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わかおの日記272

絶対に太った。絶対というのは、絶対かどうか確定していない時に使う言葉で、本当に太ったのならただ一言、太った。と潔く言えばいいのだが、少しの自尊心がそれを許せない。体が抱えきれる肉の量を少しオーバーしていて、その部分が歩くたびに揺れる。

なんで太ったのかというと、運動をせずに食べ過ぎたからで、運動をせずに食べ過ぎたのは彼女の誕生日で長野の松本に行ったからだ。ドーミーインでの朝食に始まり、昼飯、カフェでの糖分摂取、そしてディナー、酒、ということをしていたら当たり前のように太った。空腹の時間が1秒もなかった。

旅から帰った次の日はもうバイト。逃げきれない労働。醜い体をぶら下げて、朝からトボトボ吉祥寺に行った。大して客は来なかったが、効果的なタイミングでチャイやサラダの注文が入り、売上額よりも疲れた。帰り際に、普段全然しゃべらないフリーターの人に文句を言われて、文句の中身は多分真っ当なのだろうけど、あまりにもそんな言い方する?って感じだったので、ひとこと「はい!」とだけ返事をして帰った。

彼女とちょっと飲んで帰った。さっき賄いを食べたばかりの彼女は、でっかいもやしと肉の炒め物をおいしそうに平らげ、ぼくが頼んだ軟骨の唐揚げも半分くらい食べていた。頼りになると思った。昨日までずっーと一緒にいたので特に話すこともないのだが、それでもよかった。

帰りに田村くんの元カノがラストランをしているから冷やかしに行こうと思って2人でスターバックスに寄ったら、なっがいコートを着た骨格の細い男たちが、花束を持ってその子を祝おうとしているところを目撃してしまい、彼女ともども嫌な気持ちになって帰った。

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