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地方演劇を真面目に考える会 特別編 その5 【役者の魅力について考える編】

概要

2021年に和歌山市のクラブゲートと、オンラインで開催した「地方演劇を真面目に考える会」の記録です。以下のHPにて、開催した動画のアーカイブ、アンケートデータや、インタビュー動画をご覧になれます。ぜひご覧ください。

役者の魅力ってなんだ?

今回は、演劇の花形、役者の面から演劇の魅力を探ってみようと思います。役者論や演技論は山のようにあるので、それに言及はしません。非大都市圏の演劇環境いおいて、役者の増加が、かなり重要な要素となると考えています。その演劇における役者の役割をさくっと考えてみます。

◎役者の魅力の要素

◎観劇側

観客側から、役者の魅力を考えてみてます。

・役者個人のキャラクター性

外見や性格、喋り方など、役者個人によってさまざまです。そしてそれが登場人物を超えて、役者の魅力になります。そして、魅力的な役者には、個人のファンがつくことがあります。
また、同じ役を、別の役者が演じるとまったく違う人物に思えるほど見え方が変わってきます。色々な要素がありますが、やはりその役者個人の魅力だったり個性だったりが重要だと思います。
・演技力
やはり役者の職能は演技力という言葉に集約されると思います。演技という中にも色々含まれ、言及するととんでもないことになるので、細かくは割愛しますが、演技力の高さは、作品のクオリティーを上げる重要な役割を果たします。
・容姿
役者は容姿も魅力に含まれます。決して、イケメン・美女だけではなく、作品に合った雰囲気を持っているか?も重要です。インパクトがあったり、逆に作品を邪魔しない雰囲気だったりと、タイプは様々です。容姿だけはどうしようもない要素だったりするのですが、自分の容姿を武器にする役者は強いなと思います。
・ライブ性
役者の技能とは関係ありませんが、有名な役者だったり、ファンの多い役者を生で、同じ空間で見れるというのは、観客からすればとても魅力的に感じることだと思います。
・ハプニング/アドリブ
ライブ性と似ていますが、映画やドラマと違い、毎回全く同じ演技になることはなく、観ている側からしても、そういったハプニング性やアドリブの違いなども、魅力の一つだと言えます。役者の魅力とは少し離れますが、役者によって、アドリブが多かったり、ハプニングのリアクションが面白かったりと、すこしは関係していると思います。

◎体験側

今度は逆に、役者側からの演劇の魅力を考えてみます。

・戯曲の世界の疑似体験
演劇は、役者をすることで、戯曲で表現される世界を経験する事が可能です。そこには、日常では経験できない事や、自分以外の人の価値観などを経験できます。それは、演劇が持つ特性のかなり強い部分ではないかとおもいます。自分的には「演劇の一番の魅力とは何ですか?」と聞かれたら、この部分かなと思います。あくまで仮説ですが、子どもたちがごっこ遊びを自然と好むように、人間の本能に演じるという嗜好が含まれているのではないか? それはやはり疑似体験を通して、想像の体験を楽しんでいるのではないかなと思います。
・コミュニケーション力の向上
演技は、セリフをうまくしゃべることよりも、相手のセリフを聞いて、相手の反応をよく見ることを要求されます。それが、日常生活のコミュニケーション能力の向上にもつながります。付加効果ではありますが、演技をする一つのキッカケにはなると思います。
・スポーツ的身体的楽しさ
ダンスほどではありませんが、やはり演技も身体的動作をともなう身体表現でもあります。特に、無意識・意識の領域の動きを意識する事にもなるので、自分の身体と向き合うことになります。ジャンルにもよりますが、程よい運動としては最適ではないでしょうか?
・成功体験
演劇もスポーツと同じように、練習と本番を繰り返します。その時に、成功体験が得られます。これはある意味スポーツ的経験と同じであり、趣味としても向いているジャンルだと思います。

役者の、多ジャンルとの比較

役者が介在するジャンルとして、映画・テレビドラマなどの映像メディアがありますが、映像系と舞台の大きな違いは、生で舞台上で見られるという魅力だと思います。特に役者の魅力の観点からすれば、実際に目の前で演じているという、空間を共有するというのは、ファンからすればとても魅力的だと思います。
その他の、小説や漫画などの紙系のメディは、役者という身体と、文字が声になるという立体化がする部分はアップグレード感があると思います。(その分、難しいので、失敗する可能性も大いにありますが)
ダンス系とは、非常に似た部分ではあり、役者とダンサーと呼び方の違いで、境界も曖昧になりつつあります。動きに特化しているのがダンサーとすれば、声や関係性に特化したのが役者ともいえますが、どちらもできる人も存在しますし、どちらとも言えない作品もたくさんあります。わざわざ分類する必要も感じませんが、主催側がどう見てほしいのか?の違いかなと思います。

役者の魅力の結論

なんだかとてもあっさりとした内容になってしまいましたが、演劇の魅力のかなりの部分を役者が担っているのは間違いないです。観客が主に見ているのは、役者であって、すべての要素が集約される部分でもあります。
しかし、役者の魅力はかなり多岐にわたっていて、演技一つにしても、かなりの幅広い方法論があり、一人でそれを網羅するのはおそらく無理です。
劇団の方向性や作品性にもよりますが、役者が常に存在しており、その魅力が作品を支えているのは間違いないと思います。
特に、作品性や、作家性等が強い劇団は、作品によって出来不出来があり、調子の波がでてしまいますが、役者自身のファンが多い劇団は、安定的な活動がしやすい傾向にあると思います。とにかく役者は大事にしたないとダメですね!

つづきます。
番外編 その10はコチラ

特別編 その6はコチラ

劇作家 松永恭昭謀(まつながひさあきはかりごと)

1982年生 和歌山市在住 劇団和可 代表
劇作家・演出家
劇団公式HP https://his19732002.wixsite.com/gekidankita


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