんな人生だそりゃ」

ヒロシ「あらあらあら」

(店内待合用ベンチで座ってるアサミ発見)

ヒロシ「大丈夫かアサミちゃん」
ヒロシ(隣に座る)

アサミ「くまさん、あのね。」
ヒロシ「うん?」

アサミ「楽しいの今日。」

(ちょっと見とれる)

ヒロシ「それは、ありがとう。」
ヒロシ「そして、マッコリ飲み過ぎだな」

アサミ「粉飾決算ってさ・・・」
ヒロシ「おお?」

アサミ「何が悪いの?」

ヒロシ「そりゃあ不正を隠すワケだから、やったらあかんよ。」
アサミ「バレない可能性もあるんでしょ?」

ヒロシ「粉飾して、徐々に調整していくってのもあるけどね確かに」
ヒロシ「でも、粉飾見つかったら損をする人がいっぱいいるからね。」
アサミ「損をする人?」

ヒロシ「投資家からしたら、これぐらいの価値だ!と思ったらそんなに価値が無かったワケだし」
アサミ「そっか。」

アサミ「粉飾してるの知っても株を買う人っているのかな?」
ヒロシ「粉飾はうわべを飾ることだから、中身が本当に魅力的だって確信があれば買うんじゃないかな」

アサミ「はぁー。やっぱ中身かぁ!」

ヒロシ「どうしたよアサミちゃん?まさか、お父さん四菱電気?!」

アサミ「私さ、この顔にするのに昔は2時間かかってたの。」
ヒロシ「すげぇな2時間って。」

アサミ「メイクが上手くいかないとイライラしてた。」
アサミ「スッピンは本当にヤバかった。」

アサミ「朝美って名前も嫌いだった。朝が一番美しくないし。」
ヒロシ「(心)asami→朝美か」

アサミ「ても、今はメイク15分ぐらい。」
ヒロシ「何が?言いたいんだ?」

アサミ「整形したんだ私」

アサミ「って言っても切ったり貼ったりの大規模工事はしてないけどね」
アサミ「スッピンとの落差が減った感じかな。」

アサミ「自分に嘘をついて、周りにも嘘をついて…」
アサミ「性格はカワイクならなかったなー。」

アサミ「ねぇ、目とか女優みたいでしょ?」

アサミ「私、嘘で上書き?したんだ。」
アサミ「くまさん、引いた?」

ヒロシ「幸せになりたいと努力してる人間を笑うヤツはいないだろ」
ヒロシ「完全に上書きできれば、それが真実だろうし。」

ヒロシ「今は、朝美、気に入ってる?」
アサミ「かろうじてw」

ヒロシ「じゃあ良かったじゃん」

ヒロシ「席、戻ろうか」

アサミ「…今夜もLINEしてイイ?」

ヒロシ「俺に整形を打ち明けても大丈夫だと思ったから言ったんじゃないの?」
アサミ「ホント、それw」

ヒロシ「難ありの物件とは相性イイんだよオレ(笑) 」
アサミ「なにそれ?W」

ヒロシ「バツイチって言ってなかったよね?」
アサミ「うっそー!!」
アサミ「今夜のLINE内容決まったじゃん!W」

ヒロシ「バツイチって言うと引いてLINE止まるかと思って」
アサミ「あーね。」

アサミ「そこまで関係ないや。」
ヒロシ「俺も整形ってそこまで抵抗ないんだよね。」

アサミ「コンプレックスって案外、自分でこじらせてるだけなのかもね」
ヒロシ「受け入れてくれる人も世の中にはいるからな」

アサミ「あとさ!簿記ちゃんと教えて!くまさん分かり易いよ!」

ヒロシ「美容整形クリニックじゃなくてエステ経営でイイの?」
アサミ「だから!そこまでイジってないんだってば!!」

ヒロシ「整形美人には変わりないんでしょ?笑」
アサミ「うっさいバツイチ!W」

第一話 完

THE GATE【原作】応募作品

「タイトル」簿恋-boren-

「第1話」バツイチとキャバ嬢と簿記と恋

【シナリオフォーマット】

1.「■○」の数字はページ数の目安
2.「■○、○」は2頁見開き
3.「(オフ)」と書かれたセリフは話者がコマ内にいない
4.「(心)」と書かれたセリフは言葉が出ておらず、心の声
5.()だけで囲まれたのはアングル
6.☆~★のパラグラフが1コマの目安
7.作画内容や周りの状況等詳細は【作画】にて説明。
特に【作画】が無いパラグラフは作画担当さんにお任せします。
8.「<3」ハートマークの意味

■1

ヒロシ「(オフ)前略 福沢諭吉先生、天国でいかがお過ごしでしょうか。」

【作画】1万円札の福沢諭吉

ヒロシ「(オフ)先生が輸入した学問、ネーミングセンス最悪です。もう少しセンスがあれば日本の未来は変わっていたに違いありません。」

【作画】世界地図

ヒロシ「(オフ)なにしろ義務教育で経営の勉強を一切していないのです。こんな未来、想像できましたか先生?」

【作画】真っ黒

ヒロシ「(オフ)だいたい「学問のすすめ」の著者が、どうして卑猥な響きを連想する学問名にしたのですか…。」

【作画】18禁マーク

ヒロシ「(オフ)現代風に表現すると“マジでナイわ、それ。”です。」

【作画】汗をかく1万円札の福沢諭吉



■2.3

アサミ「『勃起』は知ってるか?って・・・?」

タイトル:簿恋-boren-
作者名:原作 ワダノヒトシ×作画 ○○○

【作画】豪華なキャバクラの接客風景。グラスでウイスキーの水割りを作っていた手を止めて、聞き返したキャバ嬢アサミの台詞。福沢諭吉からの落差を狙いたいので、アサミは王道の名古屋嬢のキャバ嬢スタイルで頭は盛っている。アサミは見開き右頁に配置。タイトル等は左頁に配置。

