【ニンジャスレイヤー二次創作】フー・イズ・ザ・センダー・オブ・メール

【フー・イズ・ザ・センダー・オブ・メール】

---緑と黒に支配されたワイヤーフレーム荒野に赤黒い装束のニンジャ-ニンジャスレイヤー-が降りたつ。手には「ハタシジョ」と書かれた1通のメールが収められた素子。そのハタシジョは大半が文字化けしていたが、唯一場所と時間、そして差出人だけは判読可能な怪しい代物であった 1

本来なら無視すべきメールだが、ある不可解な点がその選択肢を選ばせなかったのだ。
不可解な点、それは……『差出人がニンジャスレイヤー』だと言う事。 十中八九己の名を騙る不届き者であろうが、それを見たニンジャスレイヤー、否、フジキドは妙な胸騒ぎを覚えた 2

フジキドはワイヤーフレーム荒野を一人往く。辺り一面見渡す限りの緑と黒。ここにハタシジョの差出人『ニンジャスレイヤー』がいるとは思えないが……その時!フジキドの眼前に赤黒い色付きの風がフェードインする!アンブッシュだ!! 3

フジキドはその致命的一撃を油断ないブリッジで回避すると、そのままバック転に繋げ体勢を立て直しカラテを構える。「……ドーモ、ニンジャスレイヤーです」先制してアイサツした 4

先ほどアンブッシュを仕掛けたそのニンジャは赤黒い装束に風になびくマフラー。更に……「忍 殺」と書かれたメンポを装着している!
そのニンジャはフジキドのアイサツに対してこう返礼した。
「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン ニンジャスレイヤー・ガールです」 5

「ヌウウ……!」一体何が起きているのか、ニンジャスレイヤーを名乗るニンジャが……目の前に相対しているのだ!それだけではない!ニンジャスレイヤー・ガールを名乗ったニンジャは続けて名乗る。「またの名を……ヤモト・コキ!」「ヤモトだと!?」 6

おお、ブッダよ。これは悪夢なのか!悪夢なら醒めてくれ!フジキドの苦悩を知ってか知らずか、ガールは愛用のカタナ「ウバステ」を構える……しかしその時!二人を囲むように、無数の赤黒い影が次々とエントリーした! 7

「ドーモ、ニンジャスレイヤー・モンキーです」「ドーモ、ニンジャスレイヤー・ヤクザです」「ドーモ、ニンジャスレイヤー・モーターデス」「ドーモ、ニンジャスレイヤー・ショゴスです」「ドーモ、ニンジャスレイヤー・ロブスターです」 8

その数……なんと222人!もはや誰が誰なのか皆目見当すらも付かない!!一体これから何が起きようというのか!!! 9

\キャバーン!/
222人のニンジャスレイヤーと共に、ニンジャの頂点を目指そう!\ナンカスゴーイ!/ハイカキン・ゲームズ社の【ニンジャスレイヤー222】、カミング・スーンドスエ 10

◆◆◆ 11

「ヒヒヒ……反応は上々。後はリリースするだけだなぁ!」自らが制作したIRCゲームのPV動画に備えられた視聴回数カウンターの数字を見ながら笑みを浮かべるニンジャが一人……名はハイカキン。実は彼が制作した「ニンジャスレイヤー222」は、ゲームを隠れ蓑にプレイヤーの口座をハッキングして無制限に送金し続けるマルウェアだったのだ! 12

「これは良い……リリースした暁には物凄い集金効率になるだろうよ。正に金の成る木って訳だなぁ!おい!」ゆくゆくはこのゲームで集めた資金を元手に大手メガバンクをハッキング、そして更なる資金を手に入れる。それがハイカキンの目的であり、野望だ。 13

その時、未だ留まる事を知らない視聴回数を満面の笑みで眺めるハイカキンのIRCチャットに一通のメールが届く。件名は「ハタシジョ」、差出人は……「ニンジャスレイヤー」本文は大半が文字化けしているが、唯一「ニンジャ殺すべし」と言う一文だけはそのまま読めた 14

