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誰もが失敗すると言ったバーガー屋

僕の中では必然だったハンバーガー。またコロナのど真ん中で開けて、誰もがこりゃコケたなと予測したはずだろう。コロナが開けてから、蓋をあけたら連日超満員の状態だ。人間とは浅はかなもので、もっとキッチンを小さくして客席を増やせばよかったと思ったりと、当時の状況では考えられない賑わいが続いている。この店を設計するときに考えたのは、サンドを副産物として頼むというオーダーの図式だった。要はバーガーが主役で、僕らの主力シグネチャーのサンドをサブに持ってきたということだった。もちろん当初は全く見向きもされなかったが、3年間のアイドリングは僕らに十二分の考える時間を与えてくれた。その間に徹底的に磨いて生まれ変わったバーガーたち。

基本的なレシピは変えない。ただパティを一切作り置きしないなど、手間暇と美味しさを直感的に感じられるようなマイナーチューニングを繰り返した。メキシコからのゲストは、もう4度目だよと笑う。スイスのゲストは旅の最後に、どうしても息子が立ち寄りたかったんだ、だから来たよと笑顔だ。バーガーだからこそ優雅な気分になれる。そんな頭の中で描いた未来の日常が、目前に広がっていると思うと感無量だ。

大好きな本屋シェルフのある僕らの路地はみんなが仲良しだ。みんなが挨拶して、昔ながらの街のあの感覚を維持している。30メートル足らずのちょっとした脇道だけど、そこに集まってくる世界各国からの旅人がこの道で、WAGYUMAFIAもそうだが、キラー通りらしい文化を感じるそんな雰囲気に浸ってもらえたらと思うのだった。そういえばこの店とこの脇道でしか、CHATEAUBRIANDの写真は撮っていないなぁっと思った。思いは届くもので、長く産みの苦しみを味わっていた新しいアパレルもようやく1年という期間をかけてようやくファーストコレクションが届いたとの連絡が入った。このコレクションも明日からこのバーガー屋に並ぶのだ。


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