ユーザーヒアリングのトークスクリプト例

こんにちは、学生起業家を支援してますわでです。

今回はタイトル通り、ユーザーヒアリングのトークスクリプトとその解説を行います。
参考にした書籍は『Running Lean』です。少し古い本ですが、今でも役に立つ良書です。起業を検討したら買ってみてもいいかもしれません。新しい書籍だと『起業の化学』が圧倒的に良いですね。

インタビュー全体の流れ

・場の設定(2分)
・ヒアリング対象の情報収集(2分)
・課題のストーリの共有(2分)
・課題の優先順位の確認(5分)
・課題の検証(15分)
・お願い(2分)

トークスクリプトと注意点

以下のトークスクリプトは、「写真や動画をオンラインで簡単に共有できるストレージサービス」の仮説検証に用いられたものです。

検証したい仮説:大量の写真や動画のアップロード・シェアには時間がかかり、子供がいるとそのために割く時間がない

潜在ユーザー:子供を持つ親(アップロード)・親戚、親の友人(閲覧)

場の設定(2分)
本日は貴重なお時間を頂きありがとうございます。
我々は親御さんを対象にした写真と動画の共有サービスに取り組んでおります。私も最近子供が生まれまして、写真や動画を撮る機会が増えました。しかし、妻が既存のサービスを使いこなせていませんでした。そこでこのサービスを作ろうと思いいたりました。
インタビューの流れとしては、まず我々が感じている課題に関してご説明いたします。次に、同様の課題をお持ちかどうかについて質問させて頂きます。
また、先に申し上げておきたいのですが、私は本日のインタビューを通じで何か製品を売りつけようといった意図は全く持ち合わせておりません。こちらのインタビューの目的は、われわれがより良い製品を作るための学習です。
それでは、宜しくお願い致します

ヒアリング対象の情報収集(2分)
具体的な課題のインタビューに入る前に、簡単に貴方自身のことを教えて頂いてもよろしいでしょうか?
・お子さんは何人いらっしゃいますか?
・お子さんはおいくつですか?
・写真をオンラインで共有していますか?
・動画をオンラインで共有していますか?
・共有の頻度はどれくらいですか?
・どなたと共有していますか?

この項では、「親御さん」という比較的広いユーザーセグメントに対して、最も課題を感じている小セグメントを切り出すことが目的です。また、特定のユーザーセグメントに共通する特殊な課題が発見されることもあるので、ここはきちんと情報を貰いましょう。

課題のストーリの共有(2分)
ありがとうございます。それでは、我々が取り組んでいる課題について説明させて下さい。
子供が生まれてから、以前よりも写真や動画を撮る機会が増えました。祖父母や親戚からは、定期的に写真などを送ってくれと頼まれます。しかし、こうした作業は時間がかかりますし、時には苦痛を伴うことがありますので、定期的に共有するのはなかなか骨が折れます。
ファイルの整理、サイズの変更、そしてアップロードが完了するのを見守らなくてはなりません。動画はさらに大変で、WEBに適したフォーマットに変換しなくてはなりません。
子供がいて、自由に使える時間が少ない中、これは非常に大変な作業であると感じます。
共感して頂けるでしょうか?

仮説として持っている課題感を相手と共有しましょう。この際に心掛けなくてはいけないのは、あまり共感を押し付けないことです。こちらのスクリプトは若干押し付け感がありますので、日本人向けにマイルドにしましょう。
ユーザーヒアリングの目的は、目の前の人をユーザーにするのではなく、適切なユーザーの現状を学習することです。

課題の優先順位の確認(5分)
では、次の課題を困っている順に並べて頂けますでしょうか?
・以前よりも動画や写真を撮る機会が増えた
・写真や動画の共有は面倒だ
・自由な時間が少なくなった

ビジネスプランを考えるにあたり、いくつか課題の仮説として重要なものが想定で来ていると思います。これらに優先順位をつけてもらうことで、自分が感じている課題と潜在ユーザーが感じている課題の細かい齟齬が見えるでしょう。


課題の検証(15分)
・現在はどのように写真や動画を共有されているのですか?
・実際の手順を教えて頂けますか?
・現在はどの製品を使っていますか?その製品をどこで知りましたか?

ここがヒアリングのメインの部分です。
あまり台本にこだわりすぎることなく、対象の会話の中から気になった部分を重点的に掘り下げましょう。


お願い(2分)
冒頭でも申しましたように、現在我々が開発しているのは、親御さんたちが動画をオンラインで簡単に共有できるような製品です。
本日お話したことを踏まえた上で、我々の製品が完成したら使ってみたいと思われますか?
また、引き続きあなたのような方にインタビューをさせて頂きたいと考えています。どなたかお子さんのいる方をご紹介頂けますか?
ありがとうございます。インタビューは以上となります。本日はお忙しいところお時間を頂戴し誠にありがとうございました。引き続き宜しくお願い致します。

おわりに

いかがでしたでしょうか?
こちらは飽くまで一例ですので、ご自身の開発したいサービスに応じてスクリプトは細かく調整して頂ければと思います。
インタビューのコツは、検証したい仮説を明確にしてから望むということと、仮説の検証にとらわれ過ぎず、見えていない課題を見つけ出すことにも注意を払うという点です。

また、最近だとグーグルフォームでのインタビューも流行っていますが、こちらはより広い人に簡単な質問をするために用い、対面でのインタビューはより絞られたターゲットセグメントへの理解を深める目的で使うのが望ましいと思います。

何か、ご質問・フィードバックがありましたら、是非@curry_investorまで!

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