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新しい価値の普及はリスクを恐れないイノベーターから始まる

マーケティングに対する定義は様々ですが、「マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである。」とは、マネジメントのピーター・F・ドラッカー氏の言葉です。
つまり、売れる仕組みをつくることがマーケティングの役割ともいえます。

そのためにも、様々な理論による分析も必要となります。
新しい製品やサービスを市場に投入してから普及(100%)するまでの時間(タイムライン)において消費者をタイプ別に分類するイノベーター理論があります。

1.イノベーター 2.5%
イノベーター(Innovators)とは、革新者とも呼ばれる通り、トレンドに非常に敏感で、その新しい製品やサービスが実用的であるかに関わらず多少のリスクも顧みず購入する消費者層を指します。
そのため多くの人がその製品の良さに共感するとは限りません。
これらの消費者層は、普及率2.5%とされています。

2.アーリーアダプター 13.5%
アーリーアダプター(Early Adopters)とは、本格的な初期採用の消費者層です。
トレンドに敏感で常に新しい情報を収集行い、その製品やサービスが提供する新しいベネフィットに着目して論理的に購入を判断します。
ベネフィットとは、製品を利用することで得られる有形、無形の価値です。
ある意味、アーリーアダプターに支持されて初めて市場に受け入れられたとも言えます。
新しい製品やサービスが普及する上で、他の消費者層への影響力が強いことからオピニオンリーダーとも呼ばれ、普及率13.5%とされています。

3.アーリーマジョリティ 34.0%
アーリーマジョリティ(Early Majority)とは、製品やサービスを購入する上で比較的慎重派な消費者層です。
しかし、慎重と言いながらも、「アーリーアダプター」の動向を見ながら平均よりは早めに購入する傾向にあります。
ブリッジピープルあるいは、前期追随層とも呼ばれ、普及率34.0%とされています。

4.レイトマジョリティ 34.0%
レイトマジョリティ(Late Majority)は、新しい製品やサービスに対して比較的懐疑的だったり、購入に際して慎重な消費者層です。
それだけに周囲の大多数が試している場面を見てから同じ選択をする傾向があるためフォロワーズあるいは、後期追随層とも呼ばれ、普及率34.0%とされています。

5.ラガード 16.0%
ラガード(Laggards)は、世の中や他人の動向に関心が薄く、トレンドに左右され難い最も保守的な消費者層です。
そのため遅滞者と言われたり、いわゆる文化レベルになるまで購入しませんので伝統主義者とも言われ普及率16.0%とされています。

ここに1人のイノベーターから起こったユニークなムーブメント(movement)の動画をご紹介します。

イノベーター理論の中で、イノベーターとアーリーアダプターの消費者層に注目したのが、普及率16の理論です。
この僅か普及率16%の存在が、普及率の大きなアーリーマジョリティやレイトマジョリティへつながるか否かを左右します。
そのため新しい製品やサービスを普及させるためのセオリーとして、最も大きな影響力を持つ消費者層であるイノベーターとアーリーアダプターに普及させることを重要視した考えです。

対して、キャズム理論という考え方があります。
これは、仮に初期市場であるイノベーターとアーリーアダプターに普及したとしても、メインストリーム市場であるアーリーマジョリティ以降に普及させるには大きな溝(キャズム)があると言うものです。
その理由は、アーリーアダプターとアーリーマジョリティとでは、あまりに考え方と行動が正反対であるからです。

まず、アーリーアダプターは、より早く、新しい価値に着目し、その価値を、より早く、自分のものにすることによって、そのベネフィットを他の消費者層に伝えます。
最先端の価値を誰よりも早く手に入れるためには、多少のリスクを負ってでも購入します。

対して、アーリーマジョリティは、リスクを嫌い、費用対効果を最重視します。
最先端とはいえ未熟な価値を手に入れるための試行錯誤は可能な限り避けようとする傾向があります。
そのため、先行して購入した消費者たちの動向を窺ってからでなければ購入しようとしません。

つまり、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間には、リスクを受け入れるか、受け入れないかの深い溝(キャズム)があるのだとしたのがキャズム理論です。

キャズム理論では、安易にアーリーアダプターのオピニオンリーダーとしての役割にのみ期待するリスクがあるとしています。
その意味でも、アーリーマジョリティーに焦点を絞ったターゲティングやホールプロダクトと呼ばれる付随製品やサービスを用意することが有効だとしています。

以上、イノベーター理論は、あくまでも従来からの傾向です。
実際、この理論は既に古いとか、普及率が変わって来ているなどの意見も少なくありません。
あくまでも、マーケティング戦略を策定する際には、ターゲット市場によって消費者層の傾向に違いがある可能性があることを普及率16%の理論やキャズム理論などと合わせて参考にすると良いかと思います。

但し、断言できるとは、どんな製品やサービスでも、その価値に、いち早く手を出してくれる存在であるイノベーターがいることで価値の普及は始まると言うことです。

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