金曜日のささやかな贅沢


この贅沢な空間にお金を払っているんだ、と思った。
この贅沢な時間に。

私は某オフィスビルで働いているOLである。
ここは商業施設も兼ねている。

今日のランチはどこに行こうかな。
と言っても、いつもはコンビニで
おにぎりか野菜ジュース。
と言っても、先週までは在宅勤務だったから、
お昼は簡単に焼きそばやらパスタやら自分で作ったもの。

ふふ、今日は会社で迎えた久しぶりの金曜日。
今日は何を食べよう。
何かご褒美になるものを食べたいな。
だって、この1週間、毎朝ちゃんと起きて
身支度を整えて、そして出勤するっていう大仕事に成功したのよ。
先週は9時まで寝ていたのに、今は6時起き。
朝の空気の清々しさったら。

でも、そんな日々も今日で終わり!
来週のことは来週になって考えればいい。

さてさて昼ごはん。

そうだ、ケーキにしよう!
カフェで紅茶とケーキ!
この上なく優雅じゃない?

いつもだったら、
お腹にたまらないケーキを
昼ごはんにするなんて思いつかないけれど
なんだか外で食べる気がしなくて
食を控えていた今なら、胃が小さくなって
ケーキでも満腹になれる気がする。

そして、紅茶が配膳されたのだ。
私は読んでいた本を閉じ、
店員さんに頭を下げる。
ゆっくり紅茶をカップに注ぎ、
胸いっぱいに香りを吸い込む。

思わず笑みがこぼれる。

軽やかなピアノ音楽。
きらきらと光る白桃レアチーズケーキ。
そして、温かなアールグレイティー。

ああ、と思った。
私はこの贅沢な空間を全身で楽しんでいる。
今日のためにがんばったんだ。

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