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ベジタリアンについてどう思いますか?に感じる

とある対談に参加していたところ、ヴィーガン、ベジタリアン、アニマルウェルフェアについてどう思うかという質問を受けた。この手の意識高い系の集まりではどういうわけか必ず受ける質問だ。別に悪意はないと思うのだ、将来的にあなたの業界は大変なんじゃないの?的なニュアンスが必ず含まれている。ファッションでヴィーガンというかベジタリアンになる人もそれはそれでいいと思っているし、食というのは自らの意思で選ぶものだと思っているからだ。厄介なのはファッションを他人に押し付けることだ。その人なりの倫理観だったり正義感なりを一方的に振りかざされてもこちらとしては困る。「え?パンツはデニムでしょ?」とか言われたことが日常生活でないのと同じく、衣食住はみんなが自由にすればいいと思う。

僕は野菜が大好きだ、肉だって、野菜だって、なんだって食べる。僕が親から受けた食育とは、どの国の料理もリスペクトして食べるというものだった。この教育のおかげで、色々な国に独自の食事というものがあり、それが文化の根源だったり、その土地土地の気候風土というものから出来上がっていることを学んだ。だからベジタリアン、ペスカトリアンであったとしても、その人の個性としてリスペクトする基本的な姿勢を持っている。それも幼少期からの食育からナチュラルに授かった賜物だと思って、感謝している。

不思議なことに僕のレストランでは、なぜかベジタリアンが多く来る。時々、ヴィーガンもやってきて、目の前にある肉塊を教育上悪いから隠して欲しいと言われたこともある。大変ではあるが、それからベジタリアンメニューをアドリブで構成しながら同じテンションで必死に出していく。とある男性、途中からしきりに僕の肩を叩き出して、こう叫ぶ。「ちょっと聞いてくれ、俺は今日35年間の自分のルールを終えて、今日お前の肉を食べることにした。」と高らかに宣言する、僕が頼んだわけでもなく、周りがそうさせたわけでもない。そしてアイルランド人の彼は、パクっとカツサンドを頬張るのだ。そんな彼と久しぶりに会うと、あれから時々肉を食べるようになったよ、あのときのおまえの食事がきっかけだよと大笑いする。

それぐらいが実にちょうどいいんじゃないかなーと僕は思うのだった。


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