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「何を」使うかではなく「どういう手順で」使うか。

かなり前に注文した、
とある「スキンケアお試しセット」
をすっかり放置していたのだが、
年末にようやく気持ちの余裕ができ、開封してみた。

開けてびっくり、なんと、8種類もある。
クレンジングと洗顔と泡パックをして、
その上で保湿液と美容液とクリームと乳液。
日中にはバリアクリーム。

普段は洗顔と化粧水くらいしかしていない私からすると、驚愕の工程数。

実際に真面目に数日使ってみた。

すると、確かに肌の状態は良くなった。
良い香りがして、使用感も良かった。

がしかし、
これは「この製品」が良いというより、
「手順」が良くなった、ということでは…?

もともと毎日丁寧にスキンケアしていた人なら、
新たな「お試しセット」と単純比較して、
どちらがより良いかわかるかもしれないが、
もともと使っていたものの種類も少ないし
ぜんぜん丁寧じゃない私のようなズボラマンは、
そりゃ丁寧に8種類使えば改善される。
洗顔は優しく泡で、ぬるま湯でやった。
水でもお湯でも適当にガシガシ洗っていたいつもの雑な工程とは雲泥の差。

つまり私がお試しセットを使って得た教訓は「何を使うかではなくどういう手順でどんな風に使うか。
使う商品はどこのものでもいいから、
まずはクレンジング→洗顔で汚れを優しくしっかり落とす。丁寧に優しく。
その後何段階かに分けて保湿をして、乳液でフタをしなさい」
ということだった。

どのスキンケア用品を使うか、というレベルの話ではない。
正しい手順で丁寧に、というごく当たり前の話。
スキンケアにおける正しい手順のひとつを学べた、という意味では、とても良い学びになった。

これはスキンケアだけでなくおそらく料理にもいえる。
どんな材料や道具を使って作っても手順の基本は同じだ。
激安スーパーの食材と100均のキッチン道具でも、プロの料理人はめちゃくちゃ美味しいご飯を作れる。
一方で、高級食材と一流のキッチン道具を使っても、口に入れたら感動するほどの美味しいものは私には作れない。

これは音楽にもいえる。
大学時代ジャズ研でドラムを叩いていた私だが、プロになった先輩ピアニストが時々ドラムを叩いてくれたことがあった。
それがびっくりするほど上手くて
「なんでなんすか?!」と訊くと
「基本的な手順は一緒だから」と。
リズム感、曲の捉え方、メロディの紡ぎ方。楽器が違ってもプロは良い音楽を作れるのだ。

そう考えると、きっと占いも同じで、
『象徴を言語化して伝える』という「本質的な手順」はどんな占術でも同じはず。

例えば西洋占星術のプロは、きっと東洋占術もすぐに使いこなせる、のではないか。
たぶん、私が西洋占星術じゃない占術を始めたとしても、占術の理解の仕方と言葉の紡ぎ方は同じはずだ。

だとすれば極めるべきは「本質的な手順」の部分。

占いの本質的な手順とは。
「占術の仕組みを理解し象徴を言語化してわかりやすく伝えること」
に尽きるのでは?

さまざまな実際の事象や傾向と照らし合わせて理解を深める。
言語化する。
仮説を立て検証する。

その繰り返しで『手順』が身につけば、どんな占術でも理解さえできれば使えるようになる、はずである。理論的には。

実はこの
「仕組みを理解し象徴を言語化してわかりやすく伝えること」
の良い例は、あちこちで見かけることができる。

例えば夫の通っていた社会人大学院の先生。

私はその先生が、生徒の建築設計に対する講評を話すのを聞いたことがある。
その時、
建築の設計図を音楽における楽譜に例え、
「この設計図は音符が多すぎるメロディのようで少し圧迫感があって聴く側が窮屈に感じるかもしれない。
あえて休符を入れたり、
音符を少なくして“抜け“が出てくると、
リラックスして聴けるんじゃないだろうか。つまり、設計ににもあえて”抜け“を作ると、
居心地の良さが作り出せると思うよ」
と解説していて、印象的だった。

設計のことは何もわからない私にも、
『良い設計とは何か』が伝わってくる話。
設計というものの本質と仕組みを理解した上で、
抽象的な『良い建築設計』という概念を
誰にでもわかるように言い換えて伝えてくれていた。

あるいは例えば、
私がとある仕事でお話を伺った調香師の方。

香りにはもちろん好き嫌いがあって良いし、
必ず言語化しなければならないわけではないが、
作品や商品として誰かに届ける「香り」を作るために、
たくさんの種類の香りを組み合わせて調香をする際には、
必ず言語化が必要だとおっしゃっていた。

「静かで深い森の中に一筋の光がさすように、重たくややビターな中にもほのかに爽やかさのある香り」

「うだるような暑さの残暑の中でかすかに漂う秋の気配のように、明るく爽やかな中にもほんのりと香ばしい甘さを感じる香り」

といったように、
香りの構成成分の特性を理解した上で、
抽象である「香り」を言語化し、
わかりやすく伝える力が必要だ、と。

こんなふうに、
「仕組みを理解し象徴を言語化してわかりやすく伝えること」
は、あちこちでいろんな人がいろんな例を見せてくれている。

こういった「抽象化された象徴の言語化」を真似したり応用したりしながら、
仕組みの理解を深め、
具体的な事象に照らして反復してトレーニングを積めば、
おそらくどんな占術を使っても、
「良き占い」ができるようになるはず。

「何を」使うかではなく、
「どういう手順で」使うか。

より良いツールを求めるのはもちろん良い。きっと自分により合う「モノ」はあるだろう。
でも「何を使うか」を選ぶことにばかり時間をかけるのではなく、
何を使っても一定以上の結果を出せる
「手順」を学び、実践したいと改めて思う。

思わぬところまで話が飛躍したが、
私にとってはある種「効果のあるお試しセット」だったことは間違いない。

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