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#03 学びには変化球が必要

ド直球に英会話教室的なコンテンツを使うな。
ひとひねりしたコンテンツの使い方を考えよう。

 前回、英語学習についてふれましたので、今回はYouTube先生で外国語を学ぶヒントについてお話します。

ヴァーチャル留学のすすめ

 コロナ禍で実際に海外の大学に行くことは難しいですが、ヴァーチャル留学なら可能です。英語圏に留学しようとする人の多くは、英会話学校に通ったり英会話教室的なコンテンツを利用したりするでしょう。しかし、現地で授業についていくことを考えれば、公開されている授業コンテンツを活用するのが現実的です。とりわけ、自分がめざす分野の初級コースを視聴することをおすすめします。
 たとえば、社会学を学びたい人ならば、"introduction to sociology"あるいは"what is sociology"などというキーワードを入れれば、初級コースのコンテンツがヒットするはずです(いわば「intro検索」と「what検索」です)。さらに、特定の大学に絞り込みたいならば、大学名を検索語に追加すればよいでしょう。
 重要なのは、ここからです。ひとつの初級コースのコンテンツを視聴したあとで、類似の別の教授のコンテンツも視聴したほうがよいでしょう。というのも、しゃべりかたには、それぞれの特徴があるからです。私たちのあいだでも、さまざまな日本語のアクセントや方言、しゃべりかたのクセがあるように、教授がみんな英会話教材の音声のように、わかりやすくしゃべってくれるわけではありません。ですから、さまざまなタイプの英語に耳を慣らしておく必要があります。標準的でゆるぎない発音・アクセント・しゃべり方がある、などと考えるのは幻想です。このことは、どの外国語にも共通することです。
 また、よくいわれていることですが、自動字幕の活用や再生速度をかえることも効果的です。最初は1.75倍の速度で再生し、次に1.5→1.25→標準と速度を遅くしていけば、リスニング能力が向上したような、小さな達成感を味わえます。

YouTube先生の数珠つなぎ

 学びのヒントは、まだまだあります。初級コンテンツで耳慣らしをしたら、次は具体的な部分に着目しましょう。
 そこで役に立つのが、youglish.comという素晴らしい無料サイトです。
具体的な使い方については、下の動画をご参照ください。

 このサイトの素晴らしいところは、知りたい単語を含む複数の動画をYouTubeから探してきて、その部分を表示してくれることです。しかも、英語だけではなく、アラビア語、中国語、オランダ語、フランス語、ドイツ語、ギリシャ語、ヘブライ語、イタリア語、日本語、韓国語、ポーランド語、ポルトガル語、スペイン語、トルコ語、そして手話にも対応しています。このサイトには、YouTubeを使って発音をよくしよう、と書いていますが、発音のためだけにこのサイトを活用するのはもったいないです。
 たとえば、知りたい単語が登場する動画の文章、あるいは前後関係をあわせて視聴することで、その単語のさまざまな使われ方が理解できます。つまり、単語をコンテクスト(文脈)のなかで理解するということです。そうすることで、状況にあわせた適切な単語の選び方がわかります。

音楽のように外国語を聴く

 最後に、外国語の発音についてふれておきます。仕事上、さまざまな外国語を学びましたが(といっても使い物になったと自慢できるものはありません)、ひとつ気づいたことは、それぞれの言語に独特の音とリズムをつかむことが大切だということです。音楽家に外国語の達者な人が多いのは、単純に留学経験だけではなく、音とリズムを聞き分ける能力の高さによるものでしょう。ですから、単語の意味や文法を気にせず、まずは外国語を音楽のように聴き、ハミングで言葉をなぞるように、音とリズムの特徴を把握することが重要です。
 しかし、ここで日本人にとってひとつの壁が立ちはだかります。それは、「子音」の発音です。日本語は「母音」(あ・い・う・え・お)で終わるので、多くの外国語にみられる「子音」で終わる感覚が、日本人にはわかりにくい傾向があります。また、外国語の発音をカタカナで表記して学習する人が多いので、なおさら本来の発音が把握しにくくなります。
 たとえば、日本でもおなじみになった「韓国海苔巻き」を例にとってみましょう。日本では「キンパ」と表記され、多くの人が口を開けた状態の破裂音「パ」で終わる発音をします。

 しかし、原語は「김밥」で、あえてカタカナ表記すれば「キムパプ」(あるいは「キムバプ」)であり、「パ」(あるいは「バ」)のあとの「プ」は、ほとんど聞こえないような音ですが、省略するわけにはいきません。どうしてもカタカナ表記したいのであれば、小さな「プ」という文字を「パ」(あるいは「バ」)のあとに添えればよいでしょう。ちなみに「밥」は「ご飯」の意味で、日本で「ビビンバ」(비빔밥)と表記されているものも、最後に同じ「밥」がついていて、発音の原理も同じです。詳しくお知りになりたい方は、youglish.comの韓国語版サイトで、検索窓に「김밥」という文字をコピー&ペーストして、発音を確認してください。
 いずれにしても重要なのは、外国語の文字と発音に素直に向きあって、音楽を聴くように、その言語に特有の音とリズムを体感することです。
                              (続く)



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