Valorantにおいてプロ選手がスマーフを行い、味方プレイヤーをブースティングした、という件で炎上が起きています。炎上してることもあり、言いたい放題で噛み合わない状況なので整理しようと思います。すでに所属チームからの処分などの話も出ているため、当事者に関する話ではなく、議論の整理のための一般論を話します。

スマーフとは？ブースティングとは？

まず、スマーフやブースティングという言葉ですが、共通認識の定義がされずに使われています。こういう意味だと会話が噛み合うはず、という定義をここでつけたいと思います。
スマーフは「自分の本来のレベルよりも低いマッチに入ること」
ブースティングは「良くない方法を用いて相対的に強い力を保持したプレイヤーが、下位プレイヤーとパーティを組み、下位プレイヤーのポイントを増やすこと」
と定義するとしっくり来ます。
※「良くない方法」と定義したのは、ゲームによって異なることがあるからです。Apexでブースティングが話題になるのは、チート使用者が同行者のポイントを増やすことを指すことが圧倒的に多いです。
また、代行は「自分のアカウントを他の人に提供し、代わりにランクやバッチなどを取得すること」でまた別物という理解です。

簡単に今回の経緯

今回の炎上の件では、超上位のランク帯の人が、サブアカウントを用いることで、中位のランク帯のメンバーとパーティを組んでランクマッチをプレイしたこと、が問題になっています。
これに対して該当ゲームの運営は、規約違反ではないが、公平性を損なう不適切な行為のため、厳重注意する、という声明を出しています。
前項の定義でいうと、超上位の人がスマーフをして、中位の人をブースティングした(中位の人はブースティングされた)という所です。
※声明文をよく読むと「ブースティング」に対して不適切な行為と記載されていて、スマーフについては触れられていません。

規約と声明とコミュニティ

この行為は問題があるのか、ないのか、を判断するのは誰でしょうか。議論が発散する理由としてその構造が整理されていないことがあげられます。
大きく分けると、ゲームごとに「①規約」→「②運営の声明」→「③コミュニティの総意」の三段階で行動の良し悪しが判断される、と考えています。
ゲームごとであることもポイントで、国によって法律や文化が違うように、ゲームが違えば判断基準は異なるもの、と理解した方がいいです。ゲームの運営やプレイヤーのコミュニティが異なれば、判断基準は異なります。

①規約
ゲームの利用規約に該当し、最も厳しいルールで、場合によってはアカウント停止などの罰則が設けられています。一般的にはチートツールの使用やアカウント売買（代行）などが記載されています。
規約違反の検知および罰則については運営がどこまでやるか次第ですが、ゲームをプレイするにあたって同意しているルールなので、違反したら罰則を受けても文句は言えない、ものです。

②運営の声明
先ほどのRiot社のブースティングが不適切という声明やRespawn社の担当の「友人と遊ぶためにサブアカウントで下位マッチに入ることは問題ない。下位マッチに居座るためにサブアカウントの作成を繰り返し続けることはダメ」というtweetなどが該当します。規約には書かれていなくても運営の方針としての公式見解になります。

③コミュニティの総意
一番曖昧なものですが、ゲームのプレイヤーや関係者による、このゲームのプレイヤーはどうあるべきか、の総意です。「死体撃ちは良くない」などといったマナーやモラルが該当します。①②がゲームの運営のみが表現できるものに対し、これはプレイヤーの集合体にて作られるものであるため、一人一人の発言や行動、発言力のあるオピニオンリーダーの先導が重要です。

ここでスマーフの話に戻すと、①②で運営が対応しないと判断しても、スマーフはダサいよ、という③の総意が大きくなれば、スマーフ自体は減るのかなと思います。ゲームの構造上、友達と楽しく遊ぼうとするとスマーフしないと難しい、といった課題がある場合、簡単ではないとは思いますが、コミュニティの声を作っていくことが大事なのでははないじゃないでしょうか。
※配信者のVodkaさんが、あるゲームにて、運営がコンバーターを取り締まらなかったけど、コミュニティとしてコンバーターはダサいという声が大きくなった結果、コンバーターが減った、という話をしており、コミュニティ作りの重要性を訴えていて非常に賛同できました。

炎上騒動の果てに

最後になりますが、違反内容/罪の重さ、と、炎上するかしないか/炎上の大きさ、は別物です。炎上には炎上のメカニズムが働いているものです。運営や所属チームからの処分が下された以上、早いところ沈下して誹謗中傷が止まることを願っています。当事者たちは、人気商売がゆえ難しい所はありますが、信頼を再度獲得して、ファンの方に支持されるように頑張っていただければと思います（すいませんあまり当事者の方々には明るくなく・・・）。