十中八九いたずらの類に思えるそのメールを見たハイカキンは、しかし妙な胸騒ぎを覚えた。
そして何らかの気配を感じ、ゆっくりと後ろを振り向くと……そこに居たのはニンジャ。赤黒い装束に風になびくマフラー。更に……「忍 殺」と書かれたメンポを装着している! 15

「ドーモ、ハイカキン=サン ニンジャスレイヤーです。良くもあんな悪趣味な動画を公開してくれたな」「アイエエ!?ニンジャ!?ニンジャナンデ!ハイカキンだ!貴様なぜここが分かった!答えろ!イヤーッ!」突然のエントリーに憔悴したハイカキンは手に持っていたオールドイェン硬貨をニンジャスレイヤーに向けて投げる!もはやヤバレカバレか! 16

「貴様に答える事など無い!」当然ニンジャスレイヤーも、そんなヤバレカバレな攻撃など避けるまでもないと意に介さなかった。……しかし!
「グワーッ!?」突如、ニンジャスレイヤーの全身を激痛が襲い、思わず膝をついた! 17

(グググ……愚かなりフジキド!キントン・ニンジャのゼニ・ナゲをまともに喰らうとは愚の骨頂よ!)「ナラク!」(キントン・ニンジャのソウルはオールドイェン硬貨を媒介してジツを使う。中でもゼニ・ナゲは己のキャッシュを犠牲にして放つ奥義よ!)
「ヒヒヒ!俺のゼニ・ナゲが効いたようだなぁ!ちったぁビビったが、案外大した事ないぜ!」 ハイカキンは勝ち誇ったように次弾を準備している! 18

「俺の全財産を込めた渾身のゼニ・ナゲだ!サンズ・リバーの渡し賃にでもするんだな!」ゴウランガ!流石のニンジャスレイヤーとて、何百万もの力がこもったゼニ・ナゲを食らってしまえば爆発四散も免れない!
「死ね!ニンジャスレイヤー=サン!死ね!」 19

ハイカキンの投げた致命的なゼニ・ナゲは、しかし……ニンジャスレイヤーを逸れ、明後日の方向にある壁にぶち抜き……最終的に射線上にあったビルに当たり、ビルごと花火になった。
読者諸氏にニンジャ投球フォームの専門家がいれば原因が分かった事だろう。ハイカキンはあろうことか、力みすぎてコントロールが狂ってしまったのである!何たるブザマ! 20

そしてそのブザマを見逃すニンジャスレイヤーではなかった。「イヤーッ!」激痛から逃れ立ち上がった瞬間、すかさずダブル手刀でハイカキンの両肩を破壊!「グワーッ!」「イヤーッ!」そして続くダブルクロスチョップで両足をあらぬ方向に曲げると、「アバーッ!」万力めいた握力で頭を掴み、持ち上げる! 21

「カラテを軽視し、飛び道具を過信したのが運の尽きであったな」「アバッ……バッ……」「あの世で投球の練習でもするんだな!イイイイヤーッ!!!!」ニンジャスレイヤーは自身のニンジャ腕力でハイカキンを遠投!そのまま今しがた花火となり崩壊していくビルの方向へと飛んでいき、崩落する瓦礫に巻き込まれ……「グワーッ!サヨナラ!」爆発四散する様すらも瓦礫に遮られ、誰に顧みられる事もないまま瓦礫の中へ消えた

【フー・イズ・ザ・センダー・オブ・メール】終

N-FILE : PoW-if(Possibility of What-if)

ハイカキン
キントンニンジャ・クランのレッサーソウルがハッカーに憑依して生まれたニンジャ。ニンジャになる前から得意としていたハッキング技術とゲーム制作スキルをフル活用し、「ゲームに偽装したマルウェア」を介して資金を集めていた。
キントン・ニンジャは「ゼニ」と呼ばれるオールドイェン硬貨を媒介して様々なジツを行使するクラン。中でも「ゼニ・ナゲ」は、自身の持ち金をカラテに変換し、それをゼニに込めて投げる特異なジツ。込める金額に比例して威力も上がるので、牽制やトドメの一撃など幅広いシチュエーションで使える汎用性がウリだった。しかし持ち金を消費する特性上、資金繰りに悩まされるのがキントン・ニンジャの常だったようである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?