『ぼくが数学を嫌いな理由』 〜フランス映画(MyFrenchFilmFestival)長編19番勝負 6/19〜

数学なんて何の役に立つの?意味ないじゃ〜んという軽口とともに蔓延する“数学ぎらい”を身近な出発点に、いかにして数学が歴史を動かし、経済原理や金融モデルを支配するまでに至ったかを明らかにする射程の長いドキュメンタリー。
前半では、数学に対するパブリック・イメージや教育を巡る課題、現役数学者たちの研究内容や美的なこだわりといったポジティブな側面が取り上げられ、後半は、アルゴリズムを応用したGoogleの検索システムやサブプライム・ローン問題、数学者から億万長者に成り上がったジェームズ・シモンズやギリシャを襲った金融危機などのトピックから、社会システム構築に数学が利用されることの危うさが炙り出されていく。
作中では軽く触れられる程度だが、現在のパソコンの原型が数学者バベッジが開発した弾道計算機である一事から推しても、効率や拝金をばかり重視する姿勢は、すべてが無味乾燥な数字の海に沈んでしまう危険と隣り合わせなのだ。

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