俺の嫁Nightの話

和歌山サブカル/おたくイベント界隈もそれ相応に成熟して

現在は新旧入り乱れ、という様相であるが ふと、

その礎を作ったイベント・・・「俺の嫁Night」(以下俺嫁)について

キーボードを叩きたくなった。のでお付き合い頂きたい。

おたくの湿気で壁のポスターが剥がれる!

客が多すぎて会場酸欠状態→ライターがつかない!

などの都市伝説じみた逸話も残るイベント、断片をつなぎ思い出す。


2010年12月

この年の瀬に、スタートしたイベント。

当時はまだ「アニクラ」なんていう便利な言葉もなく

「アニソンDJイベント」という見出し。

まだまだ和歌山のおたくイベント自体黎明期であり

当然おたく系DJイベントは初。ということで

客もDJも、かなーーーり手探り感のある幕開けであった。

当時の自分はまだアニソンDJイベントはほとんど未経験で

大丈夫か?なんて思っていたが、想定外の盛り上がりに驚いたものである。

見よう見まねの「おたげい」は、なんとも楽しかった・・・

オールナイト形式で朝まで。和歌山に新しい灯がともった日。


俺嫁の特徴

言葉にしづらいが、「俺嫁」というジャンルのイベントだと考えている。

アニソンDJ、あるいはアニクラ・・・とも形容しがたい。

それは各DJが曲のジャンルを担当していることが一番大きい。

基本30分ずつ、あるジャンルの曲しかかからないため

時間帯を狙えば目当てのジャンルを堪能できる。

(30分ごとにハコの中で客が大移動するのは圧巻だった(笑))