■4

アサミ「え?お兄さん真面目に聞いてるの?」

【作画】上目遣い気味に首をかしげて聞く

ヒロシ「経営者になりたいなら『簿記』は必須だよ。知らないかな?えーっと…」

【作画】いたって冷静に回答する。オデコの見える七三分けに黒ブチメガネで知的、かつ、出来る男風。

ヒロシ「(オフ)あさみちゃん」

【作画】あさみ<3と平仮名で書いてある名刺とアサミをコマに入れる

アサミ「枕営業とか無理だよ?!お客さん皆、女の人だし!」

【作画】腕でバッテンを作るアサミ

(バッテンを作ったアサミとヒロシの2ショット。)

ヒロシ「(心)・・・話が噛み合ってない。」

【作画】よくある表現でメガネのレンズが白くなって瞳が見えなくなっている。

ヒロシ(!!!)

【作画】何かに気付く。

ヒロシ「あさみちゃんさ、『勃起』と『簿記』を間違えてない?」

【作画】推理探偵のような鋭い目線で。バックのトーンは稲妻系。

■5

アサミ「ボキ???」

【作画】首をかしげるアサミ

アサミ「ウイスキー水割りできてまーす。」

ヒロシ「あ、ありがとう。」

【作画】日常風景のような、やりとりのコマ。

ヒロシ「そう。ボキ。」

【作画】水割り飲みながら

アサミ「ねぇねぇ、かおりん、ボキって知ってる?」

【作画】隣の席でヒロシの友人であるトシヤを接客中のカオリに質問をする。

カオリ「カリカタとカシカタでしょ?!」

【作画トシヤに近接したままドヤ顔

ヒロシ「お!凄い!!」

カオリ「かおりん商業高校だから簿記2級持ってるよ♪」

トシヤ「かおりんチーママなりなよチーママ!」

【作画】再びドヤ顔のカオリとデレデレなトシヤ


トシヤ「開業資金出しちゃう出しちゃう♪」

カオリ「本当~?!としやんありがとう<3」

【作画】トシヤの腕に手を回すカオリ

ヒロシ「てことで、卑猥な言葉を言わせたかったワケじゃないのは理解してくれたかな?」

【作画】淡々とアサミへ切り返す

■6

アサミ「分かったけど、エステサロンを経営したいのとボキはどうゆう関係があるの?」

アサミ「あさみ、頭悪いから分かりやすく教えて<3」

【作画】テヘペロ的な可愛さを前面に出す

ヒロシ(メガネを直す仕草。色仕掛けが聞いてなさそうな雰囲気。)

アサミ「アサミ、アタマ、悪いカラ!!」

【作画】ムキになるアサミ

ヒロシ「分かった。頭悪いの強調しないで。」

【作画】なだめるヒロシ

アサミ「処女だから勃起も見たことないしね<3」

【作画】再びのテヘペロ的な可愛さ

ヒロシ「簿記っていうのは・・・」

アサミ「そこスルー?そこスルーなの?」

【作画】渾身のツッコミどころをスルーされて焦るアサミ

■7

ヒロシ「昼間の劣等生は夜の優等生って相場が決まっているだろ?」

【作画】ヒロシのドヤ顔

アサミ「ホント、それ。あさみ夜の偏差値なら東大クラス!」

【作画】負けじとアサミもドヤ顔

ヒロシ「で、簿記ってのは・・・」

アサミ「はい!先生っ!」

【作画】分かり易いぐらい前のめり

ヒロシ「会社の通知表をつけるために絶対必要なんだわ。」

アサミ「通知表?」
ヒロシ「通知表」

■8

アサミ「通知表、自分で作るの?」
ヒロシ「まぁ、そうなるね」

アサミ「あさみ、オール5にする!」

【作画】なにかを決意した様子

ヒロシ(メガネ曇ったバージョンでアサミを見る)

アサミ「なにか、言いたげ?」

ヒロシ「そうやって根拠なくオール5にならないように、通知表を作るルールがあるの。」
ヒロシ「日本全国で統一されていて。稼いでいると評価が高い。」

ヒロシ「ルールに通りに稼いでいるか?!表現する方法が、簿記だ!」

アサミ「あさみ、稼げるかなー」

【作画】すこしげんなりした表情

■9

ヒロシ「ところでここの時給っていくら?」

アサミ「8,000円」

ヒロシ「俺たちが50分で出てくといくら?」

アサミ「んーーーーーー2人で15,000円ぐらいかな。」

ヒロシ「かおりんとあさみちゃんに16,000円払って、俺たちから15,000円しか貰えなければお店損してない?」

アサミ「だからドリンク頼め!延長させろって!五月蠅いのか」

ヒロシ「水商売っていうぐらいだから、飲み物は儲かる。」
ヒロシ「近くのコンビニでジンジャエール買ってきて、ここで出せば何倍よ?!」

アサミ「ホント、それな!」

ヒロシ「あさみちゃん今だと評価1。雇う意味なし(笑)」

■10

ヒロシ「お兄さん!あさみ咽喉かわいて死にそう!!」

【作画】首を押さえて訴える。オーバーリアクション

ヒロシ「・・・あからさまだな」

【作画】呆れてる表情

アサミ「てか、かおりん2杯目頼んでるよね?」

【作画】首を押さえたまま覗き込むアサミ

ヒロシ(!?)

