『ギャロップ』 〜フランス映画(MyFrenchFilmFestival)長編19番勝負 9/19〜

うわーむちゃくちゃいい映画·····(ため息)自由でまっすぐな若者の、なかなか一筋縄ではいかない大人の、老いと死を見つめる老人の、三世代に渡る愛の形が並列に物語られ、それらが反射し合いながら交わっていくことで、苦味と酸味に溢れ、しかしいつしか甘くなる人生の不思議が香り立つ。
72本目にしてやっと来ました、フランス映画と聞いて誰もが真っ先に思い浮かべるタイプの恋愛もの、皮肉屋の小説家とアンニュイな女性編集者の大人のラブストーリー!ここまでずっと小汚く貧相でみっともないフランス人の姿ばかり見せられてきたんで(どちらかと言うとこちらの方が真実に近く、日本公開されるような作品に偏りがある、ということなのでしょうが)、逆に違和感を拭えないものの(笑)やっぱりこういう静かで繊細なフィルムも、フランス映画の魅力のひとつなんですよねえ。
正直言うと最初は、すんごくしっかりしてるし悪いところはひとつもないんだけど、特に光る部分もないなーなんて油断しながら見てたんですよ、アホでした、どうにも辛抱たまらず靴やら鞄やら階段に巻き散らしながらフロアを上がりおっ始めるも足音を聞きつけキキッと停止、足音が遠ざかるやすぐさま再開する主人公二人のいたずらなセックスシーンを皮切りに、それまで巧妙に配置されていた(あまりの巧妙さに気付かなかった)要素たちが、後半、嘘みたいに感動的に繋がってくんです!極めつけがあの美しすぎる黒馬のイメージですから、もう降参するしかないですね、降参、抱擁シーンにGonzalesのソロピアノを当てるセンス(普通はサティとかドビュッシーとか流しちゃいますよねえ)に至っては降四、おすすめです。


追加メモ:
ギャロップ、駆け足、三世代全員が経験するつまずき、踏み外し、人生の予期せぬ部分、娘のボーイフレンドの落馬、黒い馬の猛りを止められない、振り落とされるがそれもまたよし。

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