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日本最大の日曜朝市を訪問してきた

300店舗3万人が集まるとてつもない朝市があると聞いて、すぐにスケジュールを空けて飛んできた。それは八戸の館鼻岸壁朝市という。毎週日曜日のなんと朝3時から開催されるこのメガトン級の朝市は、八戸が育んできた朝市カルチャーが生んだ世界に誇るコンテンツとも言える。

古くから漁港として栄えた八戸。その歴史は古く「鮫浦」と呼ばれた八戸藩登場の歴史の17世紀後半まで遡る。江戸への物資の輸送にも栄えた主要港だ。今でもイカの水揚げ高はおよそ3割がこの八戸港にあがる。灰色の空に優雅に滑空する海鴎が似合う港だ。

今回はお世話になった陸奥八仙男山で知られる八戸酒造の専務こと駒井秀介さんに話を伺った。

「もともと八戸には朝市文化というものが古くからあって、背負い籠、かっぽう着姿のイサバのカッチャが魚や野菜などを売り出したのが始まりなんです」

古くから歴史がある陸奥湊駅前朝市と、岸壁に日曜開催される冒頭の館鼻の朝市。実は館鼻の巨大朝市は歴史が浅く2003年がスタートとのこと。ここまで大きくなったのはこの10年ぐらいじゃないかということだった。

イサバとは「五十集」と本来書く。調べてみると、「 江戸時代、魚市場、魚商人のほか、漁場、漁船、水産加工業者にも共通して用いた語。江戸の中期以降は主として魚問屋、魚の仲買人をさすようになった。」近年では、市場のことを指すらしい。カッチャというのは言葉の響き通り、お母さんのことだ。転じて、市場で働くパワフルな女性のことを指している。

今回訪問した朝市でもこのカッチャたちが元気に仕事をしている。早起きして港の香りをかぎながら、市場の喧騒の中で一人悦に入っていたのだが、八戸の経済の大動脈を支えていたこのカッチャたちの仕事ぶりをみて、朝から素晴らしいエネルギーを頂いた。世界のどの朝市と同じく、新しく生まれたローカルグルメのお店やコーヒーショップも並ぶ。この市場で有名になった行列が絶えない塩手羽屋も元気一杯だ。

八戸名物の南部煎餅で作るせんべい汁をカッチャからいただきながら、「いつもは外人が溢れていて、北海道からフェリーも来るぐらいゴッタ返している」と、そう次の客の汁を注ぎながら中腰で僕に教えてくれた。人が往来するところで相対のビジネスが起き、そこにコミュニティが生まれる。きっとそれは港が生まれたタイミングからずっと変わらずにこの土地が果たしてきた役割なのだろう。あなたもぜひいつか八戸の市場文化を味わって欲しい。

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