ヒロシ「(心)としやの野郎!」

【作画】ちゃんと2杯目がテーブルにあったことを発見する

ヒロシ「なんか頼んでイイよ。」

アサミ「いただきまーす♪♪」

(ヒロシがトシヤを睨むもトシヤとカオリの2人の世界が展開されている。アサミはボーイ捕まえてカシスウーロンを注文)

アサミ「てか、お兄さん何の仕事してんの?本当に先生?」

ヒロシ「先生って呼ばれるけど、学校の先生じゃなくて、税理士の先生。」

■11

アサミ「ゼイリシ???」

ヒロシ「毎日、簿記に触れてる仕事かな。」

アサミ「男なんて生き物は毎日ボキに触れてるもんでしょ。」
ヒロシ「んー30超えると毎日ってワケでもないかな。」

アサミ「そうなんだ!!」
ヒロシ「(こいつ下ネタ好きなのか?)」

【作画】凄い驚いている

アサミ「ところで通知表って誰に見せんの?」
アサミ「お母さん???」

【作画】さりげなくウイスキーの水割りのお替りを作りにグラスに手を伸ばす

■12

ヒロシ「会社のお母さんは誰よ?」
アサミ「ウーン、アサミ?」
ヒロシ「正解」

【作画】アサミは水割り作りながらの台詞。ウーンはグラスを見ながら考えている。

アサミ「自分のために作るの通知表?!」
アサミ「は?なんで?!」

【作画】水割り完成

アサミ「お母さん子供のこと信じてるから通知表なんて見なくてイイよ!」
アサミ「出来る子だよ!」
アサミ「アサミは、きっと出来る子だよ!」

【作画】必死に訴えるアサミ

ヒロシ「分かった。水割りもスムーズに作れる出来る子のアサミちゃん。」
ヒロシ「誰かと一緒に会社作ったり、関係者が増えると通知表があると便利なんだって。」

【作画】ヒロシがなだめる

(ウイスキーの水割り)

■13

ヒロシ「お母さんは通知表見なくてもお父さんは見たいかもしれんじゃん?」
アサミ「それもそうね。お父さんは我が子の評価が気になるかも。」

ヒロシ「全国順位まではつかないけど、これぐらいの成績なら安心だ。ぐらいは分かるからね。」

アサミ「あーね。なんとなく必要性は分かった。」

ヒロシ「これね、もともと一万円札の福沢諭吉が輸入してきたんだよ。」
ヒロシ「外国で使ってるの見て、コレは使えるな。って」

【作画】一万円札を取り出して福沢諭吉を見せるヒロシ

アサミ「諭吉って猫の人でしょ?」

【作画】アサミは招き猫みたいに猫マネ

■14

ヒロシ「猫・・・吾輩は猫である?」
アサミ「それな!」

【作画】アサミ渾身のそれな!

ヒロシ「…それは夏目漱石。」

【作画】昔の千円札の夏目漱石をどこかに入れてください

アサミ「お、お兄さんを試したんだにゃん♪」

【作画】手は猫パンチ。可愛さでカバー。

ヒロシ「猫を被るな」

【作画】眼鏡曇ってるバージョン

ヒロシ「福沢諭吉は、学問のススメ。慶応大学作った人。」
ヒロシ「日本のこと必死に考えてたから簿記って仕組を日本にも導入したい!って本気で思ったんだ」

【作画】2人の背景を諭吉にして諭吉アピール

アサミ「諭吉、神だね」
ヒロシ「そう、神」

■15

ヒロシ「諭吉は、海外のブックキーピングって会計帳簿に記帳する仕組みを輸入して簿記って名前にしたんだ」

【作画】BOOK KEEPINGを2人の背景に入れてください。

アサミ「そこは、ブキじゃないの?!」
ヒロシ「ボキなんだよねー。ブキだったら義務教育の科目になってたかもね。」

【作画】
ツッコむアサミとガッカリした様子のヒロシ

ヒロシ「卑猥な響きだから義務教育の教科に選ばれず…日本人は経営に弱くなってしまったんだ。」
ヒロシ「アメリカと違って日本に経営者が全然増えない理由はコレだよ絶対。むしろアメリカの陰謀とすら…。」

