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若葉坂道(わかばさかみち)詩集

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いちにちひとつ詩を書く。なんてことをはじめました。歌詞ではなく詩。そんな詩集です。
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記事一覧

詩/夜の雨粒

ハンドルの向こうの 信号は 赤に変わり ため息にも 似た 虚ろな 眼差しは 橋の向こうの街…

詩/あの夏の壊れたカメラ

あの夏の アパートの 玄関の前で 壊れたカメラを 手渡されたぼくは 嬉しくて 目の前の お父…

詩/もう少し

きれいな ありがとうが 言えなくなった のは 枯れてしまう ほど ごめんなさいを 言いすぎた…

詩/ゆっくりと

「ゆっくりと」 現場の左隣りは郵便局 ゆっくりと 助手席から眺めた 日替わりの景色は 青い…

詩/真昼の夕暮れ

「真昼の夕暮れ」 寝ぼけた足取りで 珈琲を淹れる為の水を汲み、 電気ケトルをセットした 自…

詩/紫の記憶

紫の記憶 坂の上にある小学校の校庭 暗くなるまで夢中になったのは なりきりごっこのキャプテ…

詩/日曜日の夜

「日曜日の夜」 寂しくなりかけた 日曜日の夕方 少し潤った空気が連れてきたのは あの日見つけた 海岸の景色 さっきまで一緒だったギターはスタンドへ しばらく 休んでいた  ミニギターとぼくは、悪あがきのドライブに、 ムネを 弾ませた 沈みゆく夕陽を背に 歩くひとたちが、バックミラーに消えてゆく  ハンドルを切る うろ覚えの交差点 見覚えのある駐車場への入口  立場(は)だかるカラーコーンと警告看板 結局、封鎖という 追い返しをくらってしまった ムネを弾ませた 悪

詩/どんな味

「どんな味」 もう なくなってしまったけど たしか、2回だけ行った あの日の うな丼の味を…

詩/明日のウイスキー

「明日のウイスキー」 つい、飲みすぎてしまう 水割り 今夜は すこし多めの氷と、強い香り…

詩/とうめいなせんぷうき

「とうめいなせんぷうき」 はねをひろげて  わたしのほうを向いて 好きなときに  好きなだ…

詩/どれも母の日

「どれも母の日」 母のことを思って感謝を伝える日 母のことを思って花束を贈る日 母の母を思…

詩/母の日は

「母の日は」 母の日は 母に花束を贈る 母に感謝を伝える 母が喜ぶプレゼントをする そう思…

詩/0番ホーム

「0番ホーム」 外へ出るのも 若いうちだからと じゅうはちの僕は 0番ホームから旅立った 車…

詩/才能恋愛

「才能恋愛」 ただの恋愛は あなたがあのひとに恋をする 才能恋愛は あなたがあのひとの才能や振舞いに恋をする ただの恋愛は 恋は恋のまま愛が生まれて たとえ離れてもまためぐり逢える 才能恋愛は 恋も愛も才能に消されて やがてまた別の恋をくりかえす あのひとの 才能や振舞いは 消えるかもしれない あのひとの 仕草や話し声が 失われるかもしれない 才能恋愛をしてしまうと あのひともあなたも 後悔の涙をながす 失うことを悔やまず 恋が恋のまま 愛も愛のまま生きられる