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なんでもやってみるもんだ

太陽がギラギラ。歩いているだけで干物になりそうな日々。64年ものの、増して難病患者の干物なんて誰も食べてくれないし、できれば1歩も外に出たくないけれど、89歳でひとり暮らしをしている母の所と病院へは行かなければならない。
「暑いから夕方行くね」と母に電話。
「待ってるよ」と嬉しそう。
気合いをいれてなんだかんだ買い込んでヒーコラと母宅へ。汗だくでドアを開けると驚いた顔の母。
「あんた、どうしたの?」
おかあさーん。
バタバタと家事をこなし、駅まで送ると付いて来た母とドトールでお茶。いつものように改札口で手を振る母に、エスカレーターに乗る前に手を振り返す。電車に揺られながらひと休み。
帰宅して「今帰ってきたよ」と母に電話。
「あんた、どこ行ってたの?」
おかあさーん。
ま、元気だからいいか。

ソーセージが好き。ぶっといのにかぶり付きたいのだけれど、最近なかなか巡り会えない。ぶっといのロス。あ、作ればいいんだ!作ってみよう。
冷凍庫に豚ひきと鶏ひきがあったので解凍。屋上のプランターファームからバジルを摘んできてみじん切りに。玉ねぎもみじん切りにして、生姜もいれてみようかなと、生姜をすりおろす。
ボールに材料を全部入れてコネコネ。塩こしょうで味を整えて、ジューシーになるかなとマヨネーズを少し入れてまたコネコネ。いい感じにコネコネになった具をラップに包んでソーセージの形に。両端を結んだら、あら、なかなかいいんじゃない?

手鍋でコトコトボイル。調味料も適当量で味の保証はできないけれど、見た目は私好みのぶっといソーセージ。なんだか嬉しくなってきた。
ワクワクしながらラップを外してフライパンへ。軽く焦げ目が付くくらいにバターで焼く。付け合わせはこれも屋上で採ってきたパプリカと20日大根のバターソテー。粒入りマスタードを添えたらおお!予想以上の出来映え。

どんなもんかなと、粒入りマスタードを乗せてパクり。うーん。肉々しくてジューシー。味付けは適当なのにやけに美味しい。バジルと生姜もいい感じ。夫もウンウンと美味しい顔。次は青ジソ入り、その次はバセリ入りにしてみようかな。
これでぶっといのロスは解消。
なんでもやってみるもんだ。

パプリカとピーマンは食べた種を蒔いたらスクスク育ったのだけれど、ピリ辛党の我が家に必需品の青唐は残念ながら発芽せず。そこであ、そうだと、市販の赤トウガラシの種をひと晩水に浸けて10粒ほど蒔いてみた。なんと、めでたく2つ発芽。アハハって感じ。
スクスク育ってあらあら、可愛い花が。

トウガラシの花

担当医が代わり、副作用や後遺症のことを踏まえ、来年にはステロイド0を目指しましょうと、数年ぶりに1ミリ単位で減らしている。そのせいなのか、暑さのせいなのか歳のせいなのかわからないけれど、なんとなく不調な日々。けれどこんな小さな花が、可憐な花が、体調の悪さを忘れさせてくれる。心を癒してくれる。
花から下の葉を取りながら、ちゃんと実になるんだよ~と話しかける。うふふ。
なんでもやってみるもんだ。

それそろ母がディサービスから帰って来る時間。
今日も元気な声で「今帰ったよ」と電話があるだろう。「おかあさん、どこ行ってたの?」って言ってみようかな。ふふ。

我ながら、よくできました。

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