【作画】曇った眼鏡でブツブツと持論を語り出すヒロシ。アサミはコマに入れなくてOK。

アサミ「諭吉、エロイ顔してるもんね」
ヒロシ「そこ?!」

【作画】あっけらかんと言い放つアサミとツッコミせざるを得ないヒロシ。2人の背景に一万円札の汗をかいた福沢諭吉を入れてください。

トシヤ「(オフ)ヒロシ!!」
ヒロシ「ん?」

【作画】会話の途中を遮断される

■16

トシヤ「来週の金曜日、叙々苑に行くから!」

【作画】トシヤにカオリが腕を組んでいて、トシヤがドヤ顔。この出来事が簿恋の物語を加速させるので、コマは大きめで。

ヒロシ「・・・行ってらっしゃい」
トシヤ「(オフ)4人で行くんだよ!」

【作画】呆れ気味に眼鏡が曇っている状態で送り出すも、食い気味で突っ込まれる。

ヒロシ「え?」

カオリ「かおりん叙々苑行きたーい♪♪」
カオリ「あさみも一緒に行こ?」

【作画】聞き返すヒロシにお構いなしでしゃべりだすカオリ。デレデレなトシヤ。

ヒロシ(アサミを見るヒロシ)
ヒロシ「そもそも予定空いてないだろ?」

【作画】アサミを見るヒロシの視点で。

■17

アサミ「その日はテストだから、バイトいれてないけど…」

【作画】カオリが本気で言っているか分からないから、とりあえず話を合わせる方向に動いたアサミ。

カオリ「アサミも一緒に行くなら、かおりん行くー♪」
トシヤ「ヒロシ!お前、なんとかしろ!!」
ヒロシ「(心)マジか」

【作画】カオリ→トシヤ→ヒロシの台詞がリズミカルに連動。

ヒロシ「肉、好き?」
アサミ「うん」

ヒロシ「じゃ、来週叙々苑集合で」
アサミ「OK♪」

【作画】なんとかしろと言われても、自分にメリットが無いため、直球、かつ、無機質な誘い方となったヒロシ。

トシヤ「俺たちLINE交換したからお前たちもしとけよ!」

【作画】カオリが密着してニヤニヤしてるトシヤ


(携帯出してLINE交換する。
キャバクラ内で交換できることは少ないのですが、なくは無いので。)

■18

ヒロシ「(オフ)asami?って、あさみ源氏名じゃないの?」

【作画】LINEの画面で、asamiのページにどうでも良いスタンプを送ってある状態

アサミ「源氏名だと反応できなくて本名にしたの。最初、サクラちゃんだったんだけどねー。」

【作画】両手でスマホをもっているアサミ。スマホカバーは斜めのストライプで大人っぽく。LINEメッセージを打っている。

アサミ「(オフ)asami:くまのはかせ?」
ヒロシ「(オフ)読みは、クマノヒロシ」

【作画】LINE画面、asamiからメッセージが届く。それに対して口頭で回答するヒロシ。

アサミ「メッチャ熊詳しそうな漢字じゃん!」
ヒロシ「それ、よく言われる」


アサミ「くまさんで登録しとくね!」
ヒロシ「それも、よく言われる」

ボーイ「お客様、15分延長だとこちらの値段で・・・」

ヒロシ・トシヤ「帰ります。(キッパリ)」

【作画】領収書を持ってボーイがやって来て説明をするも、帰宅を決める2人。

■19

カオリ・アサミ「また来週ねー♪♪」

【作画】こちあらはエレベーターの中から2人を見ている。

トシヤ「ヒロシ、来週まで繋いどいてくれよ」
トシヤ「俺だと嫁バレがあるからさ」

ヒロシ「本当に叙々苑来るならな」

【作画】エレベーター内でのやりとり

トシヤ「今日の感触は、来るだろー!」

ヒロシ「キャバ嬢に期待すんなトシヤ」

【作画】エレベーター1階に到着。

トシヤ「んじゃ、よろしく!!」

【作画】タクシーに乗り込むところなトシヤが腕をあげて頼んでいる。

ヒロシ(タクシーを拾うヒロシ)

ヒロシ「LINE:今日は楽しかったわ^^かおりん叙々苑って本気で言ってる?笑」

【作画】タクシー車内。

ヒロシ(既読マークがつく)

【作画】スマホはLINE画面を起動したまま手の中

ヒロシ「(心)既読つくの早いなー」

アサミ「(オフ)asami:本気で叙々苑行く気みたいwwww」
ヒロシ「マジか。」

【作画】驚きと酔っていたのもあって、独り言を口走ってしまうヒロシ。

アサミ「(オフ)asami:私も今日楽しかったよ^^来週会えるの楽しみ♪」
ヒロシ「(オフ)LINE:叙々苑が楽しみじゃなくて?笑(既読マークがつく)」

【作画】スマホ画面でのやりとり

(スマホ画面を見つめているヒロシ)

