『ソヴァージュ』 〜フランス映画(MyFrenchFilmFestival)長編19番勝負 4/19〜

街娼をしてかろうじて露命を繫ぐ22歳の青年レオは、荒廃した暮らしの中で本物の愛を手に入れたいと願う。
男性器がノーモザイクで映されるゴリゴリにハードコアなホモ映画ながら、唐突に美しいシーンの連続に虚をつかれるーー老人が妻の思い出を語る場面で化粧台がぼんやりズームイン、男性器の象徴である飛行機が丘に座る男娼二人の眼前スレスレを上昇、喘息用の吸入器をマリファナさながらに回し呑みーー極めつけは、行き倒れた主人公が夢見るマッチ売りの少女のような火の幻想。
フランス語で“野生”を意味する『Sauvage』をタイトルに掲げる通り、生々しい性と暴力の現場を仮借なく捉えた本作は、日常的に裸を売る孤独な青年が、ついには裸すらも脱ぎ捨て(美術の世界では、自然のままの無防備な裸体を“naked”、装われた人工的な裸体、いわば裸を着ている状態を“nude”と呼び分ける)、よりいっそう見放された、未開の生命へと還っていく。

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