大学院で培った専門性を活かさない

何かを主張したいわけでも、共感されたいわけでもないが、自分のこれまでの生き方は一つのパターンではないかと思っているのになかなかそういう文章を見ないので、いつかまとめておきたいと思っていた。

主題を専門性に集中させるために、いくつかの事柄については割愛している。例えばその過程で知り合ったたくさんの人に対して感謝や反省を述べるべきだが、省略している。すいません。あと、いくつかのライブイベントは意思決定にとって重要だったがテーマがブレるので書いてない。

一流ではないけど、専門性はあったはず

大学と大学院では数学科にいて、数学、特に微分積分学を中心とした解析学を勉強して研究していた。途中でいくつかの単位を落としたり、いくつかの分野を諦めたりと決して優秀な学生ではなかったけど、勉強はそれなりに楽しんでいた。博士課程まで行って研究はうまくいかず人生が危うくなってきたので、留年した上でD4で出ていった。研究の適性は高くなかったかもしれないけど、それなりの時間を数式を読んで過ごしてきた。数学をして生計を立てることを本気で考えてた時期でもあった。そんなレベル。

キャリアは見つかったが、専門性は繋がらず

ソフトウェアエンジニアとして

博士課程での留年が濃厚になってきた頃に、新卒で入れる会社を探して就職した(2018年入社)。当時は景気が良かったので思ったよりすんなり行った。博士出てたけど研究開発っぽい部署ではなくサービスのソフトウェアエンジニアに配属された。数学で身を立てる自信はなかったし結果的にデータエンジニアになったので満足はしてる(そういう希望を出していたような気もする)。一年ちょっといただけなので簡単なことしかやってないし、バッチクエリや調査クエリを分析用データベースに投げる日々だったので数学をやる余地はなかった。それでも巨大規模なサービスの運用に携わったし、会社もネームバリューがあるところだったので、これが後々フリーランスになった時にすごく活きた。あとSQL書くのがめっちゃ速くなった。

転職活動してみたらいい感じのオファーがあったので2社目はスタートアップに転職した。数学できてコードが書けるという評価を頂いたのだと思う。これは過大評価だったのでそのギャップに苦しむことになるが、データサイエンティストとして優秀な同僚と働けたのが良かった。ところがライブラリの中身はブラックボックスとしてPythonを書いてただけだし、競プロのマラソンマッチっぽい案件もあったけど優秀なインターン生のコードを見守るだけの無能になってしまっていた。数理モデルを構築して良い感じにするプロジェクトはあったがその頃には評価が悪化していた。うぅ…。居心地の悪さを感じてしまったし、食欲や睡眠にも影響が出てきたので休職をすることにした。

フリーランスエンジニアとして

休職中に以前の副業仲間に事情を話したら仕事を回してくれるということでありがたく引き受けた。無鉄砲に退職したのに退職直後からそれなりの売上があるのはめっちゃラッキーだった。こうして私はフリーのソフトウェアエンジニアになった。職務経歴書はなかなか良いため、フリーランスとしての案件には困らなかった(VCマネーも流れてくる時期でもあったようだ)。とはいえデータエンジニアとデータサイエンティストの経歴をフックにしてなんとか食い繋ぐのが重要であり、数学色の強い案件を探せていない。

数学の専門性を活かす前に、専門性がシフトしていた

そうこうしているうちに、気がつけばこんな感じのキャリアになっている

  • 数学…大学から通算10年

  • ソフトウェアエンジニア…3年(※現在はもっと伸びている)

いつの間にか、数学を封印している間に鍛えてきたソフトウェアエンジニア(データエンジニア+データサイエンティスト)としてのキャリアの方が圧倒的に仕事が見つかる専門性になっていた。

大学院の、しかも博士まで行ったという自負もあったのでその専門性を捨て切るのに葛藤は確かにあった。でもプロとしてしばらく仕事しているうちに、次の専門性が自分に息づいていくんだなと思った。

さて、これからどうしよう

不安定な身分ながらも、自由に行動を決められる程度には余裕が生まれてきた。

  • もうそろそろ数学の専門性を取り戻していこうか

  • もっとデータ系のプロジェクトを見つけて、成功に導いていこうか

  • 仕事のペースを下げて、プライベートを充実させようか

悩みは尽きないし、全てを満たそうとすると人生が足りないという事実に時々打ちひしがれそうになる。
それでも、悩みごとが前向きになったのがとても嬉しい。

おわりに

大学院の専攻によっては、その専門性を活かすポイントを探すのに苦労することがあると思います(数学よりもそれが難しい分野もあるかと思います)。
そのような悩みに対して、ひとつの生き方として参考になる部分があれば幸いです。

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