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作り手と使い手が出会うことで生まれる感動 美濃焼、多治見を訪ねて

AFURIさんとのコラボを翌週に控えている。この企画が決まった7月に、中村さんより丼もオリジナルで作りませんか?と提案をいただき、調べてみると、僕らの窯元もAFURIさんの窯元と近いことが判明。こういう時はなぜか奇跡の連鎖反応が起きる。人生はだから面白い。そして僕らは作ると決めたらすぐに多治見へと足を運んだ。

安土桃山時代に一番栄えたと言われる美濃焼き、美しい山と渓流に囲まれた土岐市駄知へ。丼の聖地である。訪れた中村さんはお世話になっている窯元さんに丁寧にその工程を見せていただく。全てが手作業だ、生地は生の状態で手書きしていく、素焼きの状態だと水分を吸収して筆が馴染まないという。そこから釉薬を塗り、1300度の窯で2日間。300度未満になったら取り出して自然冷却をかける。

棚に置かれていた無数の丼の中で、AFURIの最初の丼が出てきた。色も鮮やかで、今とは形状が異なっている。ここから数度にわたって改良を重ねて…と久しぶりに我が子を見るように嬉しそうな表情になる中村さん。細部に神は宿る、AFURIの成功は誰もがどうでもいいと思っていることに熱意を注ぐトップがいる、こんな瞬間によく分かる。

そこから僕らがお世話になっている窯元さんと、絵柄を焼き付けてくれている工場を訪問する。ここからサウジアラビア、香港へと飛び立っている。そんな写真を見せると、熟練工の女性が「へぇー」と眼を丸くする。僕も生産の現場を見られて、心が優しくなる。素焼きの器に銅板転写をしていく作業を見せてもらう。「簡単そうに見えるけど、なかなか難しいんです」今日の一連のコーディネートをしてくださっている日比野さんがそう教えてくれる。「相当難しいのよ」と担当している女性も教えてくれる。

河童橋で並んでいて何度も見ていた図柄だ。まさかこんな手作業が入っているとは思いもしなかった。モジュール化している僕らの店舗づくり、小さなうちは作家さんの器で対応できるが、店舗数とサイズが大きくなると対応がまず出来なくなる。ある程度のロットで対応できるのが美濃焼きだった。恥ずかしながらまだこの地を訪れたことがなかった。今回訪問して、もっと早めにこの地に来るべきだったと強く感じたのだった。阿夫利山の緑を出すのに、何度も緑の色をテストしてくれた絵付けの方々、食べ手にとっては関係のないことなのかも知れない小さなことなのだが、中村さんを含めて初めて完成した丼をみて思わず唸り声をあげた。作り手と使い手が出会い、笑顔になった瞬間だった。

来週23日水曜日よりAFURI X MASHI NO MASHI コラボスタート、どうぞお見逃しなく!

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