アサミ「(オフ)asami:両方<3<3w」

【作画】これもスマホ画面



アスラン(職場)>>



ヒロシ「重光!これなんで未払費用に計上してんの?」

【作画】職場風景。書類に付箋がいっぱい貼ってある。その中の1頁を開いて重光に確認しているところ。なお、重光は隣の席。

■20

重光「車買って、支払いが決算日またぐから未払費用ですよ?」
ヒロシ「そうじゃなくて、なんで未払金じゃなく未払費用なんだってこと」

【作画】隣の席の重光が手はノートPC、首だけ傾けて回答する。ヒロシは体ごと重光に向いている。

重光「未払金なんて使ってませんもんこの会社」
ヒロシ「適性な勘定科目を使うのがお前の仕事だろうが」

【作画】上と同じ構図

重光「いやいやいや、税金計算変わりませんし?」
ヒロシ「いやいやいや、そこは問題じゃないんだって。」

【作画】重光も体ごとヒロシに向けて、向かい合う構図に

ヒロシ「未払金と未払費用の違い分かってるか?」
重光「違い?呼び方が違いますよ?」

【作画】少し首をかしげる重光

ヒロシ「…重光、簿記3級からやり直せ」

【作画】メガネが曇っているバージョン

ヒロシ「あのな、未払費用ってのは継続的なサービスだけど払ってないものな。」
ヒロシ「例えば給与。継続的に支払うだろ給与って?」
重光「はい」

ヒロシ「この会社だと給与が25日〆で翌月10日払いだよな?」
重光「知ってるよ」

ヒロシ「敬語を使えぇ!!」

【作画】生意気な後輩にツッコまずにはいられないヒロシ

■21

ヒロシ「そうすると、9月30日が決算日のこの会社は9/26~10/25の分が11/10に支払われる。」
重光「そうですね。」

ヒロシ「決算日の段階では、9/26~9/30までの給与は確定してるんだよ。」
重光「実際に従業員働いてタイムカード押してますしね。」

ヒロシ「そうそう。」
重光「続けてください。」

ヒロシ「なんで教わってるお前が偉そうなんだよ!!」

【作画】ツッコミ再び

重光「さーせん。」

【作画】平謝り

ヒロシ「で、決算日の段階では〆日までの合計支払額は確定してないだろ?」
重光「10/25で〆日なんで無理ですね。」

ヒロシ「継続的なサービスで決算日までの確定してる分は未払費用で計上すんの。」
重光「へー。」

■22

ヒロシ「車買って、支払う金額が分かり切ってる単発取引は未払金だ。」
ヒロシ「未払金を使ってないんじゃなくて、使う必要がなかったんだよ。」

重光「…そんなに細かくやります?」

【作画】細かい先輩に怪訝そうな重光

ヒロシ「細かいんじゃなくて、ルール!やりなおし!!」
重光「はぁーい。」

加藤先輩「熊っち」

【作画】向かい側で見ていた加藤先輩が話しかけてくる。

ヒロシ「なんですか加藤先輩?」

加藤先輩「そこまで頑張っても、社長そこまで見ないからね」

ヒロシ「そうなんですよねぇー」

ヒロシ「社内クオリティを維持するためには新人に正しい簿記の知識が必要ですけど・・・」

【作画】困った様子のヒロシ

加藤先輩「税金の金額しか興味ない社長多いからなー」
ヒロシ「本当にそうですよね。銀行のために作ってるんですかね私たちは・・・。」

【作画】明後日の方向をみる中堅社員2人。

加藤先輩「でも、女は細かいとこまで見る。」
ヒロシ「なにかあったんですね加藤先輩。」

■23

加藤先輩「完全犯罪だと思ったんだけど嫁にバレたんだよね女の子と遊んでたのが」
ヒロシ「え?先週のですか?」

【作画】ヒロシとしては意外な展開だったので、静かに驚いている。

加藤先輩「アリバイ工作に協力してもらったのに申し訳ない。」

【作画】頭を下げる先輩。

ヒロシ「私…何かミスしました?」
加藤先輩「熊っちは完璧だった。俺がミスった。」

【作画】恐る恐る聞くヒロシ。

ヒロシ「具体的に説明してください。」

【作画】真顔で。

加藤先輩「(オフ)熊っちとのライン見せたんだよ」
ヒロシ「(オフ)そのための私のLINEですもんね」

(11:55 LINE:どこにいますかー?)
(12:03 LINE:着信)
(22:00 kato:今日はお疲れ!話題になった肉の写真送るわ!!)

【作画】ヒロシの先輩とのLINE画面

ヒロシ「(オフ)指示通りの時間に指示通りの文章と着信をしましたよね。夜、デカイ肉が焼かれてる写真見てBBQしてたんだって理解しました。」

【作画】デカイ肉の写真。大きなローストビーフが鉄板の上で焼かれており、その横にナイフやトングが並んでいる。

ヒロシ「BBQの集合場所に先についた私がLINE送って、集合時間になっても来ないから電話をした感じですよね?」
後藤先輩「そして、電話中の熊っちを見つけて合流したから着信あっても取ってないということで。」

【作画】2人で答え合わせ中。

ヒロシ「…問題は、肉の写真ですか?」

【作画】謎は全て解けた状態。トーンは稲妻系。

■24

(仏のような顔になった加藤先輩)

加藤先輩「熊っち、鉄板の左下になにが見える?」
ヒロシ「鉄板にひいた油…ん?」

【作画】スマホをマジマジと見るヒロシ

ヒロシ「(オフ)写り込んでますね!女子が!これは、ボーイッシュなTシャツなのでスルーしがちですけど、髪型がロングを上でまとめてお団子ですね!たぶん、スマホ構えてますね!!」

【作画】肉の写真の左下アップ。

加藤先輩「普通じゃないでしょ女の勘って。」
ヒロシ「…怖過ぎる。」

加藤先輩「職場の同僚とBBQで女子はいないことにしてたから、肉が大きすぎて隣の女子チームが写真撮りたいって言ってきてさ!って言い訳したら…」
ヒロシ「したら?」
加藤先輩「熊っちに電話で聞いてもイイ?って…」