画像1

たとえば、主催でありイベの顔でもある「お嬢」は「腐女子向けソング」

「電波」氏はなつかしアニソン。「SOMA」氏は特撮オンリー。

他、最新アニソン、ボカロ、東方、JPOPなど・・・

時代によって多少メニューの差はあれど、基本的にこの流れは変わらない。

昨今のおたく系DJイベントは、DJそれぞれが様々なジャンルを

まぜこぜで流すことが至極当然だが、それに比べると俺嫁というのは

「イベント全体」で広いジャンルを網羅していた。というところを、

他にあまり類をみない「俺嫁」というジャンルの所以だと捉えている。


見えない努力

「俺嫁」において、俺嫁DJ陣の努力は計り知れない。

事前に綿密な打ち合わせを重ねるのが流儀だったという。

その上でセトリ・タイムテーブルの構成などを考えるわけである。

ベテランだろうが人気DJだろうが、俺嫁というイベントそのものを

完成させるためには、「個」を殺している印象すらあった。

このイベントでDJに求められるのは、自分が強く輝くことではない。

俺嫁というイベントを盛り上げるためにすべてを捧げることである。

それは他者から強制されているものではなく、それぞれが、俺嫁のために。

この共通認識こそが「俺嫁ブランド」を確固たるものにしていたと思う。

その安心感があるからこそ、和歌山全域のみならず、

他県からもリピーターが足しげく通う「神イベ」となれたのであろう。


俺嫁がもたらしたもの

現在和歌山界隈におけるだいたいのイベントは

「俺嫁チルドレン」と呼んで差し支えないと感じる。

和歌山に「アニソンDJイベント」という種をまいたのはもちろん

コスプレイヤーがコスを披露する場として。

和歌山で産声をあげつつあった「オタ芸」の受け皿として。

和歌山における「踊ってみた」の下地。

などなど、2ヶ月に1回のビッグイベントとして、

和歌山界隈民の動きにリズムが刻まれたのは確かだろう。

何よりも、それぞれの目的で「集まれる場所」としての要素が大きかった。

それは最初から最後まで、変わっていなかった。

演者が「俺嫁のために」ならば、客も「俺嫁のために」であった。

互いが互いを高め合う形、イベントとして崇高な姿だと思う。

現在界隈イベントの殆どは、根底が「集まる場所」として機能している。

俺嫁が撒いた種は、様々な方向で芽吹き、実を結んでいる。


個人的な想い

ここまで書いてきて。俺嫁というイベントの功績をたたえることは

いくら行数を重ねても足りない。それを踏まえた上でのつぶやきが以下。

言いたくないことも含む。なので読みたい人だけ読んで頂きたい(笑


ここまで来て断るのもアレだが、自分は俺嫁崇拝者ではない。

ただの懐古主義者である。なので全部を肯定はしていない。

まず「個人的には」当たり外れの多いイベントだったと思う。

特に、中期以降~からそう思うことが顕著になってきた。

たとえば、俺嫁というイベントそのものは好きだが、

俺嫁特有の「ノリ」が好きだと思ったことは一度も無い。

現場が成熟してくれば多かれ少なかれ、身内ノリも

ある程度は発生してくるので仕方はないのだが、

あまりにも跋扈してくると、「うーん」と思うこともあった。

とにかく「呑んで騒げるイベント」という空気が支配的になった。

伴って、「見たくないもの」も、否応なしに見えてくるようになり・・・

筆者のようなステレオタイプおたくには居心地が悪く感じるときもあった。

「一度MAXで高まったら、低まる前に帰るべし」ということで、

日が変わる前に会場をあとにすることが基本の楽しみ方になった。

アニソンでもない流行りネタが毎回繰り出されて辟易することも多かった。

そもそもスタートして1時間もたつと客がパンパンに入って

一切動けなくなるのでもはや打てるイベントではない。

「アニソンDJイベント行ってみたいんです!」という者に、当初とは違って

手放しで俺嫁を紹介することをためらうようになったり(結局紹介する笑)

終期には、とにかく「和歌山界隈で一番すごいイベント」という

触れ込みのみが一人歩きしている感もあった。

(一晩で200人を集めるイベントが、凄くないわけがないんだが笑)

決定的だったのが、どこかのタイミングで「アニクラ」を宣言したこと。

アニクラの定義に関しては初心者なのでわからない。だが俺嫁は俺嫁だ。

そう考えてきた者にとっては、大きすぎる出来事に感じてしまった。


色々嫌事を書いてきたが、これらは時代、界隈のニーズが変わっただけ。

大多数のニーズに俺嫁が応えただけであるので誤解のないように。

どんなに低まろうが、2ヵ月後には行きたくなる中毒性は本物で(笑

しかし 「俺嫁は 自分の五感で 確かめて」。という自論は変わらない。

今となって、確かめる手段・・・定期的に流れてくる「復活」という噂。

過去を美化する老害にとっては、一度閉じたフタをあけるか否か。

愛憎半ばの感情も無くは無いが、そのときは「おかえり」と声をかけたい。

そして自分も、また「確かめに」、戦場へ向かうのかもしれない。


俺嫁豆知識(嫁知識)

嫁知識① 【最初は「GATE」ではなく】

最初期を知らない方はGATEでやっているイメージが強いだろうが

当初はRELAX(京橋 幸太郎の近く、GATEからも近いけれど)で開催。

広さはGATEの半分ほど・・・そこに50人も入ればギュウギュウなところに

100人は入ってたような・・・満員GATEもキツいがそれの比ではない・・・

嫁知識② 【イベント名の由来】

実は最初の数回において、「俺の嫁タイム」という特殊な時間があった。

これは、自分の推しキャラ(=嫁)に関連する曲を好きなようにかける、

まさにそのDJのための時間である。ここでは、前述した「個を殺す」のは

一旦脇にどけ、「俺の嫁」のために自由に時間を使い倒すことができる。

正直、わけがわからんとき多し(笑)しかしDJ本人はすごく楽しそうで

「あー、おたくが全力で香ばしい笑顔してるなあ」とほのぼのできる。

「復活回」があるなら、その折には是非この時間を設けて欲しい。

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