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料理人がフロントマンになれるかどうか

赤坂の料亭でみっちり10年学んだ子が照寿司東京の応募でやって来た。ちょうど一年前のことだ。そこから戸畑に渡り、しっかりと頭角を現す存在に成長する。今回のセッションからはフロントマンの一人としてゲストとの接点も増えている。「なんで料亭から寿司屋?」とのゲストの問いかけにも「将来性を考えて」の明確な一言。料亭時代、彼は裏方であった、いい技術は積めても一生裏方役に徹しないといけない。照寿司やWAGYUMAFIAではその技術を活かしてフロントマンになれるチャンスがある。

人生においてフロントマンになるかどうかの話なんてどうでもいいのかも知れない。物心ついた頃から僕はフロントマンとしてリードする立場を担ってきた。風上にいるからこそ分かることがある。すべての人がフロントマンを目指すべきとは思わないが、人生一度切りだ。どうせだったらステージに立って、フロントマンを演じた方がいい。独立して小さな店を作って、フロントマンになったと思ったら、今度は集客と金策に追われて・・・という料理人を何人も見てきた。偉そうに聞こえるが勘違いしないで欲しいのが僕もWAGYUMAFIAを作ったときは、そんな感じだった。フードトラックに乗って、そして自転車で肉を運んでいたなんてみんな創造出来ないだろう。照寿司のなべちゃんも仕出しの握り800円を軽自動で配達していた。誰もがそんなスタートだ。ただしそこから抜け出せるかどうかがすべてだ。

そこからアホみたいな努力を積み重ねてきて今がある。今WAGYUMAFIAや照寿司に入ればこの10年間をスキップしていきなりデビューすることが出来るということだ。ある程度のスキルを積んで、これから世界デビューしたい料理人たちのためのプラットフォームを僕らは作ってきた。実力があればフロントマンになれるだろう、そこで世界レベルの強烈な洗礼を浴びたらいい。いきなりドームコンサートで5万人の前でMCをするみたいなそんなセンセーショナルな体験だ。退屈な裏方作業に飽きている人、ラインシェフでの仕事はもういいやと思っている人、人前で握りたい人、セレブリティーに自分の焼いた肉を出したい人・・・。もっと多くの未来の才能に出会いたい。



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