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手術支援ロボット(ダビンチ)体験記~肺がん左上葉切除手術

私にとって生まれて初めての手術が、手術支援ロボット(ダビンチ)による高度な手術となった。滅多にない体験をしたので、その様子を紹介したいと思う。

しかしながら、全身麻酔のため、すぐに意識がなくなり、「気がついて起きたら、終わっていた」ので、その間の様子が自分ではよく分からない。主治医の先生に聞いた話を中心に紹介する。


人の手で執刀するのではなく、手術台から2メートルぐらい少し離れた所に手術のロボットアームを操作する台があった。ロボットのカメラ(3D)を見ながら両手を使って操作をするとロボットのアームが正確に動いて手術が進むそうだ。

思ったり離れていてびっくり。インターネットを活用すれば遠隔でも可能だそう。そういえば、以前TV番組「ドクターX」で、日本とアメリカを結んでの手術支援ロボットを使った手術が行われ、ドラマなので失敗して、大門未知子がその場で助けるといったストーリーを思い出した。

この場には、大門未知子(ドクターX)はいないが、ドクターY(加瀬秀樹ではなく、私が勝手に名付けた執刀医のY教授のこと)がいる!

手術台は思ったより狭い。左の肺の手術だったので、左側を上にして半身で横たわる。腕は頭の上に伸ばしたまま。体は固定されたままで手術が進むようだ。助手の外科の医師が2名付いて、手術が始まる。

酸素マスクをして、「眠くなりますよ。」の声が聞こえて、もう意識はなくなる。・・・


昔の人間の手による開胸手術に比べ、傷が本当に少ない。私の場合には1センチの傷が4カ所。切除した肺を取り出すために3センチのやや大きな傷が1つあるだけ。

内視鏡による手術の場合もあるようだが、ダビンチの場合は更にロボットアームの関節や複雑な動きが可能のようだ。小さな傷(穴)から入って、中で複雑な動きが正確にできるというよさがある。

傷が少しでよいので、患者の負担が少なく、入院日数も少なくなるそうだ。

ただし、ダビンチは外国製で値段が高い。ロボットを操作するには資格が必要で、限られた医師しかできないそうだ。手術支援ロボットが医学界に導入されたときに、資格を取った医師は多かったようだが、この資格の更新には手術での機器使用の経験や中央での研修が必要。コロナ禍で、こうした手術経験が減り、中央研修もこの2年間実施されない状況。つまり、機器は増えても、操作できる医師の数が増えていかないそうだ。
主治医の先生と仲良くなって、こんな情報も教えてもらった。


私の場合は、運良く9月から操作できる医師チームがこの大学病院へ転勤してきたので、県内で始まったばかりのダビンチ手術を受けることができた。
タイミングがよかったのである。

今回の私の肺のガンの手術は2段階。まず、肺がんの部分を切り取って、病理検査。確認をしてから、肺の左上葉を全部摘出する予定だった。肺にある複数のリンパ節を処理するのにもロボットが活躍。正確できめ細かな作業が必要なため、ロボット手術にも保険適用されるようになったそうだ。(2018年4月から)

手術自体は4,5時間掛かったようだ。手術前の準備、全身麻酔で1時間。麻酔が覚めて確認、整理で1時間ぐらい。午前9時過ぎに手術室に入り、午後4時頃手術室を出たようだ。

午後5時30分  目が覚めて、「終わりましたよ。」の声。 気づいたらHCU(High Care Unit「高度治療室」というそうだ)の中だった。

HCUの部屋は…メガネがなくてよく見えない。左右に機械がいっぱい。ベットも四方が囲まれている。体の左右はクッションで固定されていて、身動きがとれない。

両手に点滴の針・チューブがついてる。肺の下からもチューブ(ドレーン)が出ていていた。酸素マスクも付けられている。

おしっこの管(尿道から)も付いていたが、気づくのに時間が掛かった。チューブが入っていて自然に出てるようだ。

意識はあるが、熱い。酸素マスクで喉が乾く。途中から鼻からのマスクに。
体の左胸が痛い。3時間おきに体の向きを変えられる。2人組でヨイショと動かしてもらう。褥瘡(床ずれ)防止のためらしい。

ナースコールのボタンと痛み止めのボタン。痛み止めのボタンの意味がよく分からず、がまんしていた。このボタンは、押すと点滴から「痛み止め」の薬が出る仕組になっていることを後から理解した。(一度にたくさんは出ないようになっている)

もっと押せばよかった!我慢強い人間を演じてしまった私。


部屋では、唸り声と看護師さんの対応する声がする。私以外におじいさんが入っているようだ。HCUは個室のようだが、4つのベッドがつながっていて、看護師さんが行き来しているみたい。

周りの状況がつかめず、体が自由に動かせず、手術後の痛みがあってじっくり眠ることもできず、不安な時間を過ごした。

でも、うとうとしながら朝を迎えたようだ。

「手術の翌朝から、元気だったら、食事ができますよ。」と手術前に言われていた。でも、(点滴か流動食でしょ)と思っていた…。

朝ご飯の時間。1日絶食でお腹は空いているはずだが…あまり食欲はないけど…。でも、見たら食べたくなって、完食!特別食ではなく、がっつりご飯たっぷりの一般食だった。

朝食後は、HCUを出て、一般病棟に移動することになった。着替えをして、車椅子に乗って、7階の個室に移動した。

点滴の針・チューブと尿道のチューブも外してもらい、肺からから出ているチューブと液を貯める容器(胸腔ドレーン)だけになった。これが点滴台に付いていて、しばらく移動するときのお供になった。

そして、主治医の先生と医学生2名とで、リハビリ(病棟の廊下の散歩)が始まった。体力が落ちでしまうと取り戻すのに時間が掛かるので、術後すぐに運動した方がよいという考えのようだ。

血中酸素計を指先に付けて、病棟を歩き出す。少し動くと息が苦しくなる。酸素計が93以下なるとブザーが鳴って、ストップ。これを繰り返して、病棟を半周ぐらいした。

手術後の痛みとしては、傷口がやや痛む。胸腔ドレーンの部分が動くと痛みがする。また、その部分に肋間神経(肋骨に沿ってはしる神経)の影響からか、我慢できる程度だが、少しジクジクした痛みが続く。

手術の翌日から、食事と運動(リハビリ)。昔とは違って、これが最近の治療プラン。しっかり食べて、運動しようと決意した。

術後の経過は以下のとおり

・私の場合は、土日を挟んで、手術後4日目の朝に、胸腔ドレーンのチューブが外れ、移動のお供の点滴台がなくなった。

・5日目からシャワーがOKになり、随分楽になった。

・入院11日目(12月25日のクリスマスの日)の朝、無事退院した。

・病理検査の結果、私の肺がんは「肺腺がん」(上皮内がん)で、大きさは15ミリ。リンパ節への転移はなく、広がる前のステージ0の判定。

・肺は少し小さくなったが、日常生活に特に支障はない。左の肺の上部分を取り除いてできた空洞部分は、下部分(左下葉)が上がってきて、横隔膜や内臓部分もつられて少し上に上がっているが、レントゲンで見ても大きな変化が見られない。

※人間ドッグの「早期発見」で、私はラッキーだった!おまけに、「手術支援ロボット」の体験までできて、幸せだった。(と思うことにした。)


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