地方演劇を真面目に考える会 番外編10 【演劇環境を良くしたい!! 演劇をやりやすい環境を作る!編】

概要

2021年に和歌山市のクラブゲートと、オンラインで開催した「地方演劇を真面目に考える会」の記録です。以下のHPにて、開催した動画のアーカイブ、アンケートデータや、インタビュー動画をご覧になれます。ぜひご覧ください。

演劇をやりやすい環境が欲しい!

演劇環境を良くするのに、演劇をやりやすい環境というややこしい表現になってしまっているのですが、劇団を始めやすい状況や、はじめての公演をするのがやりやすい環境だったりを考えていこうと思います。

演劇をやりやすい環境を作るには

演劇をやりやすい環境といっても、様々な要因がありますし、演劇を初めてやる、公演を始めてやる、劇団を作ると多岐にわたっているので、思いつく限りざっと上げて行こうと思います。

◎演劇を始めやすい環境作り

主に役者をやってみるという意味合いになるかと思いますので、前回と内容が重なるので割愛します。

◎公演をやりやすい環境作り

・初心者がやりやすい劇場がある。
公演を検討するに当たって最初に考えるのは、劇場探しだと思います。ですが、案外と初心者の公演を歓迎しない劇場は多いと思います。大都会では、演劇専門の劇場があり、そんなことは考えられないないのですが、劇団の少ない地域で、初心者の演劇を受けれる体制が整っていないのが主な原因かなと思います。じゃあ、それを変えられるのか?といえば、なかなか大変なので、先輩劇団が公演をサポートできる・相談しやすい状況を作り上げておくほうがいいかなと思います。

・役者を探しやすい
公演をするために、一番のハードルは人探しだと思います。案外と出演者を探すのは、大変で、しんどいです。方法としては、
・友達・知り合いにお願いする。
これが一番簡単でいい方法なので、これで成立している劇団が生まれるなら問題ないでしょう。
・劇団所属の役者に出演依頼する。
一番確実な方法なのですが、演劇を初めたての人からすれば、かなりハードルが高く思う方法かもしれません。既存の劇団側からすれば、連絡先をHPに乗せて、SNSなど、DMを送りやすくするなどは当然として、やりたいなと思っている若者がいれば、気軽に声をかけてねといっておくぐらいはしておかないといけないと思います。得に、役者の他劇団への出演はトラブルが多いものでもありますが、初心者がいれば、それをサポートできていない自分たちが悪いのだと思うほうがいいと思います。
・出演者募集をする。
SNSや、ネットの掲示板などを駆使して、出演者を募集する方法が一般的ですが、はじめてやるという方には、後々トラブルになりやすいかもしれないです。どういう人が来るかが分からないからです。公演のための募集というよりも、継続的に劇団員を募集するなどの場合など、長期的な募集で考えておいた方がいいと思います。

大体、この3パターンになると思います。この中で、劇団側ができるは、相談をしてもらうパターンだと思います。初心者側にこちらから急にコンタクトを取るのは、状況的に難しいので、待つしかないでしょう。その為に、まずHPやSNSなどを作っておいてなど、連絡を取りやすい状況を作っておく。どういう役者が所属しているのかが分かりやすくしておく。ぐらいしかないのかなという感じです。できれば、地域の劇団の統括団体を作って、サポートしますよてきな文言を入れて置けば、相談しやすくなるのかな?とも思います。あまり口をはさみすぎて、嫌がられるのもダメになる原因ですし、失敗するのもそれはそれで演劇の面白さの一つかなと思うので、いかに、相談してもらえる最初の一歩のハードルをこちら側でさげられるのか?にかかっていると思います。

