見出し画像

ウラジオストク旅行記 ~鷹巣展望台

※この記事は2018年7月の旅行を振り返っています。

ウラジオストクのNo.1観光地というと鷹巣展望台だ。高台に登ると金角湾にかかる大橋のキレイなカーブが望める。橋を支えるロープの線状が羽のように美しくのびている様は、横浜のつばさ橋を思い出させる。
ネットでウラジオストクと検索すると、だいたいこの大橋か、もしくはウラジオストク駅の写真が出てくる。

湾の向こうにはマリインスキー劇場というバレエやオペラを楽しめる施設があって、数千円からとかなりリーズナブルに本格的な観劇を楽しめる。マリインスキー劇場でも色々なエピソードがあるのだけど、ここは冬に訪れたので詳しくは冬のウラジオストク旅行記でご紹介したいと思う。

*****
さて、この鷹巣展望台にはキリル文字(ロシア語の独特なアルファベット)を作ったとされるキリル兄弟の銅像が立っている。

だからと言って、個人的にはこの兄弟にもキリル文字にも特別な思い入れはない。はー、とか、ふーん、とか言いながら30秒程なめまわしたらお腹いっぱいになった。
ふと、子供の頃に親に「あんたは旅行に連れていきがいがない。」と言われたことを思い出した。

*****

飽きてきたころに、下の方からカーンという甲高い金属音が響いた。
のぞいてみると展望台の一角でおじさんがひとり鷹巣展望台の記念コインを作っていた。東京タワーやスカイツリーに登ると記念メダルを作る長方形のマシン?があるが、あれの手動版だ。
周りには中国人観光客がパラパラと集まっている。

観光客の子どもは記念コインに興味しんしんだ。
子どもがお父さんにコインがほしいとせがむと、お父さんは気前よくコイン屋のおじさんにコインをひとつオーダーした。

おじさんは何も刻印されていないつるつるのコインをひとつ取り出して子どもに見せた。
それを木の切り株みたいな土台についた型にぴったり置いて上からハンマーで力強く叩く。

カーン、カーン、と甲高い金属音が展望台中に響き渡った。おじさんのムキムキの腕によってつるつるだったコインにあっという間に刻印が刻まれた。

*****

そんなやり取りを見ている間に気温はじりじりと上がっていく。汗がつぎからつぎへと吹き出して綿のTシャツが次第にびっしょりと重くなっていくのを感じた。展望台から見る金角湾はあまりにも強い太陽光に照らされてまぶしすぎる。サングラス無しでは目もあけられない。

展望台の下では、またひとり中国人の親子が記念コインを注文している。
わたしは早々に展望台を後にした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?