ヒロシ「さすがに対応できかねます。」

【作画】曇った眼鏡バージョン。

加藤先輩「熊っちバツイチだから何かと週末も使い易くてさー。ついついアリバイ工作にも熊っち使ちゃうんだけど。今回は墓穴掘ったわ。」

ヒロシ「まぁ、利用価値があるうちに使ってください。そして、シナリオを前日までに足のつかないwebメールで送ってください。」

【作画】うなだれる先輩とアドバイスするヒロシ


加藤先輩「次回からはそうする!」

【作画】決め顔

ヒロシ「バツイチで使い勝手がイイといえば…一昨日も友達のキャバ通いの隠れ蓑に使われました。」

【作画】今度はヒロシが仏のような顔

■25

加藤先輩「熊っち、イイ子いた?」
ヒロシ「いやぁ。LINE続いてるんですけど、20歳ですよ20歳。11歳差。」

ヒロシ「(笑)じゃなくてwですよダブルダブルダブル。」
加藤先輩「俺、30代後半ぐらいがイイなぁ。」

【作画】うなだれるヒロシと明後日の方向を見る先輩

ヒロシ「ちょっと若過ぎますよね。しかも来週、叙々苑行くんですよ。」
加藤先輩「2人で?!」

【作画】先輩の2人で?!は台詞食い気味に。

ヒロシ「4人です。その友達と私とキャバ嬢2人。」
加藤先輩「20歳、肉食べるだろー。」

ヒロシ「叙々苑なんてランチしか行ったことないんですけど、夜は高いんですよね?」

【作画】何気なく聞く

加藤先輩「高い。気をつけやぁ。単価の割りに肉少ないから。自分たちはラーメンでも食べていきなよ?昔、すんごい請求されたよオレ。」

【作画】いつになく真顔な先輩

ヒロシ「そ、そのつもりです。」

【作画】ひきつるヒロシ



王将>>

トシヤ「餃子とビールと唐揚げ!全部2人前ちょうだい!!」

【作画】注文するトシヤ。店内はガヤガヤしている。

■26

トシヤ「ひろし、ありがとう!この日が来たな!!」

【作画】満面の笑みなトシヤ

ヒロシ「20歳と毎日LINEだぞ。カルチャーギャップ甚だしかったわ!」
ヒロシ「あーね。って、あぁそうゆうことね。の略だぞ。知らんわー」

【作画】疲れた様子のヒロシ

トシヤ「まぁまぁまぁ、あんなカワイイ子たちとご飯食べれるんだからさ♪」
ヒロシ「それは、お前の趣味であって俺は別にイイってば。」

トシヤ「バツイチって言っても新婚生活1ヶ月だろヒロシ。」
トシヤ「そんなのノーカウントだって。そろそろ彼女作れよ。」
トシヤ「離婚して1年ぐらいたったろ?」

【作画】必死に説得するトシヤ。この後のヒロシのテンションを左右するため必死。

ヒロシ「1年は…経ったな」
トシヤ「だろ?!確かに千恵ちゃんはモデル並に可愛かった。」
トシヤ「女優みたいな大きな目だったし、モデル体型。」
トシヤ「でも、あさみちゃんだって負けてない!いけ!ひろし!!」

ヒロシ「20歳の美女がバツイチと付き合うかトシヤ?」
トシヤ「そうやって最初から諦めるなよ!」
トシヤ「お前、税理士だし、ルックスだって悪くないって!」

トシヤ・ヒロシ(ビールが来て乾杯する)

■27

トシヤ「でも、たしかに周りのバツイチみてると普通のカワイイ子と付き合ってないかもなー」
ヒロシ「バツイチ同士とかね。」
ヒロシ「若くてもリストカットしてるようなメンへラ系とかね。」

【作画】乾杯して一息いれて我に返るトシヤ。現実を口にするヒロシ。

トシヤ「アサミちゃんって・・・」
ヒロシ「腕は綺麗だったよ」

【作画】食い気味に否定するヒロシ

トシヤ「ま、バツイチは、難ありな物件とは相性イイもんな。」
ヒロシ「バツイチってだけで難ありだ。」

トシヤ「今日はさ、息抜きだと思ってさ!楽しもうぜ!!」
トシヤ「俺は楽しみ過ぎてヨダレが止まらないぜ!」
ヒロシ「かおりんみたいな子、ドストライクだろ?」
トシヤ「さすがヒロシ、分かってるねー」



叙々苑>>



トシヤ「ごめんごめん待った?」

【作画】叙々苑個室に入っていくヒロシとトシヤの2人

■28

カオリアサミ「私達も今来たところだよー♪」

【作画】私服の2人、このコマ大き目で。アサミは髪をおろしていて清楚系。カオリはキャバの延長っぽい感じ。

ヒロシ「(心)私服だと歳相応だな」

【作画】ついアサミを見つめてしまうヒロシ

(目が合って微笑み返すアサミ。)

ヒロシ「(心)ヤバイ、普通に可愛い」
ヒロシ「今日は飲めるの?」

【作画】聞きながらメニュー表に目線を変えるヒロシ。照れた。

アサミ「テスト終わったし、飲みたい!!!」

【作画】キャバクラみたいに元気に発言

トシヤ「じゃんじゃん飲んで、ガツガツ食べてくれ!」
カオリ・アサミ「肉ー♪♪」

【作画】メニュー表を見せるトシヤ

(皆が酔って来た感じで)

カオリ「あさみとくまさん毎日LINEしてんでしょー?」
ヒロシ「ん、そうだよ?」

■29

カオリ「羨ましい。」
カオリ「としやんのLINEすぐ終わった。」

トシヤ「そ、そんな毎日LINEすることなんてあるか?!」

【作画】睨むカオリと慌てるトシヤ

カオリ「本当、なにLINEしてんの?」
ヒロシ「ニュースで流れてることを簡単に説明したり、あとは軽い下ネタ?」
ヒロシ「今朝は、四菱電気の粉飾決算の仕組をLINEして…」

カオリ「アサミ、楽しいの?!」
アサミ「え、楽しい」

【作画】思いもしない真面目な内容にカオリがアサミに聞く。それに対し当たり前のように回答するアサミ。

アサミ「くまさん超絶分かり易い」

【作画】酔って表情が柔らかくなっているアサミ

カオリ「くまさん、四菱電気の粉飾決算を私にも教えてみて!」

ヒロシ「あれは…悪意の仮払金計上。」

■30

カオリ「悪魔の刈り払い?」

【作画】カオリの後ろで死神が大きな鎌をもっている。

ヒロシ「いや、悪意ね。知っててやること。」
ヒロシ「例えば出張に行く社員が出張先で接待する“かも”しれない。そうだな…解り易いようにトシヤが大阪に出張するとしよう。」

トシヤ「出張するとお客さんと北新地か梅田で飲むな。」

ヒロシ「その1次会の会計はお客さんが持ってくれたりするんだけど、毎回払って貰うのはダメなんだよ」
カオリ「ありがとうございます<3<3じゃ、ダメなの?」

トシヤ「毎回それじゃダメだね。こっちが仕事を受注している場合は特に。何回かに1回は強引にでもこっちが払いたいところだわ。」
【作画】酔ってるなりにカオリにイイトコを見せたいので真面目なトシヤ