・技術面の支援
音響・照明・美術など、公演をするのには必要な技術的なスキル・機材が必要になってきます。おそらくどこの地域でも、舞台スタッフといわれる技術職の人がいるとは思いますが、初めて公演をする人にとっては、金銭的にも技術的にもかなりハードルが高いと思います。そういった技術面をサポートしてくれる劇場や状況があればいいのですが、そういったものがない場合は、かなり厳しい状況になると思います。
やはりこういった部分も、先輩劇団等が協力していかないといけないかなと思います。特に、技術面は安全性の問題があるので、こちらは、嫌がられてでも口を出した方がいい場合があります。
これも、上記のように相談を待つ方法以外あまりないのですが、普段から、初めて公演をする劇団があれば、観に行くなど、先輩劇団として、情報を集める積極性は必要かなと思います。

◎劇団を作りやすい環境作り

一つの劇団が人数が多くなるよりも、少人数でも劇団数が多い方が、演劇環境的にはいいと思います。進化論的に多様性があったほうが、劇団が生き残る可能性は高いですし、観客的にも、いろんなジャンルがあったほうが楽しめる可能性が高くなります。

・コミュニティーの集まれる場を作る
劇団形成の一番の条件は、演劇をやりたい人たちが集まっている。というコミュニティーの形成がかなり重要になってきます。特に、非大都市圏の劇団形成の要因の一番は、学生演劇で経験した仲間たちで集まって、学外で劇団を形成するというパターンです。しかし、学生演劇に積極的に関わるのは難しいので、それに近しい状況を作ることが大事だと思います。一番いいのは、市町村の行政の文化関連団体が、大きなワークショップ、市民劇団形成が一番効果的とは思いますが、それも地域によってできる出来ないがあると思います。
そうなってしまうと、ワークショップなんかを開いて、コミュニケーションの場にしてしまうが、一番いい方法かと思います。劇団員探しの場でもありますが、そこでそれにこだわらず、役者同士や演劇愛好家が集まれる場を作ると、そこでの繋がりで、自然と劇団形成が起きるかもしれません。
これは、公演活動だけでは、観て終わりという感じで、観客間コミュティーが意外と形成されずらく、それよりも、トークライブや、ワークショップ、その他、ライトな集まりの方がいいと思います。

・公演のやりやすい環境を形成する
上記の公演のやりやすい環境と同じなので割愛します。

まとめ

より良い演劇環境を手に入れるためにという大きな主題に対して、今回は非常に近しいテーマとなったのですが、なんとも歯がゆい感じで、結局、待つしかないのかという感じが、これじゃあないなと思っています。結局のところ、劇団という団体は、「演劇をする事」が目的なので、公演ができればいいのですが、長期的に、この問題は無視できない状況だと思います。特に、非大都市圏は、若者の流出という非常に厳しい都市構造のおかげで、よりシビアにこの問題に向き合わないといけません。そうなると、いかに演劇人口を増やす事が出来るのかがかなり大事になってきます。その為には、公演活動は、あくまで観客は増えるのですが、観客以外は案外増えないと思います。公演活動以外の部分をいかにやっていくのか?が大事になってきます。その中には、政治的な物も含まれてくると思います。おそらく一劇団では、かなり厳しいものもあると思いますので、たびたび書いているのですが、地域の劇団を統括する団体を形成するのが一番、演劇環境を良くする近道なのかなと思います。
 ただ、そうすると、人間関係がかなり複雑になって、嫌気がさしてくる人も多いかと思います。そういうときは、無理に頑張らずに、演劇環境を狭くしてもいいかなと思います。そもそも地域の演劇文化や、地域の演劇環境を背負う必要もありません。嫌な気持ちになるぐらいなら、わがままに、自分の目に見える範囲での演劇環境を良くすることも、それはそれで正しい非大都市圏の演劇活動だと思います。ただ、演劇に興味を持った若い人が現れたら、その人に、色々手伝うぐらいはやってほしいなと思います。

つづきます。
番外編 その11はコチラ

特別編 その6はコチラ

劇作家 松永恭昭謀(まつながひさあきぼう)

1982年生 和歌山市在住 劇団和可 代表
劇作家・演出家
劇団公式HP https://his19732002.wixsite.com/gekidankita


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