スタートアップ起業の概観

こんにちは、学生起業家の卵を支援しております。上出です。

最近、友人が運営しているLADDERという学習の手順やコツなどを投稿できるUGC型のサービスで「起業のやり方を体系的に説明して欲しい」みたいな話をいただきました。(こちらのnoteもLADDERの1セクションとして丁度いい記事が無かったので、執筆した次第です。)
そもそも起業って何を指してるんだっけ?みたいなところから曖昧だったので、前回のnoteでは起業の4類型を説明してみました。
今回は、その中のスタートアップモデルの起業にフォーカスを絞り「起業したいんだけど、何から手を付けよう」みたいな方のお役に立てる記事にしたいと思っております。

0.はじめに

巷では、起業に関する書籍やWEB記事等が非常に多く出回っています。それらは、経験豊富な起業家さんや投資家さんにより記述されたもので、Twitterで回ってくる記事の多くは大変勉強になります。ただ、あまりそれらは1つの知識体系という感じではありません。この記事では、「起業ってこんな流れなんだ!なんかできそうな気がするかも!」とか、「起業って大変そう、、、自分はやめておこうかな」みたいに、起業とそれにまつわる一連の準備を大枠でお伝えして、起業についての全体感を掴んで頂きたいです。
各フェーズの詳細に関してはそれぞれnoteを書いたり、良い記事をLADDER上で紹介する予定なので、この記事を読んだ段階では100%理解しきらなくても問題ありません。

1.起業の全体感

 a.アイデア探し
 b.課題検証
 c.MVP設計と導入
 d.開発
 e.資金調達
 f.次ラウンドへ、、、

2.アイデア探し

起業するに当たって何かアイデアが無いと始まりません。従ってまずは何で起業をするのかという事業アイデアを考えるのが良いかと思います。
アイデアを探すに当たっての手法は2つです。
1つ目は、課題から入るアプローチです。
つまり、自分や身の回りで困っていることを見つけ出し、それを解決するアプローチを考えるというやり方です。
こちらの場合は、検証しなければならない仮説は2つ
「ユーザーの課題が本当に存在するか」と、「その課題に対するアプローチは適切か」というものです。
2つ目は、先行事例を研究してビジネスモデルを構築するアプローチです。
ソリューションから入るアプローチと言ってもいいでしょう。
海外(多くはシリコンバレー)で多額の投資を受けている企業や、著名なベンチャーキャピタル(a16z,Sequoia,KPCB等)から出資を受けているスタートアップを分析し、日本へのローカライズとしてビジネスを構築します。
こちらも「海外と同様の課題がユーザーに存在するか」や、「アプローチは国内でも通用するか」という仮説を検証する必要があります。

大事なのは、これら2つのアプローチは切り離されているものではなく、2つを複合的に使いこなす必要があるということです。

また、大事なのは100点のビジネスモデルを作ることでは決してありません。
60点でも良いので、とにかく市場に出してユーザーの声を聴くことが肝要です。
ユーザーの声の聴き方などは後ほど解説します。

3.課題検証

アイデア探しの項でも説明しましたが、事業プランがある程度定まった後は、実際にそのビジネスに対するニーズが存在しているかを選定する必要があります。ビジネスのコアユーザーはある程度定まっている状態かと思います(定まっていない場合は定まるまでこちらには進まない方が吉です)ので、コアユーザー候補にヒアリングをして、「同様の課題感を持っているか」、「現在はどのような類似サービスを使っているか」等のデータを取ります。
ユーザーヒアリングについては別途トークスクリプトつきのnoteを書く予定なので、こちらをご参照下さい。

4.MVP設計と導入

MVPとは、Minimum Viable Productの略称で、実際に製品として提供される予定のプロダクトを、最小限の労力で実現するモノになります。メディアのニーズの仮説検証としてnoteを使ったり、機械学習を用いて自動化するプロダクトを、まずは人力で再現するなどを指します。代表的な例としては、名刺管理アプリ「eight」やレストラン予約アプリ「ぺこったー」などがあげられます。(詳しくは調べてみてください。)
MVPを用いて、最小限のコストで実際のプロダクトのフィードバックを受けることが出来ます。
チームにエンジニアがすでにいる場合は、この工程は省略可能ですが、実際に開発するのとではコストや期間が段違いなので、MVPの設計ができる場合にはこちらで検証するのが好ましいです。

5.開発

MVPによる検証が十分に進んだと判断出来たら、いよいよ開発です。創業者自身がエンジニアではない場合は、MVPでの検証と並行してエンジニアを口説いておきましょう。また、エンジニアを口説く場合や、自分で勉強して開発をする場合でも、ペーパーモックやワイヤーフレームを用いたUIの見本があるとよいでしょう。エンジニアとのコミュニケーションが取りやすくなります。
余談ですが、スタートアップモデルのWEBプロダクトもしくはアプリでの起業を検討している場合、創業チームにフルコミットのエンジニアがいることが資金調達にはほぼ必須と言っても過言ではありません。「資金調達してからエンジニアを雇用する」という考えの方を多々お見受けしますが、多くのベンチャーキャピタルはそのチームの開発力を評価指標に入れているので、あまり合理的ではありません。(もちろん例外は一部存在します。)

6.資金達達

ある程度仮説が検証できて、一定以上の潜在ユーザーが見込め、最低限のプロトタイプが完成しているタイミングで、シードラウンドでの資金調達をするのが一般的です。何故なら、この先のスケールにはマーケティングや営業、開発などある程度以上の資金力が必要になってくるからです。
企業価値1億以上(調達額ベースだと700万~2000万)を目標に資金調達に動きましょう。
接触する対象としては、エンジェル投資家、シードラウンドを対象にしているベンチャーキャピタルです。

7.次ラウンドへ

シードラウンドでの資金調達が完了したら、いよいよプロダクトにユーザーをつける工程です。一般的にはシードラウンドでの調達から6~10か月前後(所説あります)で次回のラウンド(アーリー、プレシリーズAなどと呼称)での調達になります。シードと次のラウンドの間には所謂「死の谷」が存在しています。俗人的なスキルやチーム力が調達難度を左右するシードラウンドとは異なり、次のラウンドではシードの資金をどのように投下し、どれだけのユーザー数を獲得できたかなど、数字で語る部分が大きくなります。一連の記事ではシードラウンドでの資金調達を当面のゴールとして書きますが、シードラウンドはスタートアップのスタートラインです。

8.最後に

いかがでしたでしょうか?こちらのnoteは冗長な説明を抑えつつ、スタートアップ起業の全体感を捉えてもらうためのものです。わからない用語や事例に関しては随時調べながら、何となくの理解をして頂けたらと思います。
また、こちらは多くの場合学生起業に当てはまる説明が多いと思います。スタートアップ起業に該当しない方や、ある程度以上の自己資本がある方にとってはあまり参考にならないかと思います。加えて、こちらのnoteは私個人の見解が多分に含まれますので、他の記事も参考にされつつ、情報を相対化して捉えることをお忘れなきよう宜しくお願い致します。

LADDER上で、こちらの記事の各項目の詳細に関してや、法人登記のやり方とタイミング、株式の分配について気を付けるべきことや契約書にまつわるあれこれ等、詳述する予定ですので、Twitterアカウント@curry_investorをチェックして頂けると嬉しいです。






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