カオリ「でもサラリーマンなんてお小遣いだから、そのへんの高校生よりお金持ってなかったりするじゃん?」
トシヤ「…そうなんだよ。ひろしみたいな独身はイイけど、俺みたいな既婚者は裏金でも作らないと叙々苑には来れない。」

【作画】拗ねるトシヤ

カオリ「裏金?!」
トシヤ「株とかで稼いだお金だよ。悪いことはしてないって。」

【作画】カオリの過剰反応をなだめるトシヤ

ヒロシ「まぁ、かおりんの言う通りで普通は手持ちがない。そこで、出張する社員に会社がお金をもたせてくれるワケだ。」

カオリ「社員の給料増やしてあげれば良くない?」
トシヤ「いや、給料が増えてもお小遣いが増えるとは限らない。そこは家庭内で交渉。営業トップの俺でもこれが一番難しいプレゼンだ。」

カオリ「サラリーマンって…」

■31

ヒロシ「で、仮払金ってのは、使わなければ全額返金するし、使ったら領収書と差額を返金するワケ。」
カオリ「あーね。お金を渡したときは仮払なんだ。何に使うか分からないもんね!仮払ね!仮払か!!」

カオリ「え?でも?仮払金で粉飾ってどうやってするの?全従業員を出張させると利益が出る?」

アサミ「逆なんだって、かおりん。」
カオリ「逆?」

【作画】ポヤーっと酔ってるアサミが久々に口を開く

ヒロシ「時系列にすると、仮払金の支払があって、出張があって、出張から戻ってきて、精算されて、精算されたときに費用になる。ここまではOK?」
カオリ「うん」

ヒロシ「11月30日が決算日の会社で11月30日~12月5日まで出張の社員がいたら、こんな理由で仮払金の支払があってもおかしくないでしょ?」
カオリ「で、逆って?」

ヒロシ「ガツガツくんなぁ。逆の前に、11月中に出張があっても精算しなかったら?」
カオリ「精算しないと何に使ったか分からないから費用に出来ないじゃん!」

ヒロシ「何に使ったか分かっているのは支払がなくても費用にするぐらいだからね。」

【作画】重光とのやりとりを思い出しながら

カオリ「領収書があれば全部、費用にしなきゃいけないんでしょ!?」
ヒロシ「その理解はだいたい合ってる。」
カオリ「で、逆は?」

ヒロシ「精算済みの領収書があるのに、無かったことにする。」

■32

ヒロシ「費用になっているのに、これはまだ精算されてないってことにして後出しで仮払にしちゃう。」
カオリ「んー?つまり、嘘つきってこと?」

ヒロシ「そういうこと。真実を嘘で上書きするの。女の子とBBQ行くのが確定しているのに奥さんには「今週末のBBQは野郎しかいないから!」っていう既婚者みたいな。」

【作画】加藤先輩

カオリ「え?それと同じ?!」
ヒロシ「BBQ現場を見に行けば絶対バレる嘘だけど、そんなの確かめに行かないでしょ?」

カオリ「そこまで暇じゃない。そもそも信じてるよね。」

【作画】カオリのドヤ顔

ヒロシ「BBQ後の旦那の会話や行動に矛盾が生じなければ確実に信じるよね。」
カオリ「そうだけどー…。」

【作画】不満そうなカオリ

ヒロシ「女の子を消したアリバイが浮気の常套手段、費用を消した好業績が粉飾の常套手段。」

カオリ「でもでも、いつか費用になるから意味なくない?精算するんでしょ?」
ヒロシ「1回嘘をつくとね、ずっと嘘をつかないとダメなんだ。」

ヒロシ「浮気の度、粉飾の度に嘘をついて。完全犯罪を目指す。」
ヒロシ「1回仮払金で粉飾しちゃうと来年も仮払金で粉飾しないと、意味が無くなるからねー。」

カオリ「最低。」

ヒロシ「よく浮気とか魔が差した…っていうじゃん?粉飾も一緒だよ。」
カオリ「なんでそこまでして粉飾するワケ?」
ヒロシ「色んな理由があるけど、綺麗に言えば“周りからの期待を裏切りたくなかった”かな。」

ヒロシ「銀行や投資家をガッカリさせたくなくて嘘をついてしまった。」
ヒロシ「イイ旦那、イイ父親というイメージを崩したくなくて…」
カオリ「綺麗事だよ!」

【作画】カオリが食い気味で発言

ヒロシ「でもさぁ、周りに嘘をついて完全犯罪を目指すんだから大変だぜ?やっちゃいけないことをやってるの自覚してんだから。自分には嘘つければどんだけ楽か。」
カオリ「でも浮気は…」
トシヤ「粉飾決算の話じゃなかったのかコレ」

アサミ「ねぇ、かおりん、20歳の私達にも分かるでしょ?」
カオリ「まさか粉飾決算が浮気と繋がるとは…でも、理屈は分かった。」
ヒロシ「こんな感じだよLINE内容。」

アサミ「そうなの。難しい経営のこととか噛み砕いて説明してくれる。アサミのエステサロン経営したい!って言ったのを真面目に考えてくれてる感。」
ヒロシ「あれ嘘だったの?!」

アサミ「いや、本当だよ!!本当にサロンをするのが夢。」

トシヤ「その時はヒロシが手取り足取りサポートするよな!」
ヒロシ「いやらしいなトシヤ。」

(アサミの笑顔)

