昼過ぎ彼女が家に来て、チンしたファミマの冷凍まぜそばをかきこむと、すぐにリビングでズームの企業説明会を受けはじめた。

保険会社の説明会で、広報の人が「弊社では保険人(ほけんびと)という言葉を大事にしています」と熱弁していた。保険人(ほけんじん)と読んではいけないそうだ。社会人(しゃかいびと)、野球人(やきゅうびと)、巨人(きょびと)、芸能人(げいのうびと)……語呂が悪い。

終わって色々したあと、犬の散歩に行った。彼女はモチモチ文句を言いながらついてきたが、結局散歩が楽しくてキャッキャとはしゃぎ、帰る頃には歩き疲れまたモチモチ文句を言っていた。かわいいね。

彼女と犬の散歩に行くと、勝手に家庭を持ったような気分になって幸せ。この幸せが味わいたくて、世の男は嫁の尻に敷かれながら汗水垂らして働くのだろう。

いっぱしの口をきいてしまったが、ぼくたちは全然余裕で子供なので、家に戻った後は、ふたりで母親が作った夕飯をおいしいおいしいと食べた。こんなに幸せなのだからずっと子供でいたいと思うけれど、そういう訳にもいかないようで困る。