アサミ「ちょっとお手洗いいってくるね。」
ヒロシ「いなくなったぞトシヤ」

(個室で3人になる)

カオリ「くまさん、あさみのことぶっちゃけどう?」

ヒロシ「どうって?女として?」
カオリ「そう。」

ヒロシ「若すぎる。」
カオリ「即答だね。若く無かったらアリ?」

ヒロシ「んーアリかなぁ。」
ヒロシ「次の1月で成人式ってのはちょっと・・・」

カオリ「アサミ学校で友達にナカナカ心開かなくてさー」
カオリ「あんま友達いないんだよね」
ヒロシ「そうなんだ。」

カオリ「美人過ぎて女ばっかの中だと浮くっていうか」
カオリ「私みたいな元気なのはどうにでもなるんだけど」
カオリ「アサミはドライな感じだし」

ヒロシ「LINEそんな感じしなかったけど?」

カオリ「そう!!!」
カオリ「なんでか知らないけど、くまさんには心開いてるっぽい。」

カオリ「くまさん、アサミと仲良くしてあげて欲しいの。」
カオリ「今日が終わったらLINEやらない気でしょ?」
ヒロシ「バレてたか」
カオリ「20歳舐めんな」

ヒロシ「そうはいってもねぇ。」
カオリ「まぁ強制はしないけど、カオリからのお願いってことで」

トシヤ「かおりん友達想いだなー」
カオリ「ほっとけないだけ」

トシヤ「惚れ直した!」
カオリ「ありがと♪トシヤん♪♪」

カオリ「にしてもアサミ遅くない?」
カオリ「くまさん見てきて!」
ヒロシ「そうね」

ヒロシ「(心)美人過ぎて孤立ねぇ・・・」
ヒロシ「(心)どんな人生だそりゃ」

ヒロシ「あらあらあら」

(店内待合用ベンチで座ってるアサミ発見)

ヒロシ「大丈夫かアサミちゃん」
ヒロシ(隣に座る)

アサミ「くまさん、あのね。」
ヒロシ「うん?」

アサミ「楽しいの今日。」

(ちょっと見とれる)

ヒロシ「それは、ありがとう。」
ヒロシ「そして、マッコリ飲み過ぎだな」

アサミ「粉飾決算ってさ・・・」
ヒロシ「おお?」

アサミ「何が悪いの?」

ヒロシ「そりゃあ不正を隠すワケだから、やったらあかんよ。」
アサミ「バレない可能性もあるんでしょ?」

ヒロシ「粉飾して、徐々に調整していくってのもあるけどね確かに」
ヒロシ「でも、粉飾見つかったら損をする人がいっぱいいるからね。」
アサミ「損をする人?」

ヒロシ「投資家からしたら、これぐらいの価値だ!と思ったらそんなに価値が無かったワケだし」
アサミ「そっか。」

アサミ「粉飾してるの知っても株を買う人っているのかな?」
ヒロシ「粉飾はうわべを飾ることだから、中身が本当に魅力的だって確信があれば買うんじゃないかな」

アサミ「はぁー。やっぱ中身かぁ!」

ヒロシ「どうしたよアサミちゃん?まさか、お父さん四菱電気?!」

アサミ「私さ、この顔にするのに昔は2時間かかってたの。」
ヒロシ「すげぇな2時間って。」

アサミ「メイクが上手くいかないとイライラしてた。」
アサミ「スッピンは本当にヤバかった。」

アサミ「朝美って名前も嫌いだった。朝が一番美しくないし。」
ヒロシ「(心)asami→朝美か」

アサミ「ても、今はメイク15分ぐらい。」
ヒロシ「何が?言いたいんだ?」

アサミ「整形したんだ私」

アサミ「って言っても切ったり貼ったりの大規模工事はしてないけどね」
アサミ「スッピンとの落差が減った感じかな。」

アサミ「自分に嘘をついて、周りにも嘘をついて…」
アサミ「性格はカワイクならなかったなー。」

アサミ「ねぇ、目とか女優みたいでしょ?」

アサミ「私、嘘で上書き?したんだ。」
アサミ「くまさん、引いた?」

ヒロシ「幸せになりたいと努力してる人間を笑うヤツはいないだろ」
ヒロシ「完全に上書きできれば、それが真実だろうし。」

ヒロシ「今は、朝美、気に入ってる?」
アサミ「かろうじてw」

ヒロシ「じゃあ良かったじゃん」

ヒロシ「席、戻ろうか」

アサミ「…今夜もLINEしてイイ?」

ヒロシ「俺に整形を打ち明けても大丈夫だと思ったから言ったんじゃないの?」
アサミ「ホント、それw」

ヒロシ「難ありの物件とは相性イイんだよオレ(笑) 」
アサミ「なにそれ?W」

ヒロシ「バツイチって言ってなかったよね?」
アサミ「うっそー!!」
アサミ「今夜のLINE内容決まったじゃん!W」

ヒロシ「バツイチって言うと引いてLINE止まるかと思って」
アサミ「あーね。」

アサミ「そこまで関係ないや。」
ヒロシ「俺も整形ってそこまで抵抗ないんだよね。」

アサミ「コンプレックスって案外、自分でこじらせてるだけなのかもね」
ヒロシ「受け入れてくれる人も世の中にはいるからな」

アサミ「あとさ!簿記ちゃんと教えて!くまさん分かり易いよ!」

ヒロシ「美容整形クリニックじゃなくてエステ経営でイイの?」
アサミ「だから!そこまでイジってないんだってば!!」

ヒロシ「整形美人には変わりないんでしょ?笑」
アサミ「うっさいバツイチ!W」

第一話 完


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?